栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第72回朝日杯FS回顧~今年もデインヒルのプリケツ、川田+中内田がぶっこ抜く朝日杯

2020-12-21 11:57:20 | 血統予想

阪神11R 朝日杯FS
◎4.ショックアクション
○5.ドゥラモンド
▲8.レッドベルオーブ
△7.ステラヴェローチェ
×6.ブルースピリット
×15.ロードマックス
ドゥラモンドとレッドベルオープは「血統屋」のPOG書籍の推奨馬で、もちろん配合はほめてきたしここを勝ってほしい気持ちもあるが、阪神の朝日杯はデインヒルの血が強い。ここ4年の勝ち馬のうち、サリオス(母母父タイガーヒル)、ダノンプレミアム(母母父デインヒル)、サトノアレス(母父デインヒル)と、実に3頭が母系にデインヒルの血を引いている。急坂コースの芝1600で行われる2歳チャンピオン決定戦だから、デインヒルの強靭な後駆を得たマイラーに有利な舞台なのだ。
ショックアクションは父グレンイーグルズが欧州の名マイラーで、母リセットインブルーはクマニ賞(伊G3・芝1600m)3着。母父ファストネットロックはデインヒル直仔の名種牡馬でプリモシーンの母父。配合はフィアーノロマーノと同じストームキャット≒ロイヤルアカデミーのニアリークロス3×4が光る。デインヒルとストームキャットの血を活かした父母相似配合で、ノーザンダンサーの血も濃く完成度も高い。実馬もまさにフランケルとフィアーノロマーノのイメージで、巨大な後駆で大箱マイルでエンジン全開だろう。今年も勝つのはデインヒルという予想で。

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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着馬を

グレナディアガーズ
母ウェイヴェルアベニューはBCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7F)勝ちで、その父HarlingtonはガルフストリームパークH(米G2・ダ9.5F)勝ち。父Frankelは英2000ギニーなど14戦全勝の名馬で、モズアスコット、ソウルスターリング、ミスエルテ、タニノフランケルなどの父。Frankel産駒は母系が素直に出るし、本馬も母の影響が強い1400寄りマイラーか。ここは前走1400を先行で勝ったのがどうか。(距離○スピード◎底力○コース○)



ステラヴェローチェ
ゴスホークケンやアウェイクの甥。父バゴは凱旋門賞馬でクロノジェネシス、ビッグウィーク、トロワボヌール、オウケンサクラ、クリスマスなどの父。バゴ×ディープインパクトはHeight of Fashionン≒Burghclereの3/4同血クロス3×4になる。Gone West系のマイラーに底力に富む中距離血脈が重ねられて、バランスは良好だがマイラーではなく中距離馬だろう。ここはマイルの高速決着への対応がカギ。(距離○スピード○底力◎コース◎)



レッドベルオーブ
レッドベルジュール、レッドベルローズ、レッドベルディエスの全弟で、牝祖Phone ChatterはBCJフィリーズに勝った北米2歳女王。ディープインパクト×Unbridled's Song×Storm Catだからコントレイルやラウダシオンと似た輪郭の黄金配合だ。完成も早めな牝系で体質に適度に締まりがあり、デイリー杯は前半かかり気味になりながらレコードで押し切り。エンジンは上位なのでもう少しタメがきけば。(距離◎スピード◎底力○コース◎)



あと「重賞ストライク」と「全頭血統解説」のリード文で書いたことから抜粋すると…

<2014年から阪神芝外1600で行われるようになった朝日杯フューチュリティS。この阪神の朝日杯に強い血といえば、まずデインヒルがあげられるでしょう。ここ4年の勝ち馬のうち、サリオス(母母父Tiger Hill)、ダノンプレミアム(母母父デインヒル)、サトノアレス(母父デインヒル)と、3頭が母系にデインヒルの血を引いているのです。
デインヒルの最大の特長といえば大きくて強靭な後駆。急坂コースの芝1600mで行われる2歳チャンピオン決定戦ですから、この強靭な後駆を得たマイラーに有利な舞台といえるわけです。今年の出走馬でデインヒルの血を引くのは、アスコルターレ、グレナディアガーズ、ショックアクションの3頭>

<過去5年の勝ち馬はいずれも前走芝1600以上のレースを勝っており、1400で勝ってきた馬が好走するには、タイセイビジョンやグランレイやタワーオブロンドンやモンドキャンノのように差して勝っていて、ここも差しで好走できそうな裏付けがほしい。1400を逃げ先行で勝ってきたモントライゼ、ブルースピリット、グレナディアガーズなどには少しイヤなデータ>

…というわけで、今年もデインヒルが勝った阪神朝日杯ですが、当日パドックを見てもお尻が大きかったのはデインヒル経由のグレナディアガーズとショックアクション、あとバスラットレオンとブルースピリットもGreen Desertのケツ引いたなという感じでプリッてました

グレナディアガーズの母ウェイヴェルアベニューはBCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7F)の勝ち馬で、牝祖KatebyrneはNashua≒Nantallah4・4×4、Ruby ParkはBold Ruckus≒Mr.Prospector1×3(Raise a Native3×4)、Lucas StreetはMr.Prospector≒Bold Ruckus3×3・4、そしてウェイヴェルアベニューはMr.Prospector≒Bold Ruckus4×4・4・5



代々ミスプロ的な血のクロスを重ねてきて、父系がUnbridledのラインで母父がDeputy Ministerのラインですからこのパワーも感じる体質で、レースをみても戦績どおり、配合どおりダ7Fに強いスピード馬という印象です

種牡馬FrankelはBlushing Groomの血を引くのでわりとオールラウンドで、Blushing Groom的Tom Fool的にオールラウンドで、芝もダートもマイルも2400も出すし、オールラウンドなだけに相手牝馬のキャラを活かす面もあります

モズアスコット…母IndiaはコティリオンBCH(米G2・ダ8.5F)勝ち
ソウルスターリング…母スタセリタは仏オークスなど芝中距離で大活躍
ミスエルテ…母ミスエーニョは2歳時にデルマーデビュータントS(米G1・AW7F)勝ち
タニノフランケル…母ウオッカはマイル~中距離の大レースを勝ちまくった名牝

だからグレナディアガーズの場合も、ウェイヴェルアベニューの息子で1400はオール好走だけどマイルではレッドベルオープのHペース圧勝に潰された記憶しかなく、しかも前走は強かったとはいえ開幕週の先行押し切り、スピードは評価できても朝日杯では苦戦するパターンだろうと思い込んでましたね

モントライゼがガンガン行ってレースラップが45.2-47.1、Mahmoud計測ではグレナディアガーズで前後半46.1-46.2、非サンデーのパワーマイラーが緩みないペースで一本気に走破したことがまず勝因としてあげられるかと

いつも書くことですが、前半も後半も全体時計も速いようなレースになればなるほど高速巡行力や追走力の比重が高くなるので、たとえば1600戦では1400ベストのグランアレグリアが強いし、2400戦でも1800~2000ベストのアーモンドアイが強いわけで、ステラヴェローチェもレッドベルオープもディープの血を引き現状1400よりは1800というタイプでしょう

グレナディアガーズが1400寄りの完成度の高いスピードとパワーを存分に発揮したレースでしたが、この血統ですから先々はモズアスコットのように芝ダ両刀になる可能性も十分あるでしょうね

デインヒル+川田+中内田で朝日杯をぶっこ抜いたプリケツとなると、ダノンプレミアムと重ね合わさずにはいられないですが、来年以降の蹄跡に注目しましょう

今日もステラヴェローチェはあまりマイラーっぽくない粘着質な脚で差して2着、この高速戦に対応したのは立派だし、実にHyperion的な体質脚質の馬ですからクロノジェネシスのようにまだまだこれから成長するでしょうが、バゴ産駒ですから「母のスピードで先行し、父のスタミナで踏ん張る」ような脚質にシフトしていったほうがいいのではないかとは思います

それと現状は母方のGone West的なマイラーっぽさが強い輪郭で、ゴスホークケンがHyperion体質になったようなイメージにも見えるので、3歳~古馬になってまだまだ変わってくる馬でしょうが、バゴもBlushing Groomですからいろいろ出しますから、見るからに華奢だったクロノジェネシスほどは中距離馬然としてないように思うんですよね(ちなみにオールザウェイベイビーの仔はJRAに9頭が出走し計10勝をあげていますがうち7勝がマイルです)

レッドベルオープは今日のペースでもやや行きたがってしまい、それがゴール前で応えた感もありますが、コントレイルやラウダシオンと同じディープインパクト×Unbridled's Song×Storm Catの超黄金配合で、全兄姉が全て活躍しているのは納得

母レッドファンタジアの母母Phone ChatterはPhone Trick産駒で、Mr.Busher≒Busanda4×4をもち、2歳時はBCJフィリーズを含む6戦4勝で北米2歳女王に選出されました

しかしPhone Trick~Clever Trickのラインらしい早熟で3歳以降は重賞すら勝てず、Phone Trickといえば年寄りはエイシンレマーズの現阪神JFの激走(11人気でスティンガーの2着に追い込み大穴をあけた)をまず思い起こします

最近では、英2000ギニーに勝つも英ダービーは大敗したDawn Approach(ファストアプローチの父)の母父がPhone Trickで、New Approach産駒なのにミオスタチン遺伝子C/Cのムキムキマイラーというのが話題になりましたね



ファンタジアの仔も2歳早期から適度に締まりがあって印象的な勝ち方をするいっぽうで、すでに締まっているぶん3歳以降に大きな伸びしろはみられないという傾向もあり、それはPhone TrickやPhone Chatterの長所でも短所でもあるわけで、2歳時にマイルを4回走って[2-1-1-0]、デイリー杯に勝ち朝日杯3着ですからね

ショックアクションはパドックがどうもピンとこなかったというか、ゴドルフィンならブルースピリットのほうがよく見えるなあ~と言ってたぐらいで、この休養でまさにフィアーノロマーノ方面に寄ってきたのかと思ってたんですが、あまり収縮やしなりを感じさせない歩きやったのでデキ一息説も有力かも…いずれ短距離に寄ってきそうなのは寄ってきそうですが

ドゥラモンドは母方の影響でドゥラメンテよりはマイラーっぽい体型なんですが、脚長で体質は実にしなやかで、大箱1800でザダルのようにナスペリオン的に斬れるイメージですかね

ここはユタカの大外一気が見られるかもと楽しみにしていたんですが、このペースでも前半かかってしまうとは鞍上も想定外やったかと…やっぱりBroad Brushは末特化で乗りたい血ですからね

コメント (3)
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