栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

「2歳勝ち馬評価」先週ぶんを更新&雑感

2017-07-20 12:55:13 | 血統予想

1986年春の天皇賞、京都競馬場のスタンドで、鉄板のはずのスダホークが沈んでいくのを、大学生は呆気にとられて観ていました
11人気のメジロトーマスが2着で大波乱、そのとき見知らぬオヤジが「やっぱり長距離はメジロやなあ…ステイヤー血統やなあ…」とうめくように呟いたのが耳から離れず、翌日には山野浩一さんの血統事典を買いに本屋に走って、そのままオタの仲間入りですわ



今の人が馬体や馬見を語るときに気づいたら岡田繁幸語を使っているようなもんで、当時の血統オタは血統の話をするときは山野語を使ってて、私も最初の入り口は間違いなく「サラブレッド血統事典」で、山野さんの楽しい語り口に誘われてフラフラと門をくぐってしまった一人です…本当にありがとうございました
最後のブログも山野さんらしい語り口で目前の死を語っておられて、山野節健在のまま逝かれたのはさすがやと思います

山野さんの「血統事典」は読み物として楽しかったのです
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/7705bb9d45d08da8e98918fd1d3b6f20

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先ほど「望田潤の2歳勝ち馬評価」先週ぶんを3頭更新しました

◆母父ディープインパクト

先週の中京芝はディープインパクト産駒が[1-6-2-6]、勝ったのは日曜新馬のワグネリアンだけですが掲示板を外したのも2頭だけ
それにしてもワグネリアンとヘンリーバローズの叩き合いはアドマイヤリードとシルバーステートのそれを彷彿させ、坂を駆け上がるときはヘンリーのRoberto的パワーがもの凄くて、しかし駆け上がってからはワグネリのSir Gaylord≒Secretariat斬的れが光りました
いっぽう土曜5Rの新馬はスワーヴポルトスとクアトレフォイルの母父ディープインパクトのワンツーで、8Rも母父ディープインパクトのキセキが豪快に追い込み、母父ディープインパクトは中京芝で[2-1-0-0]、外差しのきく高速馬場でディープの血を引く馬たちが躍動したといえるかと

◆母父マイネルラヴ

函館開催も今週でオーラスですが、ここまで母父にマイネルラヴを持つ馬は函館芝[2-2-1-4]で単複回値とも200超(人気を着順が下回ったのは1回だけ)、私はキングハートこそ◎やったものの、けっきょくジャスティンラヴでもクリノスイートピーでも小銭を稼げてない…

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新種牡馬ロードカナロアについて(1)

2017-07-20 08:53:27 | 配合論

セレクションセールは前日の展示から見学させてもらいましたが、相変わらずロードカナロア産駒は100万単位でセリ上がる大人気でした

その後は東サラとシルクとサマーセールの血統表チェックに追われる日々で、しかも来週は千歳で胆振軽種馬農協主催の研修会があり、そこで今春の内外のクラシックレースや最近のセリにおける種牡馬事情みたいな話をさせてもらうことになっていて、そちらの内容もボチボチまとめにかかってるところなのですが、当ブログでもその内容の一部を

日本の競馬の賞金体系において毎年リーディング上位にランクされるようなアベレージの高い種牡馬というのは、ウインドインハーヘアとかマンファスとか、アイリッシュダンスとかスカーレットブーケとかゴールデンサッシュとか、ブルーアヴェニューとかニキーヤとか、G1馬を複数産んだり、出走産駒の半分以上がオープン馬だったり勝ち上がり率が100%近かったり、そういう名繁殖を母に持つことが多い

そういう考察からしても、出走産駒7頭中5頭が勝ち馬で、うちオープン馬が2頭、準オープン馬が1頭というレディブラッサムは名繁殖と言ってよく、そのレディブラッサムの最良の息子ロードカナロアもアベレージ的に成功する可能性は高かったといえるでしょう



この7頭の父が全て違うのもレディブラッサムの繁殖としての優秀さを示すもので、この優秀さはSecretariat=Syrian Seaの全きょうだいクロス3×4で主に説明でき、「名牝名繁殖の血を含む全きょうだいクロスや3/4同血クロスこそが最強なのだ」というのが配合史に書いてあることの幹ですから

レディブラッサムの産駒はJRAで計23勝をあげておりうち22勝が芝で、どんな種を付けても芝向きのしなやかマイラーを出したというのもこの全きょうだいクロスの威力を思い知らされますが、JRAに出走したレディブラッサム産駒は以下のとおり

ロードカナロア(キングカメハメハ)13勝
ロードバリオス(ブライアンズタイム)6勝
ロードガルーダ(アグネスタキオン)4勝☆
アウトシャイン(ネオユニヴァース)1勝☆
ロードストーム(マンハッタンカフェ)1勝☆
ヴィーヴル(ディープインパクト)未勝利☆★
レディブルーム(ワイルドラッシュ)未勝利,園田1勝★
☆は父がサンデーサイレンス系で、★は父がSecretariat≒Sir Gaylordを持つことを示します

レディブラッサムはサンデーサイレンス系よりも非サンデーサイレンス系のパワー型の種牡馬との配合でより大きな成功をおさめたこと、またSecretariat≒Sir Gaylordの血をクロスした配合は2頭とも未勝利に終わったことがわかります



キングカメハメハやブライアンズタイムの種でオープン級の芝スプリンター~マイラーを出すほどにSecretariat=Syrian Seaのしなやかさを強く伝えるがゆえに、サンデーサイレンス系との配合やSecretariat≒Sir Gaylordのクロスでは馬が柔らかく非力に出すぎた(有力なナスキロ血脈の中でも、最も体質が柔らかいのがSir Gaylordというのが筆者の考え)

これが父ディープインパクトでSecretariat=Syrian Sea≒Sir Gaylord6×4・6を持つヴィーヴルの敗因だったのではないか、という考察は以前にも書きました(Sir Ivorの父がSir Gaylord)



ここまでロードカナロア産駒はJRAに13頭が出走し[4-1-3-2-1-5]という優等生な成績をおさめていますが、母系にSecretariat≒Sir Gaylordの血を引く馬、つまりSecretariat=Syrian Sea≒Sir Gaylordのクロスを持つ馬は、トロワゼトワル、スピリットワンベル、レッドレグナント、ダイメイジャスミン、アクアリブラと5頭が出走し、勝ち上がったのはトロワだけ



スピリットワンベルなんかのレースぶりをみると、Secretariat≒Sir Gaylordをクロスするとたしかに細身でしなやかなストライドで走るのですが、緩くて瞬時に加速できない、直線追い出してもギアが上がらない、そういうもどかしさのあるタイプにも出やすいのではないかと思います

ここまでJRAで勝ち上がったロードカナロア産駒4頭のうち、ステルヴィオ(Nureyev≒Fairy King5×3)、スズカマンサク(Nureyev≒Fairy King5×3)、レッドシャーロット(Nureyev5×4)の3頭はNureyevやその3/4同血クロスを持っています





ほっといてもレディブラッサムのしなやかさ柔らかさを高確率で伝える種牡馬ロードカナロアにおいては、むしろNorthern Dancer+Specialのクロスで体質を締めにかかったり筋肉量を増す方向が成功している、というのが現時点での観測結果

となると、ロードカナロア×ディープインパクトなら母母のところで何をすべきか、という方向性も見えてきますね

もちろんこれは現時点での出走産駒を見たかぎりの観測結果であって、2歳早期に勝ち上がるようなカナロアマイラーをつくるにはSpecialのクロスで体質を締めにかかったほうがいいのだろう…というぐらいの結論にすぎないし、“締め方”にしても他にもいろいろあると思いますが

今週ダグラス・ホワイト騎乗でデビューするトゥザフロンティアは、兄姉はみんな父キングカメハメハでオープン馬で、それらの3/4弟にあたりクロスがNureyev5×3、同牝系かつ3/4同血でやはりNureyevのクロス(5×4)を持つレッドシャーロットは先週の未勝利戦を楽勝しました

追い切りもえらい動いてるようで期待は高まるばかりですが、来週の講義のネタとしても注目したい馬です

コメント (8)
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