栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第78回菊花賞回顧~未曽有の不良馬場、DanzigとRibotとRobertoの菊

2017-10-23 13:41:45 | 血統予想

京都11R 菊花賞
◎5.トリコロールブルー
○15.ダンビュライト
オルフェーヴルは神戸新聞杯を+16キロで、フェノーメノはセントライト記念を+8キロで、マイネレーツェルはローズSを+12キロで快勝し、クロコスミアはローズSを+14キロで2着に踏ん張り、レインボーラインは札幌記念を+10キロで3着に追い込んだ。馬体重は大きく増えてはいないが、ゴールドシップもナカヤマフェスタもドリームジャーニーも神戸新聞やセントライトを勝ってその後の飛躍につなげた。
ステイゴールド産駒は基本的には晩成で成長力に富み、3歳の夏休みで馬体重が増えて後駆に肉がついて本格化する。トリコロールブルーは青葉賞は-10キロでイレ込んでいたが、前走日高特別は若干余裕残しとはいえ後駆の肉付きなど春とは別馬で、そしてこれはオープン級という格を見せつけてねじ伏せるように差し切った。前駆がきれいに伸びるステイゴールド産駒だから京都の長丁場の適性も高いはず。
ダンビュライトはラブラドライトの3/4同血の弟で、トボトボと燃費のいい走りをするのでステイヤーだろうという見立てできた。マリアライトやリアファルなどが出る牝系はリボーやラトロワンヌのパワーが強く、キャサリーンバー牝系の芝馬場状態別成績は良[30-27-30-177]連対率22%、稍[7-5-3-25]31%、重不[6-0-1-13]30%と道悪は鬼だ。

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神戸新聞杯当日は社台スタリオンで種馬を見せてもらってて、うつらうつらと眠そうに佇むルーラーシップを前に「今日こそ初重賞制覇の大チャンス、逆に言うと神戸新聞勝てないようでは、3歳時に勝てる重賞ないんじゃないですか(^ ^;)」なんて言ってたんですが、なんと初重賞制覇はド不良馬場の菊花賞でした

産駒のJRA初重賞タイトルが菊花賞という種牡馬は、90年メジロマックイーンのメジロティターンと、76年グリーングラスのインターメゾぐらいじゃないか、という話をタイムライン上でしてたんですが(あと石塚さん情報ではホリスキーのマルゼンスキーも)、ルーラーシップ産駒の芝距離別成績は

1600m以下[8-12-10-129]連対率13%、複回値50
1800m[17-20-23-108]連対率22%、複回値88
2000m[21-13-17-93]連対率24%、複回値91
2200m[3-4-3-15]連対率28%、複回値110
2400m[4-4-42-11]連対率38%、複回値96

また17年度の14年生産駒のリーディングではディープインパクト、ハーツクライ、ダイワメジャーにつづく4位にランクインしており、データでいうと3歳以降に距離延びて台頭してくる馬が多く、その筆頭がキセキだったという菊花賞勝利でした

土曜に「一言コメント」で以下のように書いたんですが、

ブレスジャーニー:テースト≒Storm Birdナスペリ斬
ウインガナドル:Princely Gift細身黄金配合
クリンチャー:掻き込みスピリッツミノル
トリコロールブルー:ステゴネイエフ
サトノアーサー:大跳びフルーキー
サトノクロニクル:下り下手コーナー下手ハーツ
ベストアプローチ:欧風Robertoサドラー
ミッキースワロー:カンパニーGrey Sovereign増し増し
キセキ:ディープ前駆Danzig後駆
ダンビュライト:軽快ラブラドライト
アルアイン:リアルインパクトA.P.Indy風







菊で血統屋が白羽の矢を立てるステイヤー種牡馬といえば、一昔前はダンスインザダーク、もう一昔前はブライアンズタイムやリアルシャダイのRoberto系

スリーロールスはダンスインザダーク×ブライアンズタイムでGraustark5×4、デルタブルースはダンスインザダーク×AllegedでRibot6×6、フォゲッタブルはダンスインザダーク×エアグルーヴ



Danzig4×3とGraustark5×3を持ち、その配合どおりスピリッツミノルをグラスワンダー走法にしたようなクリンチャーの力走には、あの頃の懐かしの菊花賞が戻ってきたという趣もありました

(当日のブログでのやり取り)
12:30「グレイルはデインヒル走法なので道悪苦にしないね(・∀・)」
12:38「京都芝はDanzig持ちがきますね」
13:29「またDanzig(ハピネス)勝ちましたな」
15:55「Roberto走法の馬が2着4着やから、馬場適性が大きかったかな」

キセキはPasadoble≒Alleged5×4で3代母の父Danzig、クリンチャーはDanzig4×3とGraustark5×3で母父Roberto系

私が目の当たりにした日本最強のパワーランナーはグラスワンダーですが、そのグラスワンダー親父が絶賛しそうな中山内2500m向き掻き込み走法でガシャガシャ走るクリンチャーとマイネルヴンシュが上位に健闘し、DanzigとRibotとRobertoを持つ馬が掲示板を占めたのも(1,2,4着がDanzig持ち、2,3,4着がRoberto持ち、1,2,5着がRibotのクロス)、未曽有の不良馬場への適性が明暗を分けた証左といえるかと





デルタブルースについては以前GCの番組で角居先生が、「こういう胴の長い長距離向きの馬は、体幹がシッカリしてくるまで無理せず成長を促す」という話をされてました

一言コメントにも書いたように、キセキは前駆はディープインパクト譲りでHalo≒Sir Ivor的にきれいに前肢を伸ばして着地しますが、後駆はロンドンブリッジ譲りでDanzig的に強靭に蹴れる

この「前駆はHalo的サンデー的、後駆はDanzig的」というイイトコドリこそが最近の日本の芝中距離で成功するトレンドともいえ、たとえばモーリスもサトノダイヤモンドも前はきれいに捌くけれど後駆はDanzig的に強靭

キセキは全体のシルエットはルーラーシップらしく脚長で伸びのある体型で、デビュー当初は全体に緩さが目立ちましたが、毎日杯後の休養で芯が入り後駆も強靭になり、そこからはレイデオロに負けただけの4戦3勝で菊花賞まで勝ってしまった

ルーラーシップの思い出といえばいろいろありますが、何といっても引退レースの有馬記念、あの大出遅れかました直後の映像ですね、ゲート後ろで頭を抱える角居先生の姿が今も鮮明です(^ ^;)

グルヴェイグも4歳時についに完成させたように、こういうしなやか全身運動で走る中長距離馬をしなやか全身運動でシッカリ走れるように育て上げる手腕は、今でもこの厩舎がナンバーワンなのだ…ということを示した菊花賞でもあったかと



ルーラーシップ自身も芝重不は[2-0-1-0](2勝はAJCCと金鯱賞)と鬼でしたが、この3戦は中山と京都内回りで、東京や外回りで渋った馬場なら更なるベストパフォーマンスを叩き出したかも…なんてことも夢想したくなるキセキの完勝でした

ルーラーシップ産駒の芝馬場状態別成績
良[43-44-49-294]連対率20%、複回値80
稍[6-6-4-51]連対率18%、複回値52
重不[6-3-4-25]連対率34%、複回値89

コメント (4)
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