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銀行の内幕を皮肉な時評で嗤う「ザ・キャピタル~マネーにとりつかれた男 !12」wowowで放送

2015-07-28 16:22:30 | 映画

            
 大企業といわれる会社は、都心の一等地に本社ビルを構えているが、その中の実情は最近話題の東芝に限らず、なにやら謎めいた秘密のシェルターを連想する高層ビルだ。フランス最大のフェニックス銀行も同様の面構えだ。

 フェニックス銀行頭取が、ゴルフのティーショットで構えたとたん倒れる。睾丸ガンで一時的に回復するが、転移していたため予断は許されない。そこで次期頭取の選任が行われ、現頭取の指名で若いマルク・トゥルヌイユ(ガド・エルマレ)と決められた。

 こういう抜擢には、多くの妬みや羨望が錯綜する。表面的な親しみの裏には、相手の弱みを握る手段を駆使する。マルクは、アメリカの世界最大級の投資会社ゴールドマン・サックス勤務を経てフェニックスに移ってきた経済の専門家といわれる。その力が、フェニックスをフランスで最大の銀行に育てた。

 マルクも配下の人間の動静を掴むために元警察官の調査員を雇った。世の中にはマネー・ゲームをしたがる輩がごまんといる。大株主のディトマー(ガブリエル・バーン)もその一人。日本のミツコ銀行を買えと盛んにせっついて来る。

 フェニックス銀行ニューヨーク支店には、アジア地域担当の専門家モード(セリーヌ・サレット)がいる。マルコは彼女の意見を聞いてみた。

 「不良債権が80%にもなる劣悪銀行で、買収すればフェニックスの株価を下げる。ディトマーらは最安値で買い叩いてから、株価操作をするのだろう」

 マルコはモードに男としての興味を抱いた。しかし、モードは先刻承知で「おやすみ」といって手を振った。

 調査員からは刻々と情報がはいってくる。マルクはミツコ買収を決断した。予想通りの展開。ディトマーらにインサイダー取引だと脅されるが、お前たちも一蓮托生だぞ! と言って裏情報のDVDを滑らせる。インサイダー取引云々というところは、分かりにくいけれど痛快な反撃といえる。

 それに辞任を匂わせておきながらフェニックス銀行の重役たちにも裏情報で脅す。ミツコ銀行買収の災難から救った頭取として再登場というわけ。幹部連中を集めた会合で「皆さん、私は現代のロビン・フッドです。(ここで一同大笑い)貧乏人から巻き上げ金持ちに!」盛大な拍手。

 マルクが振り返ってレンズに向かっていうのは「子供でしょ、大きな子供たちだ。遊ぶだけ。最後まで遊び続ける。はじけてなくなるまで……」マネーゲームという遊びを続ける大きな子供たち。社会派監督といわれる面目躍如の皮肉に、市場をあまりにも気にした東芝問題が重なって哀れに思えてくる。
        
        
        
        
        

監督
コスタ=カヴラス1933年2月ギリシャ、アテネ生まれ。

キャスト
ガド・エルマレ1971年4月モロッコ生まれ。
ガブリエル・バーン1950年5月アイルランド、ダブリン生まれ。
セリーヌ・サレット出自不詳
コメント
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