息子や娘が行方不明や殺されたら、心の動揺はいかばかりか。天才医師のドラマ「ドクター・ハウス」で部下の医師を演じたオリヴィア・ワイルドの魅力にぞっこん惚れ込んでしまった。そのオリヴィア・ワイルドが主演、製作にも関与するこの作品は、非常に地味で起伏のないストーリーもあって、公開は電気の無駄遣いと配給会社は思ったのかもしれない。
夫はニューヨーク市警の警官フィル(ルーク・ウィルソン)。主人公のサラ(オリヴィア・ワイルド)は小学校の教師という共働きの夫婦。息子ジェシー(コージー・ウォーカー)を連れてニューヨーク州中部のトンプキンス郡イサカの実家へ行く途中立ち寄ったガソリン・スタンドからジェシーが行方不明になる。
残された夫婦はがらりと生活が変わる。サラは抗うつ薬のお世話になるし、フィルは同じ事情を抱えた人たちの交流会で心を落ち着けようとする。生活が一変した二人にはもう昔の面影はない。
あんなに魅力的だったオリヴィア・ワイルドも、口紅もアイシャドウもマニキュアもない疲れ果てた顔は別人のようだ。よくこの役を引き受けたなあ、 と思いながら観ていた。多分、息子を失った母親というテーマに関心があったのだろう。
フィルが行く交流会での友人が言う。「娘をひき逃げ事故で亡くした。犯人と地下鉄の駅で会ったとする。そいつを突き飛ばし電車に轢かれて八つ裂きになるのを見たい」
実際は出来ないにしても、遺族の気持ちは極刑、つまり死刑を望んでいるのは確かだ。私は一人の人間の命を奪ったら、己の命を差し出すのが当然という考えの一人だ。だから死刑は賛成だ。
ところが死刑廃止運動の人たちもいる。そういう考えも一つの選択だから何も言うまい。ただ、この間の新聞記事で瀬戸内寂聴が遺族を侮辱するような発言があったと伝えた。
要旨は「人間が人間を殺すことは一番野蛮なこと。『殺さない』ってことを大きな声で唱えてください。そして、殺したがるばかどもと戦ってください」
このアンダーラインの部分が物議を醸している。ばかどもというのは、被害者も含めて死刑賛成の人たちに向けたものと受け止められた。この映画を観るまでもなく、良識があればバカとはいえない筈。
寂聴も90歳を超えて耄碌したのかな。超高齢ということで許してあげてもいいかな。それにしてもこの映画を観ながら寂聴を連想するとは思いもよらなかった。もう、寂聴の本は読まないことにしたよ。ちなみに日本国民の80%は、死刑容認とのこと。
余談ながら、このイサカという町は、人口3万人弱、自然が豊かでアウトドアには格好の地らしい。コーネル大学があって日本人の留学生も多いと聞く。したがって和食ブームの影響なのか日本料理店もあるそうな。ニューヨークから3時間の道のりのようで、一度は行ってみたいかな。
監督
リード・モラーノ1977年4月ネブラスカ州オマハ生まれ。
製作参加オリヴィア・ワイルド
キャスト
オリヴィア・ワイルド1984年3月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
ルーク・ウィルソン1971年9月テキサス州ダラス生まれ。
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