波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

「ふつうがえらい」の解説に

2016年10月26日 | 読書

「ふつうがえらい」(佐野洋子著:新潮文庫)の解説(河合隼雄)にあった小学校1年生の詩。

えらい人より
やさしい人の方がえらい
やさしい人より
金のない人のほうがえらい
なぜかというと
金のない人は
よくさみしいなかで
よくいきているからだ
(加島和夫編「続1年1組 せんせいあのね」理論社)

 解説者は、「最初の『えらい』は『おえらいひと』で大人の判断」だが、2度目の「えらい」は「自分の意見として本当に立派」という意味で使っていると言う。子どもの澄んだ目で見た「えらい」だと言う。佐野洋子のエッセイはこんな「子どもの知恵に満ちている」と続く。

 波風立男氏は未だこの本を読んでいない。別のを読んでいる最中だからだ。ふと開いた解説で出くわした詩。解説者の指摘したところと違い、その後の「金のないひとは」からにとてもどきどきした。生きるもの悲しさ、切なさが無慈悲に、無防備に言葉になっている気がした。思わず周りを見回し「誰も聞いていないよな」という感じだ。人を食い物にする上から目線は忌み嫌われるが、ここまで上空の目線なら笑うしかない。庶民的「上から目線」はあっと驚く面白さだ。人間の子というのはこんなことも考えられるのだな。
 4年前に発刊の本書、定価1円、郵送料250円。表題が既に、航空的というか宇宙的な「上から目線」。

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