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筋ジストロフィー患者がセックスで学ぶ愛することと愛されることを「セッションズSESSIONS’12」

2016-05-24 15:59:44 | 映画

                
 普通の人にとってセックスは、その気になればいつでも可能。蛇口をひねれば水が出る。スイッチを押せば電気が点く。それと同じぐらい当たり前のこと。

 ところがマーク(ジョン・ホークス)は、6歳のときダウン症になって首から下が麻痺して起き上がることも、勿論歩くことも出来ない。かゆいところがあっても掻けない。これはかなり辛いなあ。そして移動は車輪つきのベッドだ。

 それでも大学を出て36歳の今は詩人のジャーナリストとなっている。あるとき介助補助者のアマンダ(アニカ・マークス)に「愛してる」と言ったがために彼女が去る原因となる。自信をなくしたマーク。

 そこで紹介されたのがセックス・セラピストのシェリル(ヘレン・ハント)だった。シェリルは、夫があり子供もあるいわゆる主婦と言う立場。シェリルがどういう気持ちでこの仕事をしているのかは明らかでない。多分、障害者の手助けになればと思っているのだろう。

 6セッションを終えれば、もうあなたとは絶対に会わない。これが売春婦との違いだと説明する。女性とのセックスに恐怖や不安を持つ人も多いと聞く。特にマークのような重度の障害者にはセックスは避けて通りたいが、体のほうはそれを許さない。

 このセッションはかなり事務的で、ボランティアの人が提供する部屋は、日中の陽光が差し込んでくる。ムードを演出するローソクやナイトスタンドそれに音楽もない。

 ミシェルは、いろいろと喋りながらいとも簡単に裸になる。カメラはそれを正面から捉える。ボカシなんて無粋なものはない。こういう描写は、セックスは大らかで明るい生の営みだと言っているようだ。

 3セッション目にようやくマークが挿入に成功する。マークのうれしそうな顔。そして「次は君がオーガズムを感じるようにしたい」とマークは言う。心のこもった誠意を見せるマークにシェリルの心が揺れる。

 4セッション目、マークの言ったとおりシェリルがオーガズムに達した。そして、ようやくマークの口にキスをした。キスが重要なサインだということが分かる。キスは好意の表れ。

マークの詩が効果を挙げたのかもしれない。
その詩とは
僕の言葉で君に触れよう
力のないこの手の代わりに
僕の言葉で 君の髪や背中をなで
お腹をくすぐろう

まるでレンガのように動かないこの手は
僕の願いを無視し静かな欲望さえかなえてくれない
僕の言葉は君の心にすべり込み
明かりをつけるだろう
僕の言葉を受け入れてくれ
君の内側を優しく愛撫するから

マークは三人の女性にめぐり会えて、愛を得、愛を与えた。マークは49歳で生涯を閉じた。
        
        
        
        
        

 こういう障害を持つ人のセックスは深刻な問題でもある。日本でもノンフィクションで河合香織著「セックス・ボランティア」の中に酸素吸入器なしでは1時間しか持たないという状況でも、ボランティアの助けを借りてソープランドへ行く場面がある。まさに壮絶で決死行だ。そしてその理由は「一生、童貞でいたくない」

 この映画でもマークがセッションが終わったあとに出会ったスーザン(ロビン・ワイガート)に「童貞じゃないよ」と言うセリフがある。これは男の本能でもありプライドとも言える。女性には不可解かもしれないが。

いずれにしても真面目に取り上げてあるし、ノンフィクションの本と共に一見一読の価値はある。劇場公開2013年12月
           
監督
ベン・リューイン1946年ポーランド生まれ

キャスト
ジョン・ホークス1959年9月ミネソタ州アレクサンドリア生まれ。
ヘレン・ハント1963年6月ロサンジェルス生まれ。1997年「恋愛小説家」でアカデミー主演女優賞受賞 本作ではアカデミー助演女優賞ノミネート 
ウィリアム・H・メイシー1950年マイアミ生まれ 
ロビン・ワイガート1969年7月ワシントンDC生まれ

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