栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第36回マイルCS回顧~後傾ラップ、鮮烈ピッチ

2019-11-18 10:10:05 | 血統予想
京都11R マイルCS
◎3.マイスタイル
○1.ダノンキングリー
▲8.プリモシーン
△12.モズアスコット
△14.ダノンプレミアム
×5.インディチャンプ
×7.ペルシアンナイト
×17.レイエンダ
ダノンキングリーの毎日王冠はまぎれもなくG1レベルだし、インディチャンプやプリモシーンも今度は巻き返せる態勢、モズアスコットは追い切りも馬体も素晴らしくて絶好調か。しかしマイスタイルも前走は差しに回って3着と味なケイバで、ここへきて馬体の充実も目を引き、ハーツクライ牡駒が5歳秋についに本格化という見方もできる。トニービンの血は京都外回りでは鬼門だが、ビートブラック(父ミスキャスト)やクィーンスプマンテ(父ジャングルポケット)が人気薄でアッと言わせたのはいずれも大逃げだった。川田はハナは切りたくないだろうから、ここは押し出される可能性が高く、母父フォーティナイナーもエポカドーロやテイエムジンソクなど行ってナンボ。07年皐月賞をヴィクトリーで逃げ切って以来、JRAG1で52連敗中の田中勝春の4角先頭に期待してみたい。能力と出来は◎を打てるレベルにある。

またNETIKEIBAのダノンキングリーにスポットを当てた特集では以下のように書きました
<ここ10年のマイルCSを振り返ってみると、前半800m-後半800mで前半のほうがラップが速かった年は、ペルシアンナイト、ミッキーアイル、ダノンシャーク、エイシンアポロン、エーシンフォワードと、短距離~マイル路線中心に走っていたマイラーが勝つことが多い。
ところが前半のほうが遅かった年は、ステルヴィオ、モーリス、トーセンラー、サダムパテック、カンパニーと、いずれも中距離で実績がある馬が勝っている。
今年はアエロリットが出てこないし、マイスタイルはスワンSで差しに回って好走しているから、ペースはそれほど上がらず、後半800mのほうが速い後傾ラップになるとみるべきか>

今年のマイルCSは前後半47.2-45.8で流れ、結果は前走毎日王冠が1,3,5着、秋天が2,16着、スワンが4,8,10,12,14着、富士が6,7,9,15,17着でした

そして中距離馬優勢の後傾ラップで流れたので、父ステイゴールド、父ディープインパクト、母父サンデーサイレンス、父ハーツクライ、父ディープインパクトと「1/4サンデーサイレンス」が掲示板を独占しました

この日の京都芝も相変わらずオルフェーヴル産駒が勝ちまくっていて(2Rゴルトファルベン、5Rディアマンミノル、9Rバイオスパーク)、もちろんPrincely Gift的前駆で下るのが上手というのはまずあるんですが、荒れ馬場や緩い馬場をしっかり掴んで走れるという点でも、ステイゴールドの上級産駒はノーザンテーストの力強さが表現されていることが多いですからね

しかもこの日はインが更に荒れてきたのか、午前中から明らかに外伸び優勢のバイアスでもありました

距離短縮組優位な後傾ラップ、オルフェ産駒が躍動する荒れ馬場、そしてドリームジャーニー=オルフェーヴル兄弟で大レースを勝ちまくり、自他ともに認めるピッチ走ステゴ産駒マスター池添謙一がピンチヒッターに指名された時点で、マイルG1春秋連覇のお膳立ては整っていたということですね

データ的には勝春が46秒-46秒ぐらいで逃げるしかスワン組や富士組に望みはなかったわけで、しかし思った以上に折り合いがついてしまったし、外差し馬場も踏まえるとまあ頑張ってくれたかなと

いぶし銀のハーツクライ牡駒を昆先生が手がけたらそら今が全盛期やで!京都外ではトニービンは鬼門やけど4角先頭なら関係ないかもしれんで!という無理やりな◎には十分応えてくれた4着やったと思います

それにしても、最近のG1回顧では毎度同じことを書いている気がしますが、川田が乗る1人気の先行馬の直後というのはどう考えてもベストポジションで、スタートを決めてそこを取れた時点でインディチャンプの勝ちやったなと、改めてリプレイを見るとそう思いますね



インディチャンプの配合については安田記念の回顧を読んでいただきたいですが、名繁殖トキオリアリティーの素晴らしいところは、まず代々の配合パターンが素晴らしい、Northern DancerやTurn-toなど流行の血を全く取り込んでいないのも素晴らしい

そして北米アウトサイダー血脈で固めているのでどんな血を配してもアウトブリードになるので、仔や孫は成長力に富み古馬になってもう一皮むけるんですよね

新種牡馬リアルインパクトが好発を決めた後やや伸び悩み気味で、というよりキズナとエピファネイアがバンバン勝ちまくるのでその陰に隠れて…という現況ですが、リアルインパクト産駒は仕上がり自体は早いでしょうが決して成長力がないわけではなく、インディチャンプやリアルインパクトやネオリアリズムやアペルトゥーラみたいな成長曲線を辿る産駒がこれから出てくるだろうと思ってますよ

1~3着馬についてはNETKEIBAの血統解説から再掲しますが、ペルシアンナイトはピュアマイラーではないので33秒台決着のマイルCSならば毎年好走するし、ダノンキングリーはずっとラチ沿いを走らされて僅差5着なら枠に泣いたというだけの解釈でいいでしょう

インディチャンプ
アウィルアウェイの3/4兄で、母母トキオリアリティーはリアルインパクトやネオリアリズムを産んだ名繁殖。ステイゴールド×キングカメハメハはステイフーリッシュと同じ。母方の影響も強いマイラー体型で、末脚の鋭敏さは現役屈指だ。折り合いに難しいところがある血統でもあり、1800の毎日王冠やスローのマイラーズCでは前半行きたがってしまった。ここも先行馬があまり見当たらないのが気がかり。(距離◎スピード○底力◎コース○)



ダノンプレミアム
母インディアナギャルはDanzig4×3を持ち、芝8Fと芝10Fの愛G3競走で2着。その父IntikhabはRaja Baba系のマイラー。デインヒルとRobertoから強靭な後駆を受け継ぎ、いつもスタートがいいし坂をのぼるときの加速が圧巻。母方のマイラーっぽさも出た体型でベストは1800とみているが、天皇賞は坂を力強く駆け上がったもののゴール前で苦しくなった。ここは相手関係的に当然チャンス大。(距離○スピード◎底力◎コース○)



ペルシアンナイト
ゴールドアリュールやゴールスキーの甥でソロルのイトコ。母母Reluctant GuestはビヴァリーヒルズH(米G1・芝9F)勝ち馬。ディアドラやモズカッチャンと同じく、母系にNureyevとNijinskyが入るハービンジャー黄金配合だ。ミルコは1800がベストと言っているが、血統的にもピュアマイラーではないのでマイルで高速決着になると苦しい。ここ2年のような1分33秒台のゾーンなら。(距離○スピード○底力◎コース○)



第69回安田記念回顧~最強のピッチ、最強の継続騎乗、最強の名繁殖
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/3dabdc2b7e44eab83b03c6e086311ea2
コメント (21)
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