昨日の続きになりますが・・・
その当時、丹波哲郎さんは、ご自身の大ベストセラー本を映画化しようとなさっていて、監督してくださる方を捜していました。
それで、ドラマを制作なさっている方に、映画の監督を引き受けてくれないかと、お願いしたそうです。
ですが、引き受ける際のギャラの交渉がうまくいかず、断念なさったそうです。
聞いたところによると、丹波さんが映画用に用意した制作資金の、三分の一を請求されたとか。
まあ、監督を引き受けるとなると、NHKを退社しなければなりませんから、それ相応の金額が必要でしょうけれど。
それで依頼することを諦めた丹波さんは、ご自身が監督なさったわけです。
そして、その映画は、大ヒットしました。
監督を依頼する思惑は外れましたが、ドラマ撮影時にロケハンもなさったそうで、映画には飛騨の風景が映されています、おまけにヒットしたのですから、結果は良かったのです。
ドラマ撮影時、エキストラをした私は、丹波さんに声をかけていただきました。
撮影待ちで、ベンチに腰かけていた私の隣に、丹波さんがやってきました。
私は気を利かせ、なんせスターさんですから、席を立とうとしたのですが、その私の肩を軽く押さえ、「まあ、まあ、」と座らせました。
そして、地元でなにかなさっているのですか? とドラマに関わった訳を訊かれました。
応えた私に、なかなか良かったですよ、とお世辞をおっしゃいました。
なぜか、下を向き、はにかむんだような表情で・・・。
たぶん、わざとらしいことを言う、と自分でも思ったのではなかったでしょうか。
ですが、言われた私はとても嬉しくなりました。
感謝の心さえ持ちました。
いい方だな~、と強く印象づけられたのです。
その気持ちはいまも変わっていません。