栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第72回阪神JF回顧~純白の女王、白いパンツは見えたか

2020-12-14 13:59:13 | 血統予想

阪神11R 阪神JF
◎18.メイケイエール
○6.ソダシ
▲7.サトノレイナス
△17.フラリオナ
×10.シゲルピンクルビー
阪神芝は今週からBコースで、仮柵を移動させてもさすがにインは荒れているが時計や上がりは出ている。桜花賞と同じ阪神外マイルの牝馬G1で、今年も天賦のスピードや斬れ味がモノを言うレース、最高速度が問われるレースだろう。
◎はメイケイエール。ミッキーアイル×ハービンジャーだから「父マイラー×母父中距離」で、サンデー3×4やデインヒル4×4など強力な父母相似配合。父を細身にしたようなマイラー体型で、ストライドはしなやかに伸びるし強靭でバネもある。桜花賞を展望できる華麗なマイラーだが、短距離のHペースでも全開で走りたがる気性が問題で、エンジンやアクションがすごいだけに大外枠から吹かしていったらバタバタになってしまうかもしれない。でも来春のクラシックに直結するレースだから、天賦の素質やスピードに◎を打つならこの馬しかいない。確率は五分五分だろうが、単勝600円なら◎で筋はとおる。
フラリオナはストロングリターン産駒でニジンスキーのクロスだからプリンスリターンやツヅミモンと似た配合で、小柄だが大箱マイルで更にパフォーマンスを上げてくるはず。シゲルピンクルビーはピンクダイヤの下で母父ハイチャパラルはリヴァーマンの斬れを牝馬によく伝えるから、大箱マイルで気楽に追い込んだら面白い。ヒモ穴はこのあたりではないか。

-----------

例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着馬を再掲

ソダシ
ユキチャンの甥で、ハヤヤッコのイトコで、メイケイエールも近親。ちなみにハヤヤッコはキンカメ×クロフネ×シラユキヒメで、本馬はクロフネ×キンカメ×シラユキヒメ。白毛で有名な一族で、ダート上級がコンスタントに出るが、本馬は母系のNureyevやHalo≒Droneのニアリークロスの影響で芝OK。アルテミスの完勝をみるとマイルが良さそうだし、完成度もなかなか高いのでここも有力だろう。(距離◎スピード○底力○コース◎)



サトノレイナス
サトノフラッグの全妹で、ダンサールの3/4妹で、亜2000ギニー馬Le Bluesの姪。母バラダセールは亜オークス(亜G1・ダ2000m)や亜1000ギニー(亜G1・ダ1600m)に勝った。母系の奥に重厚なスタミナ血脈が強く、ディープ牝駒にしては地力や持続力を感じさせる走り。概ね兄と似たタイプとみてよく、サフラン賞は61秒で追走し34秒で上がって中距離馬のレースで差し切った。マイルのHペースで追走がどうかだろう。(距離○スピード○底力◎コース◎)



ユーバーレーベン
マイネルファンロン(父ステイゴールド)の3/4妹で、母母マイネヌーヴェルはマイネルチャールズやマイネルアワグラスの全姉でフラワーCに勝った。父ゴールドシップは初年度からウインマイティーやブラックホールを出しており、ゴールドシップ×ロージズインメイはマイネルソラスと同じ。札幌2歳は最後方から捲り上げて長く脚を使ったが、父も母も母母も母父も中距離馬だから、距離はもう少しほしい。(距離○スピード○底力◎コース○)



短距離を使ってきたヨカヨカがジワリとハナに立つと、そこから11秒後半にペースを落として、前後半46.8-46.3の後傾ラップ

このペースを絶好位で折り合ったソダシは、直線追い出すと力強く反応してメイケイエールを交わし、サトノレイナスとユーバーレーベンの差しを凌いで無敗の2歳女王の座に

中距離馬が追走できて斬れるペースだったので、ソダシとメイケイがマイラーの加速で抜け出したところを、サトノとユーバーが中距離馬の脚で差してきた…というレースやったと思います

メイケイエールはスタート直後に接触したのもありますが、大外枠を引いたので、ユタカは最初は馬群から離して落ち着かせようというハラやったようで、しかし馬群に寄せていくとやっぱり全力で走りたがる

けっきょく今日もファンタジーぐらいは引っかかったというべきで、そのまま直線ビュンと先頭に立ってこの差ですから、ファンタジーぐらいは走ったと思います

ミッキーアイルが勝ったマイルCSは46.1-47.0、娘もタメたらタメただけ斬れるというタイプではなさそうで、もっと前傾で流れたほうが却って踏ん張れたのではないかとも思いますが、いずれにしても課題は残ったままで来春を迎えることになりました

サトノレイナスはソダシの直後をすぐ取れたし、ルメールが本命マークでキッチリ差せるパターンやったんですが、全兄サトノフラッグと似たところはあって、母方のHyperion的な粘着力持続力を感じさせる中距離馬の末脚で、外マイルでバキューンと弾けて差しきってしまうほどの華のある脚ではなかったですかね…ゴール板すぎたら完全に交わしてるんですが

ユーバーレーベンは父も母も母父も母母も3/4同血の兄も中距離馬で、マイルだとこれぐらいの追走になってしまいますが、この馬のラップで59.3-33.6ですか、中距離馬の追走で中距離馬の脚で追い込んでここまできたのは立派で、一昨年のクロノジェネシスがずっとそんな感じでしたよね

ホエールキャプチャ、カレンチャン、スリープレスナイト、ホワイトフーガなど優秀な娘を続々と送り出してきたクロフネですが、さすがにアエロリットが晩年の傑作かと思ったらこんな純白の女王が出るとは



血統表を見てのとおり、ハヤヤッコ(レパードS)=ピオノノ(③北海道2歳優駿)とはクロフネとキングカメハメハの順番が入れ替わっただけの関係で、金子×金子×金子のリアルダビスタ配合

ポイントはブチコがNureyevとTopsiderのニアリークロス4×3になることで、NasrullahとRough Shodの組み合わせはBlenheim≒Dalmaryのニアリークロスになります





  ┌Nasrullah
 ┌○
┌○
Star de Naskra
│   ┌Hyperion
│  ┌○
└△┌Tudor Minstrel
 ││└△
 ││ └Lady Juror
 └Star Minstrel
  │┌Royal Charger
  └△┌Hyperion
   └△

しかもウェイブウインドの母父Star de NaskraはNasrullah≒Royal ChargerとHyperionとLady JurorですからSpecial的な血脈構成で、つまりNureyevとウェイブウインドがニアリーなのだという言い方もできますね

そして以下のように、このウェイブウインドの牝系は、Nureyevの血を引く種牡馬を配することで成功してきたとも言えるのです

●ウェイブウィンド牝系のJRA出走馬一覧(黄色はNureyevの血を引く種牡馬)




ソダシとメイケイエールも、シラユキヒメにクロフネとNureyevを入れたという意味では同じで、Nureyev≒ウェイブウインドのマイラー2頭が直線先頭に立ったJFでした

ちなみに、母系にTopsiderをもつJRA出走馬は勝ち馬率41%(329/813)で1頭当賞金1526万円、父系にNureyevをもつJRA出走馬は33%(3817/11709)1392万円、そして母系にTopsiderをもち父系にNureyevをもつJRA出走馬は47%(50/107)1566万円、いちおうNureyev≒Topsiderのニアリークロス単体でも効果があるというデータは出てます

ソダシは基本的にはパワー優勢の配合で、マイル戦でサッと好位につけて力強く反応よく加速して抜け出すマイラーの教科書みたいなレースをするし、操縦性や完成度の高さでもここでは抜けてました

ただし今日の勝ち方に、来春の桜花賞は決まり!と言いきってしまえるほどの華があったのか、果たして白いパンツは見えたのか

今のところは、デインヒル柄のパンツしか見たことないんですよね私は

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする