波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

言葉のケイコ【その拾弐】

2019年12月17日 | 【保管】言葉のケイコ

和菓子とケイコ

烈に今これが食べたい、という時がある。食べたくなるものはだいたい高カロリーのお友だち。そうなると一日中その食べもののことを考えてしまうこともある。なぜそのテンションで「白菜食べたいー!」とか「豆腐食べたいー!」とならないのだろう。私はふしぎでたまらない。さて、そんな私が今猛烈に食べたいもの。それは和菓子。生菓子だ。坂木司氏の『和菓子のアン』なる小説を読んで以降、私の頭は生菓子でいっぱいになった。こんなことは生まれて初めてだ。いつだって甘いものといえば、ケーキやチョコレートなどの洋菓子。和菓子は地味だしアンコ味ばっかりだしなんて思ってそんなに食べようと思わなかった。なのに、である。


うにも我慢できなくなり、わざわざ普段行かない店に買いに行く。生菓子は、1つ1つに名前がついている。小さくて、愛らしい。けれど細やかな手が加えられており、日本ならではの季節感がある。ただのアンコの菓子ではない、いわば芸術品だ。目でじっくり鑑賞してから、お茶を淹れて、小さく切ってゆっくり味わう。なめらかな練り切りと求肥のもちっとした感じがたまらない。思わず笑いがこみ上げてくる。お茶を飲んで、また大事に大事に、少しずつ。目で見ても舌で味わっても最高のお菓子様に対して、今まで失礼な振る舞いをしてすみません。ああまた食べたくなってきた。雪かき頑張ったら買いに行こうっと。

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