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まるで人生を歩むような不安と期待「奇跡の2000マイル ’13」劇場公開2015年7月

2016-01-11 15:33:24 | 映画

             
 登山家マロリーの言葉があまりにも有名だ。マロリーが「なぜ、あなたはエベレストに登りたかったのか?」と問われて「そこにエベレストがあるから(Because it's there. )」と答えたという逸話は有名であるが、日本語では、しばしば「そこに山があるから」と誤訳されて流布している。とウィキペディアにある。誤訳でもまったく真意を損なってはいない。

 オーストラリアの砂漠地帯を1700マイル(2700キロ)横断してインド洋に抜けるという大冒険を敢行したのは女性のロビン・デヴィッドソン(ミア・ワシコウスカ)だ。

 こういう大冒険となれば本人に何らかの動機づけがあったと思いがちだろう。ところが本人はただ歩いて横断したいだけという。有名になりたいとか、人生の意義を見つけたいとか、はたまた人生からの逃避だとかの理由付けはない。なにかがしたいというのが真の動機だろう。

 私にいま何がしたいか? と問われれば、普通の乗用車で砂漠地帯か山岳地帯を走破したいと答えるだろう。これに特別の意味はない。4WD車なら難なく走破できる場所をそうでない車でどこまで行けるかに関心があるだけだ。

 私のように思っているだけではダメで、実行することに意味がある。ロビンは、ラクダ四頭と愛犬一匹を連れて旅立った。

 その前に、ラクダの調教と資金調達の準備も進めた。ラクダの調教は、最初の牧場ではただ働きさせられ騙される。次の牧場ではしっかりと調教を学べた。

 ナショナル・ジオグラフィックへ計画書を送って支援を取り付ける。条件として記者一人を派遣して取材をするというもの。やってきた記者リック(アダム・ドライバー)に同行は拒否、何週間かに一度の取材で決着をつける。

 従ってロビンの到着予定地に待機するリック。食料や水の補給も忘れない。たった一人の砂漠の旅は意外にストレスがかかり人肌が恋しくなるのか、リックにキスで挑む。恋愛感情などはない。朝起きて食事をするように、ただ肌とセックスが恋しかっただけ。あとにも先にもこれ一度だけだ。

 アボリニ人からのアドヴァイスは「野生のラクダを見たら何も考えずに撃ち殺せ」だった。三頭のならず者ラクダが襲ってきた。ロビンは必殺の銃弾で三頭を斃す。と言うことは身の危険には私情を挟むなという教訓か。

 この映画、エンタテイメント性がちょっと欠けていて起伏のない運びだ。賛否両論になるだろう。私はむしろ平凡な人生の縮図に思えた。そして思い浮かべたのが、芭蕉の奥の細道序文だった。「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」

 批評家連中には評判がよかったにせよ、制作費1200万ドル興行収入480万ドルでは赤字だ。ちょっと地味すぎたかな。実話を映画化する限界を見た気がする。
       
       
       
       
       
       

監督
ジョン・カラン1960年9月ニューヨーク市生まれ。

キャスト
ミア・ワシコウスカ1989年10月オーストラリア、キャンベラ生まれ。
アダム・ドライバー1983年11月カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。

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