栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第21回チャンピオンズC回顧~名血オータムブリーズ、力強い捲りでついに雪辱

2020-12-07 12:14:17 | 血統予想

中京11R チャンピオンズC
◎15.クリソベリル
○9.アルクトス
▲6.エアスピネル
△4.エアアルマス
△7.カフェファラオ
クリソベリルは外を引いてしまったが、好位をとれる馬だし昨年よりは乗りやすいと思う。馬体も一年経って更にパワーアップしており、今週の坂路で時計が出なかったのはズブくなっているのもあるのでは。アルクトスは今週の追い切りが素晴らしく、5歳秋にいよいよ本格化を迎えたようで、今なら良馬場でも1800でもやれそうな期待。カフェファラオとエアアルマスはエンパイアメーカーの血を引くので、内々で砂をかぶるとまずい。どこかで外に出せたほうが圏内までくるとみたい。ゴールドドリームは峠を越えた感があるし、サンライズノヴァは一番外に出して追い込む手しかないし、モズアスコットはヘネシーが強いマイラーで、インティはフェブラリーを逃げ切ったころと比べると相変わらず馬に硬さが残る。もう一頭拾うならエアスピネルで、アイドリーム牝系らしいピッチ走法だから本来コーナリングはいいタイプ。ウェスタールンドのようなイン差しがハマるならこれでは。

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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より、リード文と1~3着馬を

急坂でNureyevとRobertoのパワー、穴ならVice Regent系の差し
チャンピオンズCは急坂つきのダ1800だから、Nureyev(クリソベリル、ゴールドドリーム、サンビスタ、アウォーディー、インティ、コパノリッキー)とRoberto(ルヴァンスレーヴ、テイエムジンソク、サンライズソア、コパノリッキー)の血を引く馬たちがよく走っているのは順当といえる。
いっぽう、近5年で6人気以下で馬券に絡んだ馬は6頭いるが、うちゴールドドリームとサウンドトゥルーとアスカノロマンはDeputy Ministerの血を引き、サンビスタとウェスタールンドはDeputy Ministerの父Vice Regentの血を引いていた。また6頭のうち4頭は4角6番手以下からの差し追い込みで、Vice Regent系の血を引く馬の差しが穴。一週前登録で該当するのはゴールドドリーム(母父フレンチデピュティ)とサトノティターン(母父Deputy Minister)で、たしかに届けば穴ですかね。

チュウワウィザード
母チュウワブロッサムはJRA4勝。母母オータムブリーズは優秀な繁殖で、子孫にルヴァンスレーヴやアイアンテーラーなども出る。中距離(キングカメハメハ)×短距離(デュランダル)の組み合わせで、母のノーザンテースト3×4の影響も強いピッチ走。圧勝の川崎記念を見ても小回りでの機動力が本領だろう。中京のチャンピオンSとなると、スローの上がりのケイバのほうがチャンスはあるか。(距離◎スピード○底力○コース○)



ゴールドドリーム
母モンヴェールはJRA4勝。3代母StatisticはジェイドロバリーやNumerousの全きょうだいにあたる。Specialにさかのぼる名牝系で、しかも本馬はNureyev≒Numberの3/4同血クロス3×4を持つ。同父のクリソベリルと比較するとこちらのほうがマイラー寄りで、今は大箱1600~1800がベストコースだろう。ゴールドアリュール産駒らしい揉まれ弱さはあり、直線で外に持ち出せば必ず伸びるが、さすがに全盛期の力を望むのは…。(距離○スピード○底力◎コース◎)



インティ
フロリダダービー2着Blue Burnerなどが出る牝系で、母キティはJRA4勝(ダ1700~1800)。父ケイムホームはタガノトネールやヒザクリゲなどを出すスピード型。Gone WestとアフリートとStorm Catのスピードを活かした配合で手先は軽いが、後駆や飛節はアリダー的に強靭だ。アフリートの血を引くので揉まれると淡白になってしまうし、今は1800のほうがスンナリ先行しやすいだろう。昨年3着の再現を。(距離◎スピード◎底力○コース○)



終わってみればKingmamboとRobertoを引くチュウワウィザードが勝ち、Deputy Ministerを引くゴールドドリームがその直後から差し込んで、例年のチャンピオンズCの傾向どおりの結果だったのですが、ゴールドドリームとインティはもう全盛期を過ぎているのでは…というのが私の見立てでした

その考えはレース後もあまり変わらないというか、同じ良馬場でも昨年より時計半分ぐらいかかるような馬場ではあるんですが、昨年直線でちょっとロスがあったチュウワウィザードが1.48.8で走破したのが今年は1.49.3で、ゴールドドリームは1.48.5→1.49.7、インティは1.48.7→1.49.7

けっきょく昨年の2~4着で衰えがなかったチュウワが勝って、やや衰えは見られるもののゴールドとインティが2着3着に入り、アルクトスとモズアスコットはやはりマイルがベストで、新星のカフェファラオやクリンチャーはいろいろ敗因はありますが案外だったという結果

大本命のクリソベリルはヨシオの後ろは嫌だと言わんばかりにその内に入ってインティの直後を取ったのは目論みどおり、その直後にチュウワ、その直後にゴールド、ここは直線まで一本のラインでした

ポジションを取りにいったときにかかり気味になったとはいえ大きな影響はなかったはずで、インティやチュウワと同じようなところを走ってきたので外枠も言い訳にはならず、しかし直線で川田が追い出しても伸びず反応せず流れ込んだだけで、インティを捕まえられずチュウワにアッサリ交わされてしまいました

反応せずもっさり流れ込んだだけの姿は水曜の坂路調教ともオーバーラップしましたが、今週と先週の調教に跨った川田は「一週前も良くなかったが今週も良くない。当日までに変わってほしい」と辛口ジャッジで、音無先生は「2週前に速い時計が出てるんで…土曜に坂路でちょっとやります」

レース当週の坂路の時計は、JBCクラシックが51.4-37.8-25.1-13.0、帝王賞が52.1-38.3-25.1-12.6、昨年のチャンピオンズが52.4-38.5-25.3-12.9、そして今週水曜が54.0-39.4-25.2-12.5ですから、クリソの追い切りとしては異例の遅さだったといえます

坂路の映像を見ても、なんだか走るのがかったるいなあ~とでも言いたげなもっさり感がありましたが、フォトパの体つきなんかは素晴らしかったし、レースキャリアを重ねて古馬になって、ズブくなって調教じゃ走らなくなったんかなあと、まあ負けることはないだろうと楽観してましたね

前走JBCから一か月、この馬にとっては初めての詰まったローテで、しかも2週前に坂路51秒台という速い時計を出し、そこで馬がピークアウトしてしまったのかもしれないです

それと今年は48.5-11.8-49.0と緩みないペースで流れたので、今のクリソにとっては追走も少ししんどくて、よけいにゴール前で苦しくなってしまったようにも思いますね…今日でも2000のスローならもうちょい踏ん張れたのではないかと

全兄クリソライトは2400のダイオライトを連覇、姉マリアライトも兄リアファルも長いところで活躍したし、母の全弟アロンダイトは東京2100のJCダート勝ちで、スタミナとパワーが自慢の牝系です

父のゴールドアリュールもダートでまともに負けたのは一度だけで(ラストランの帝王賞大敗はもうノドが鳴っていた)、それが49.3-12.0-50.9と前傾ラップで流れた中山1800のJCダートやったんですね

体調ひと息のところへもってきて、1800の緩みないペースをかかり気味に追走し、直線ではもう疲れていた…というのが今日のクリソベリルやったと思います

チュウワウィザードは直線でクリソを交すときの勢いが違ったし、この馬は母のノーザンテースト3×4の影響が強い走りなので、大箱をストライドで差すというよりは急坂小回りを捲り差すような脚質です

中京のチャンピオンズCはコーナーが鋭角なので、差すならウェスタールンドとかサンビスタみたいなやつ、パワーとピッチとコーナリングで半分捲るような差しでないとなかなか届かないんですよね

前述のVice Regent系が差し届く傾向とも一脈通じるものがあり、ノーザンテーストとかVice Regent~Deputy MinisterとかFanfrelucheとか、そういうカナディアンパワーでワシャワシャ捲り差すコースというべきでしょうかね

チュウワウィザードは一昨年の覇者ルヴァンスレーヴとはイトコの間柄で、母母オータムブリーズは近年最高の砂の名繁殖

オータムブリーズ(f.ティンバーカントリー)
├マエストラーレ(f.ネオユニヴァース)JRA4勝
│└ルヴァンスレーヴ(m.シンボリクリスエス)チャンピオンズC,JDD,南部杯,全日本2歳優駿
├チュウワブロッサム(f.デュランダル)JRA4勝
│└チュウワウィザード(m.父キングカメハメハ)チャンピオンズC,川崎記念,JBCクラシック
├コルポディヴェント(m.フジキセキ)JRA5勝
アイアンテーラー(f.ゴールドアリュール)クイーン賞
└アイキャンテーラー(m.フリオーソ)JRA現役2勝



ダイナフェアリーはHyperion4・5×5の「3/4Hyperion」
リアルシャダイは父RobertoがRoyal Charger≒NasrullahとSir Gallahad=Bull DogとBlue Larkspurをクロスする父母相似配合で、母父In RealityがWar Relic3×3
リアルシャダイ×ダイナフェアリーのセプテンバーソングはAlibhai5×5がメインクロスで強いクロスなし
Fall AspenはHyperion3×4、Selene4・5×5の「3/4Selene」のスーパー名繁殖
WoodmanはNasrullah4×4で、その母プレイメイトがBusanda≒Striking2×3
Woodman×Fall AspenのティンバーカントリーはSwaps4×3で「3/4Hyperion」



そしてティンバーカントリー×セプテンバーソングのオータムブリーズはGold Digger≒Bramalea4×4で、JRA平地2勝障害1勝とタフに走り、子孫はJRAに24頭が出走し18頭が勝ち馬となっており、複数の枝からG1馬やオープン馬が出ています

代々の緊張→緩和がみごとな配合で、ダイナフェアリーとFall AspenのHyperionでこんな名繁殖をつくれるのが素晴らしいですが、チュウワウィザードはMr.Prospector3×5、ルヴァンスレーヴはRoberto3×5ですから、オータムブリーズがもつGold Digger≒Bramalea4×4を累進させているのもポイントで、ルヴァンスレーヴの産駒の配合もヌレサド投入がまず第一手でしょうね

コメント (3)
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