今日は朝から冷たい雨が降っています。
昨日までの晴天が嘘のようです。
気分も湿りがちです。
ですが、昨日はとても良い天気でした。
午前中、髪の毛を切りに近くの床屋さんへ行き、店主と色々お話をしてきました。
その店主は知る人ぞ知る、有名人でして、面白い話を聞かせてもらいました。
とても精力的な人で、趣味も多彩なうえ、何より若々しい人です。
その人から、励まされたりして、気分良く一日を過ごせました。
昼から、別院で催されていた、お芝居、『イ・イエ』を観劇しました。
畳の客席の後半分は椅子が並べられていて、腰の悪い私としては、比較的楽に観ることができました。
この会場の舞台は、間口が四間ちかくあるわりには高さが2メートルほどしかなく、窮屈に思えるのですが、あえて両袖を狭めてあり、小舞台として見やすくしてありました。
客席は一杯で、この劇への関心の高さを改めて思い知らされました。
といいますのも、最初の朝鮮通信使であった方の生涯が物語にされていて、日本と韓国の関係を考え直すうえでも、タイムリーな公演であったからです。
お芝居は、語りを中心に、一時間半ほどの時間にうまくまとめてあったと思います。
なにより私個人の胸を打ったのは、憎しみの連鎖を私たちの世代で断ち切るのだ、という強い想いです。
拉致の問題が劇の中ででてきました。
主人公の母親が倭寇に拉致されて、イ・イエは母の奪還と復讐を誓い自分を鍛え上げるのですが、成長の中で、日韓の架け橋になっていきます。
その倭寇も、元は元寇に荒らされたことが原因になっていて、憎しみが悲劇を繰り返してきたわけです。
思えば、現在の世界も同じで、中東にしろ、我々が暮らしている東アジアにしろ、未だに民族間の憎しみが対立を深め争いが絶えません。
ですが、ここで、この私たちが生きている時代で、その連鎖を断ち切ることができないか、と願わずにはいられません。
それと、これは、劇が終わり、イ・イエの子孫の方が紹介され舞台に上がり、話されたことから思わされたことなのですが、自分たちの中に流れている血、民族としての誇り、文化を次世代にきちんと伝えなければならない、ということです。
韓国の方は、過去、様々な国から蹂躙されてきた歴史があるだけに、自分たちの国、民族としての誇りがとても強くあるような気がします。
それを目の当たりにすると、私などは違和感を覚えてしまいます。
ですが、現在の私たち日本人は、民族としての誇りにあまりにも無頓着すぎたのではないかと。
といって、けっして国粋主義的な主張を述べるのではありません。
むしろ、最近の日本の右傾化には、違和感を持っている一人です。
抽象的すぎると。
そうではなく、自分たちの出自・歴史を、どこの国の人もしっかりと持つべきだろうと。
それが、他者を理解することにも繋がるのでないかと。
分かったような分からないような話になってしまいましたが、イ・イエを観て、そのようなことを考えてしまったのです。
そういう点では、なかなか骨のあるお芝居でした。
歴史物なのに、現実とリンクしていたわけです。
感想としては、良いものを観させてもらいました、という感謝の気持ちです。
公演に関わっていた方々、お疲れ様でした。