栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

先週の重賞回顧~Miswakiを狙え

2016-11-08 11:30:02 | 血統予想

東京11R 京王杯2歳S
◎11.コウソクストレート
○8.レーヌミノル
▲9.ディバインコード
△5.マテラスカイ
1400mなら◎○▲が強いと思うが、先週の東京芝は外伸び優勢で、前走でスローを我慢して差した◎がこの枠なら中団外から差しやすい。母メジロアリスは芝1200mで3勝をあげたが、カロ3×3、ノーザンダンサー≒インディアンヘンプ≒スピードシンボリ4×5・6、ダーリングボーイ≒ネヴァーセイダイ5×6など父母相似配合になっていて自己主張が強い。ヴィクトワールピサ産駒で母系にコジーンが入るのは本馬の他にナムラシングン、ミラクルユニバンスと、JRA出走3頭全てが勝ち上がっている配合パターンで、ナスルーラとカウントフリートの組み合わせのクロスになるのがポイントだ。大箱向きのストライドで走るマテラスカイがヒモ穴か。

京都11R みやこS
◎12.ナリタスーパーワン
○6.グレンツェント
▲11.アスカノロマン
△7.ロワジャルダン
△16.タムロミラクル
×1.ラニ
×9.アポロケンタッキー
注4.カゼノコ
注5.キョウエイギア
ウォーエンブレムのダート巧者はシビルウォー、キングスエンブレム、ウォータクティクス、エルマンボ、ピースキーパーなど長いところ向きのタイプが多い。ナリタスーパーワンは大沼SとマリーンHで距離延長を狙ってみたのだが、やはり今は1800mぐらいのほうがいいしもっと箱も大きいほうがいい。ここは前崩れも考えられるメンツだし、グレンツェントあたりの差しを狙うのが無難なのだろうが、これだけ人気がないのなら手を出してみたい。ラニは前走で馬群を割ったのは収穫だが、多頭数の内枠は乗りやすくはないだろう。

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◆京王杯2歳S

函館2歳組は1400は長いとみたんですが、35.7-12.0-34.2とペースが遅く、残り400~200mで抜け出すときのモンドキャンノの加速が一頭だけ違っていて、あそこをスプリント能力で決めたという勝利だったかと

まあ昨年もレッドラウダが際どい4着だったし、一昨年はセカンドテーブルが逃げ切りですから、スプリンターが好走しやすいレースという側面はあるのだろうし、たとえばシュウジが2歳時はマイルもこなしていたように、資質はスプリンターでもスプリンターとしての筋肉がつききっていない2歳時は距離をこなしていた、というケースはまま見られます

キンシャサノキセキはアウトブリードで相手牝馬の尻に敷かれるタイプの繁殖なので、それらしいスプリンターを狙うのならば、モンドキャンノやシュウジやサイモンゼーレなどのように、母が強いクロスを持ちスピードやパワーを強く主張する配合が成功しやすいといえます
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014106235/

◆ファンタジーS

ミスエルテに関しては「Hopespringseternal≒Weekend Surprise≒Terlingua(ナスキロ+Tom Fool)のニアリークロスの影響で細身でしなやかな体質で、長い直線でストライドを伸ばして加速できるタイプでもあります。この後はファンタジーS→阪神JFというローテが発表されましたが、現状は1800mまではこなせそう」と新馬勝ち後に書きましたが、この母ミスエーニョは相手がFrankelじゃなくてもこういう柔らか体質の仔を産む繁殖やと思いますよ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014106174/

  ┌Menow
 ┌Tom Fool
 ││┌Bull Dog(=Sir Gallahad)
┌○└△
Hopespringseternal
│┌Princequillo
└△┌Nasrullah
 └△

  ┌Nasrullah
 ┌○
┌Secretariat
││┌Princequillo
│└△
Weekend Surprise
│ ┌Tom Fool
│┌○
└△

┌Secretariat
Terlingua
└△
 └△┌Menow
  └△┌Sir Gallahad(=Bull Dog)
   └△

欧リーディングサイアーに君臨しつづけるGalileo、先の凱旋門賞でも1~3着を独占したこの大種牡馬が持つ血で、最も日本の高速芝向きの軽さ柔らかさのある血はMiswaki(の母Hopespringseternalが持つナスキロ+Tom Foolの組み合わせ)でしょう

だからGalileoを日本向きにカスタマイズするにはMiswakiをいじるのが最善手といえ、実際Galileoの血を引く日本での唯一の重賞勝ち馬(ミスエルテが2頭目)ヴァンキッシュランはSir Ivor≒Hopespringseternal5×5です

Frankel産駒においてもHopespringseternalいじりが最善手と考えられ、ソウルスターリングもドイツ牝系とのアウトブリード(Northern Dancerクロスの緊張→緩和)が配合の幹ではあるんですが、母母のところにMill ReefとTom Foolがさりげなく入ってて、Frankelのイメージ以上にしなやかなストライドで走るのはミスエルテと同じ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014105535/

日本の高速芝では重々しすぎた種牡馬コンデュイットの産駒においても、今のところ唯一の芝重賞連対馬ダイイチターミナルはMiswakiとStorm Catを通じるHopespringseternal≒Terlingua5×4
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2014103615/

FrankelはSadler's Wellsとデインヒルを通じるNorthern Dancer3×4ですが、Buckpasser5×5でもありTom Fool≒Spring Run6×6・6でもあり、Tom Foolというのはほんとに馬場コース不問で万能のうまみ調味料みたいなもんで、欧米日豪どこの国の料理でも使い勝手がいいのです

◆AR共和国杯

ここもタナベスローかという1100m通過69.1、東京芝2500mの重賞としてはゴールドアクターが勝った15年AR共が69.8、コパノジングーが勝った10年目黒が69.9、最近ではこれに次ぐ遅さで、レコンダイトはエプソムC(上がり33.6)と同じぐらいの末脚(33.7)の末脚を繰り出したんですが届くわけないですな…

58キロで貫禄勝ちのシュヴァルグランはヴィルシーナの3/4弟でヴィブロスの3/4兄、ハーツクライ×Machiavellianで「父中距離×母父マイラー」、クロスがHalo3×4・5
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104759/

ハーツクライにNureyevとBlushing Groomを合わせてナスペリオン的斬れも兼備してはいるんですが、機動力が最大の特長の血統でもあり、有力馬がみんな33秒台で上がるレースでは好ポジションで立ち回れる利が大きかったし、東京2500mでもスローになればいち早く反応できるのはHaloクロスというわけですな

モンドインテロは同じ「ディープインパクト×Pacific Princess牝系」のキズナやラストインパクトやゼーヴィントと比較してもパワーとスタミナに寄った配合ですから、今日も目黒記念も2500mが長かったというよりは末脚の鋭さで見劣ったという5着で、そのあたりの本質は超スローの信濃川特別で人気を裏切った3歳時からそれほど変わっていない
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104650/

上がり11.7-11.1-11.4、これぐらい鋭い脚を要求されるレースになって、11.1の最速ラップのところでディープインパクトよりハーツクライ産駒のほうが鋭く反応して抜け出すというのは、やっぱり父だけでなく配合も大事だということで、いろんなディープ産駒がいるしいろんなハーツ産駒がいるということ

でもキズナとラストインパクトとゼーヴィントとモンドインテロの比較で、Storm CatとティンバーカントリーとDayjurとブライアンズタイムとFappianoの特徴やキャラみたいなものもおぼろげに把握することができるわけで、血統表と実馬を重ね合わせる作業においてこういうサンプルは非常に有用といえます

◆みやこS

ここは松若アポロケンタッキーのロンスパ捲りが見事でしたが、この馬はブラジルCのように馬群に入ってしまうとよくないのですね

シリウスで◎にしたときにも書いたように、父Langfuhrも母父Gone Westもマイラーで、なのにどちらにも似ておらず長いところで強いのは、牝祖Slinkyladyが持つRibotの3本クロス(4×5・5)が大きい
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012110098/

掻き込みが強い美しくないフォームはいかにもRibotの影響が強い中距離馬で、3歳強豪の一角グレンツェンドと、寒い時期は好調を取り戻すロワジャルダンをねじ伏せた内容は評価できるものでした

ラニは右回りというよりも、改めてコーナー加速力の低さを露呈したような負け方だったかなと…

コメント (5)
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