東京11R日本ダービー
◎13.クロワデュノール
○17.マスカレードボール
▲9.ジョバンニ
△1.リラエンブレム
×3.エリキング
今年のダービーは確たる逃げ馬が見当たらないが、前半ゆっくり入っても向正でまたファウストラーゼンが押し上げるだろう。前半スローから向正で池添とミルコが動いて、後半1000mのロンスパになった昨年と似た流れになるのではないかと予想。土曜の10R葉山特別芝1600が重馬場で1.35.9。日曜は良まで回復しても高速馬場は望めないか。
ダノンデサイルの母トップデサイルはBCJフィリーズ2着。ドウデュースの母ダストアンドダイヤモンズは北米ダ短距離重賞を2勝。タスティエーラの母パルティトゥーラは全3勝が芝マイル。最近のダービーは「父12F×母マイラー」が勝つことが多い。クロワデュノールの母ライジングクロスは英オークス2着の重厚な中距離馬だが、その父ケープクロスはグリーンデザート直仔のマイラー。イクイノックスも母父がマイラーのキングヘイローで、全体の配合形も似ているとほめてきた。イクイのような斬れはないから、母父のスピードで先行し父のスタミナで踏ん張るレースをしているのは正しい。イクイと同じような皐月賞2着だったが、ダービーも同じケイバでいいと思う。
大跳びのマスカレードボールは中山だとコーナーで加速できない。皐月賞は直線だけで3着に差してきたのはドウデュースと重なる。しかし母母父が重厚なホワイトマズルなので、ドウデュースのように瞬時に加速するタイプではない。ストライドでジワジワ伸びつづける脚質だから、東京なら坂井瑠星は共同通信杯のように好位抜け出しでくるだろう。リファール4×4のキタサンブラックを父にもつクロワデュノールと、リファール4×4のマスクオフを母にもつマスカレードボールが、好位から抜け出して重厚な叩き合いのダービーになるとみた。ロジャーバローズ(リファール4×4)が2頭で叩き合うイメージだ。
ジョバンニは父がエピファネイアで母父がストームキャットのマイラーだからこれも真っ当な配合だ。セキトバイーストの弟で揉まれ弱さのある血統だが、皐月賞ではゴチャついたのにやめずに地力で4着まできたのは評価したい。距離2400はプラス。昨年のダノンデサイルにつづくか。
少しタフな馬場でのロンスパ戦を想定するならば、1800ベストに見えるミュージアムマイルとサトノシャイニングや、上がり3Fの瞬発力抜群のサートゥルナーリア産駒2頭はちょっと評価を下げて、母系が重厚なキズナ産駒2頭を上げてみた。
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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着を
クロワデュノール
アースライズの半弟で、母ライジングクロスはパークヒルS(芝G2・芝約13F)勝ち。母父Cape CrossはロッキンジS(英G1・芝8F)勝ち馬でロジユニヴァースの母父。父キタサンブラックはイクイノックスなどを出し成功。母母のところだけノーザンダンサーの血が入らず、母父がマイラーというのはキタサン産駒として好配合といえる。皐月賞はまるでイクイノックスのような2着だったが、東京2400でも正攻法でいい。タスティエーラのように凌ぎきる。(距離◎スピード○底力◎コース◎)
マスカレードボール
マスクトディーヴァ(父ルーラーシップ)の7/8同血の弟で、トゥーフェイスの半弟で、オメガヴェンデッタやマスクトヒーローの甥で、サンライズソアのイトコ。母母ビハインドザマスクはスワンS勝ち。見た目は父ドゥラメンテだが、薄手の体型は母父ディープのイメージ。コーナリングに難がある馬で、皐月賞は直線だけで追い込んでまるでドウデュースのような3着。ただこちらは全身運動ストライドで瞬時に差すタイプではない。東京なら坂井瑠星は共同通信杯と同じ乗り方だろう。(距離○スピード○底力◎コース◎)
ショウヘイ
ミッキークイーンやトーセンマタコイヤの甥で、エピファニーやミッキーゴージャスのイトコ。母母ミュージカルウェイはドラール賞(仏G2・芝1950m)勝ち馬。父サートゥルナーリアは名牝シーザリオの息子でエピファネイアやリオンディーズの弟。初年度からファンダムやコートアリシアンなどを出している。脚長でいかにも大箱向きのストライドで、京都新聞杯を見てのとおり上がりのケイバに強い。ここもスロー希望で、ルメールさんが好位で折り合う。(距離○スピード◎底力○コース◎)
日曜の東京芝は稍重スタートで10Rの前に良に回復、どこの競馬場でもだいたい内から乾きはじめるので、芝レースの勝ち馬は4Rダノンエンブレムと6Rニシノティアモは直線で内から2~3頭目を、8Rデュアルウィルダーは4頭目、10Rメリオーレムは5頭目あたりを走って勝っており、ダービーは離れた番手のサトノシャイニングが直線で6頭目あたりまで持ち出していて、その外でクロワデュノールとマスカレードボールの叩き合いが繰り広げられることになりました
皐月賞につづいて外枠を引いてしまったサトノシャイニングのユタカは「壁つくれずにまたかかるぐらいなら俺がペースつくってやるよ」と言わんばかりにハナに立ったのですが、ユタカが逃げると田辺がちょっかい出すというのはちょっと昔はよくあったシーン
こりゃタナベスローに落とすんかいな~と思って見ていたら、そこからも緩めずずっと12秒1を刻んで離して逃げ、レースラップは前後半でいうと72.1-71.6
クロワデュノールはユタカを追うように進出しいつでも動ける外好位、こうなると直線は後続が気になるところですが、来るなら来いとばかりに早めに追い出して早々と先頭
東京の直線で爆発したというような躍動するフォームではないんですが、実直に粘り強くLyphardらしく、ゴールまで確り駆け抜けて、北村友一としてはやりたいケイバができたという意味では会心やったんやないですかね
クロワとマスカレードの血統表やレースを何度も見返しているうちに「今年のダービーはLyphardがLyphardらしく勝つパターンじゃないか」という気がね、先週ぐらいからそんな気がしてきたんですよね
いつも書くようにディープインパクトとダンシングブレーヴは全然Lyphardじゃなくて、本格化してからのハーツクライとかキタサンブラックとか、ブラックタイドとかバブルカンパニーとか、もっと古いところでいうとレガシーワールドとかね、ああいう粘着質なのがLyphardなんやで、という話はよく書きました
ディープインパクト産駒でいうと、19年ダービーを2-2-2-2で早々と抜け出して勝ってしまったロジャーバローズ(Lyphard4×4)、12年ダービーを3-4-4-3で抜け出して競り勝ったディープブリランテ(Lyphard4×5)、この2頭がLyphardらしくないディープインパクトの産駒で最もLyphard的な馬やったと思うんですよね
だから土曜のボツ予想で、マスカレードボールとドウデュースは戦歴的に重なるところが多いけれど、ドウデュースのほうが全然ダンシングブレーヴ的で、ダンシングブレーヴとホワイトマズルってのは全く別もんで、Lyphard的粘着力を伝えたホワイトマズルを経由するからこそ、ディープインパクトとダンシングブレーヴを経由するLyphardクロスをもつにもかかわらず、マスカレードボールはLyphard的な粘着力で走る馬なのだ、ということを言っておきたかった
そんなわけで今年のダービーは、ロジャーバローズ2頭が叩き合うレースになるんじゃないかと書いたのですが、やっぱりLyphardとLyphardの叩き合いは前で受けたほうが先着するんやなと、よりLyphardの美点を表現できたクロワデュノールが7792頭の頂点に立ったのです
ちなみに2000年以降の日本ダービーにおいて、4角3番手以内で勝った馬を列挙していくと、あああホンマにLyphardくさい馬ばっかりやんか…
04年キングカメハメハ
06年メイショウサムソン(オペラハウス×ダンシングブレーヴ)
09年ロジユニヴァース
12年ディープブリランテ(ディープインパクト×バブルカンパニーでLyphard4×5)
17年レイデオロ(母母ウインドインハーヘア)
19年ロジャーバローズ(ディープインパクト×LibrettistでLyphard4×4)
クロワデュノールは母父がDanzig系のマイラーCape Crossなのもロジャーバローズと似ていますが、こういう血が母父に入ると先行力や機動力を増すことが多く、その点ではネオユニヴァース×Cape Crossでダービーを3-3-3-3で勝ったロジユニヴァースとも重なる部分があり、ロジユニヴァースにLyphardとBustedをトッピングしたのがクロワデュノールというイメージでもありますね
馬場が良まで乾いたので、重厚欧州母系でドンくさいキズナ産駒(エリキング、リラエンブレム)よりも鋭敏なサートゥルナーリア産駒(ショウヘイ、ファンダム)が有利かなと内心思ったんですが、直前でダービーの印を変えるのもイヤなんで馬券は◎○▲だけで買ってました
ジョバンニはAureoleの薄いクロスのエピファ産駒ですから、やっぱり最後は外に出して差したいだろうし、ああやってずっと馬群の中で追っていても同じ位置で流れ込むだけやないですかね
ファンダムは毎日杯のように瞬発力に賭けるんかと思ってたら好位を取りにいってかかり気味、父のダービー失速と同じようなレースになってしまいました
サトノシャイニングとミュージアムマイルは、これぐらい流れると最後は距離かなという脚色になってしまい、ミュージアムマイルは自身の距離適性としては父リオンディーズと同じようなところじゃないですかね
クロワデュノールの血統については、イクイノックスと似た配合パターンという点でずっとほめてきましたが、そのあたりはホープフルの回顧を読んでくださいということで
第41回ホープフルS回顧~涙の好位差し、盤石のキタサン教科書配合
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/314d63fb4b4d05d3a36c7e71e8a9f16b
ちなみに募集時にイクイノックスとクロワデュノールを絶賛し激推ししていた(イクイは出資もしている)キタサン名人Sくんは「デカくて緩いけど手先が重苦しくはない、というのが走るキタサン産駒です」と力説しますが、それってキタサンブラックそのものやんか(^ ^;) というわけでみなさん、キタサン産駒はキタサンらしい馬を選びましょう
キタサンブラックの産駒はこの22年産と21年産が質量ともに底といってもよく、イクイノックスが走ったのをうけた23年産以降は繁殖牝馬の質量が大幅に上がっていくわけですが(種付料も)、そんな底世代でも配合さえ決まっていればダービー馬を出してしまうのだというね、ブラックタイド×サクラバクシンオーがオークスを勝った翌週に天晴れでした
今年の二歳以降のキタサンブラック産駒は、繁殖の質が格段に向上してどのような活躍を見せてくれるか本当に楽しみですが、イクイノックスやクロワデュノールのような教科書通りの配合で生まれた中距離牡馬以外の一線級の活躍馬が出てくるのかが気になります。ディープのように桜花賞でパンツ丸出しの才気溢れる牝馬や、しなやかで底力に溢れるを春天ウィナーを出せるのでしょうか。
そして、クロワデュノールがやや早く仕掛けてサトノシャイニングを捉えてマスカレードボールを押さえ込みました。
北村友一は馬の能力を信じて乗りましたね。マスカレードボールはあれ以上の位置はとれないでしょうが、クロワデュノールがもっと追い出しを我慢してたらマスカレードボールの逆転があったのか?
いずれにしても、皐月賞では勝ち目のない捲りに急がされて早仕掛けが悪い方に出ましたが、今回はベストに近い騎乗だったなと思います。
もっと追い出しを我慢したときのクロワデュノールの末脚も観てみたかったですが、それが馬の特性としてどうなのか興味があるところです。
イクイノックスは4歳で見てみたかったです。
ちょっと嬉しかったり
> クロワでひとつ気になるのは、デビュー戦のグランアレグリア張りの超絶パフォー...... への返信
クロワの完成度ではなく他馬の成長度という視点でみると、新馬は能力で圧倒も、他馬が3歳春に完成度が高まっていく一方、クロワは緩やかな成長曲線の未完成の状態とも言えるのではないでしょうか。
緩やかな成長曲線の未完成の状態ならば本格化はこれからであろう、新馬からダービーまでに他馬が成長して能力差が詰まったとしても、その差が再度拡大していくのはこれからではないか、という可能性もあるのかなと思いました。
クロワデュノール(父キタサンブラック Lyphard 4×4)
マスカレードボール(母マスクオフ Lyphard 4×4)
オークス
タガノアビー(父アニマルキングダム Lyphard 4×4)
皐月賞
クロワデュノール(父キタサンブラック Lyphard 4×4)
マスカレードボール(母マスクオフ Lyphard 4×4)
桜花賞
リンクスティップ(父キタサンブラック Lyphard 4×4)