日曜日、文化会館で、クラッシックバレエの発表会がありました。
演目は、『くるみ割り人形(全二幕)』です。
普通、バレエの発表会といえば、幼少組から、単曲を順番に演じていきます。
ですが、今回の発表会は”グランバレエ”といいますか、”くるみ割り人形”そのものを披露しました。
劇を一本まるまる発表したわけです。
少しは編集してあるかもしれませんが。
いずれにせよ壮大な試みです。
飛騨の、大きくないバレエスタジオが行うには、無謀といわれる試みであったかもしれません。
ですが、それを遣り切ったのです。
私も少しながら、具体的に言えば、一幕のパーティー場面で、屋敷の主人役として演じさせてもらいました。
あえて演じると表現します。
踊りそのものは、とてもじゃないですが、他の生徒さんと比較できるレベルではありません。
そのため、踊りは最小限に抑えられていまして、もっぱら主人役として、子供たちが踊っているバックで演じていました。
それが良かったかどうかは別としまして・・・。
とにかく、全二幕を最少人数で表現したわけです。
主宰者も、バレエスタジオ創立十周年ということで、そうとう気合いを入れて臨んだそうです。
最初にも書きましたが、無謀とも言える試みで、そうとうなリスクを背負って作りはじめたわけです。
稚拙なところもあったでしょうし、巧くできなかったところもあったかもしれません。
しかし、遣り切ったことは、見てくださったお客様に、大きな感動を与えたと思います。
事実、お父さん役の男性だけで打ち上げをして、帰り店から出ようとしたところで、私は知人に呼び止められました。
その方は、バレエをご覧になっていて、さかんに、私たちに、良かった、と仰ってくださったのです。
最後は泣けてきたと、みんなの一生懸命さが胸にきて泣けてしょうがなかった、とまで言ってくださいました。
そして私たちをねぎらってくださいました。
私も、実は、劇の最後の方を舞台の袖から覗いていました。
そして、グランドフィナーレのとき、先生を初めてして生徒の皆さんが全員合わせて踊っているのを観て、とても感動していました。
とにかくみんなで一生懸命作り上げたのだ、というのが直に伝わってきたからです。
結局は、これなんだな、と強く思い知りました。
みんなで一緒になって一つのものを真剣に創る、これが観ている方に感動を与える。
その感動は、よし、俺ももうちょっと頑張ってみるかな、という気にさせる。
それこそが、芸術の神髄だろうと信じます。
そして、やればできる、ということを身をもって経験させてもらいました。
私も少しですけれど力になれただろうと自負し、関わらせてもらいましたことを感謝申し上げます。
ありがとうございました。
思うに・・・主宰者の方々は、実は夫婦なのですが、夫婦だからこんな大変なことも耐えられたのかな、とも思います。
もちろん、個人で頑張っておられる方もいらっしゃいますから、偉そうなことは言えませんが、稽古場にいるとき見ていて思ったことです。
それと、生徒の親御さんのサポートがなければ、絶対に成功しなかった舞台だと断言できます。
主役の女性の早替えの時にも、3人のお母さんがてきぱきと連携し行っていました。
子供たちの出番待ち、着替え、小道具渡し、もちろん受付から弁当の手配まで、数えだしたら切りがありません。
それらを全て親御さんたちが行っていました。
頭が下がります。
色々な方に支えられ成功した舞台だったわけです。
本当にお疲れ様でした。
・・・
余談ですが・・・
くるみ割り人形では、素晴らしい曲が何曲も演奏されます。
馴染みの曲も多く、中には、ソフトバンクのCMで流れている曲もありました。
その中でも特に有名で美しいのは、”花のワルツ”、ではないでしょうか。
わたしもあの場面が大好きで、リハーサルの時は、客席に座って聴きながら観ていました。
その曲は昔からよく知っている曲なのですが、私と妻は、なぜか毎日聴いているような気になっていたのです。
そのことを不思議そうに話していたら、そばで聴いていた娘が、「当たり前じゃない。うちの電話の着信音だよ」、と教えてくれました。
そうなんです、うちの電話は、着信すると、「チャ~ラ、チャ~ラ、チャ~ラ、チャ、チャ、チャ・・・」、と鳴ります。
花のワルツを鳴らすのです。
ですから、毎日どころではなく、しょっちゅう聴いていたのです。
なのに、私も妻も気づいていない。
電話の着信音は、あくまでも着信音として聞いていたのです。