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読書「業火の市」ドン・ウィンズロウ著2022年ハーパーコリンズ刊

2023-04-24 13:05:56 | 読書
 書き出しは「ダニー・ライアンが見ていると、海の中から一人の女が浮かび上がる。わだつみの夢から抜け出した幻の美女のように。けれども、この女は現実だ。トラブルの火種になりかねない。こんな美しい女は、たいてい厄介ごとをひき起こす」

 ブロンドの髪、深いブルーの瞳、黒のビキニが隠すというより強調しているボディ、腹は平らで張りがあり、脚は筋肉質ですべらかだ。その女を見ているダニ-ー・ライアンは、ロードアイランド州の州都プロヴィデンスでイラリア系マフィアと張り合うアイルランド系マフィアの一員だった。

 現在はイタリア系のマフィアと共存共栄の状態だった。これらの組織も、企業間競争と同様弱肉強食の世界である。ダニーは父親マーティ・ライアンから続くファミリーの一員で、妻もドンの娘テリと結婚している。そんな境遇にありながら、大・中・小の商店からのみかじめ料やトラックを襲って積み荷の強奪、売春、賭博などの上りで生きているのが疑問に思っている。しかし、現実は厳しい。

 ファミリーのドンには、長男パット、次男リアム、長女キャシー、ダニーの妻の次女テリという兄弟姉妹がいる。特に次男リアムが問題で、口先だけの男で実行力にかけるが、こいつがかなりハンサムときている。そして問題が起こる。冒頭でダニーが見とれていた美女パム・ディヴィスを連れて突然現れる。結婚したという。しかし、このパム、イタリア系マフィア、ポーリー・モレッティの恋人だったのを横取りしてきたのだ。ついに導火線に火がついた。

 本作は、三部作の第一部となっているらしい。解説によれば、「物語の筋立てがギリシャ神話をなぞっていることである。古代ギリシャの詩人ホメーロスの“イーリアス“と“オデュッセイア“や、古代ローマの詩人ウェルギリウスの“アエネーイス“とある。

 確かに「第一部パスコ・フェリのビーチパーティ」に海辺の写真とともにホメーロス“イーリアス“第二歌さあ、腹ごしらえをせよ。戦は近い。がある。

 ドン・ウィンズロウの作品は、ニール・ケアリー・シリーズを読んでファンになった。ここ最近は裏社会の物が多くなったようだ。かつてのマリオ・プーゾの「ゴッドファーザー」級を狙っているのだろうか。ネットでこんな記事を見つけた。「「エルヴィス」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたオースティン・バトラーが、ベストセラー作家ドン・ウィンズロウの小説「業火の市」を映画化する新作に主演すると米Deadlineが報じた」これも楽しみではある。
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