技術者のDuje KovaiはSplitの造船所で40年間働いてきた。「どうして欧州はクロアチアでの造船を止めたいのだろう?」という。しかし彼に答えは見つからない。(6月28日le monde diplomatique )
この国は長い海岸線、会員の歴史、漁民、造船所を有している。しかしEUのメンバー国になることでその古くからの産業に終止符を打つことになるだろう。7月1日にクロアチアがEUに加盟する前に造船所は完全に民営化されていなければならない。クロアチアには5つの造船所がある。その歴史は19世紀ににまでさかのぼる。PulaにはUljanik,Rijekaには3-May,Kraljevica, Trogir とSplitである。これらは沿岸の経済的屋台骨であった。ユーゴースラビアで建造された船舶は世界中に航海した。長年にわたりダルマチアの造船所はTrieste や Saint-Nazaireに匹敵した。 造船業は社会主義時代の政治的想像力の鍵であった。Josip Broz Tito (チトー大統領)は1920年代Kraljevicaの機械工であった。
Splitの歴史は造船所との連携の中にある。有名なHajdukフットボールクラブはフランスのマルセーユでのオリンピックのためにクロアチアで造船所によって創設されたものであった。1941年イタリアのファシスト政権に併合された際に共産パルチザンと提携した。全ての公的補助の停止はクロアチアがEUに加盟するための加盟条件となっていて第8章(競合政策)がある。そしてEU委員会は”構造再編”プログラムの実行を監視するとSplit zousensho同盟の会長Zvonko Šegviはいう。「イタリアではFincantieri 造船所は完全に公共のものとなった。フランスでは最大の造船所STX-Chantiers de l’Atlantiqueのわずかな株主に政府が残っている。 造船の世界的リーダーである韓国においてさえ国家が造船業に補助を行っている。他国で認められているものが、EU統合の名の下にクロアチアでは何故禁止されるのか」
EU加盟の数ヶ月前に国は造船所を売りに出した。しかし予測に反して簡単なことではなかった。負債が下表評価されていたこと、買手希望者はリストラコストの4割を負担するという条件で手を引いた。Kraljevica 造船所は買い手を見つけられなかった。Trogirの小さな現場の民営化だけが成功を見た。桟橋のひとつはマリーナや船用品商が利用、造船は続けることが出来る。ここはクロアチアのビジネスマンDanko Konarが買い付けた。政府は5年間かけてのリストラで6000万ユーロの貢献をする。契約には従業員1200人を900人にすることが含まれている。 技術者のSlavko Bilotaは老齢労働力が退職し、若手が継続できるようになることを望んでいる。
Splitの造船所は名目合計金額500,000 kunas ($88,600)でDIVに売却された。 DIVはビジネスマンのTomislav Debeljakが所有となったが, 操業に復帰するための真剣な全身的計画はなんら示されてはおらず、大半にあたる従業員3500人はレイオフされる。その後1500人が一次契約の形で再雇用されるというが、その選択条件は明らかにされていない。DIVはさらにかつての従業員500人を臨時契約で雇用するという。
Splitが戦うこと無しにダウンとなることは無い。 DIV は暴力行為禁止法の疑惑に当たるとして組合の指導者に対し罰則を迫り、彼らを現場から締め出した。Istriaも同様でPula のUljanik 造船所も密接に関係する。この小さな地区の20万の人々の中に造船業が直接間接的に3万人の雇用を与えている。生産は継続中で、2006年に国が減産したにもかかわらず注文は満杯である。しかし将来となると明らかではない。この現場は工業的三k可能性よりも観光面で注目されている。Pula 湾の中の小島に造船所はある。遊歩道やローマ時代の円形競技場からもそれは見える。そしていま、Pulaの観光の将来としてMuzilに焦点が当たっている。ここはオーストリア・ハンガリー帝国が1989年に艦隊の軍事基地としたところで、その後ユーゴスラビアがこれを利用、さらにクロアチアが2007年に閉鎖するまで海軍が利用した。Pula の住民は散歩に、海水浴に、魚釣りに、ピクニックにこの現場を利用している。まゴルフコース、マリーナにするという複合施設の計画がある。
造船所の計画的な終焉はクロアチアの非工業化を完成させることになる。しかしこの国は観光でやってゆけるのだろうか?沿岸域は失業率が高く、全体の22%が公式的には失業であり、その3分の一が25歳以下である。多くの若者が闇市でカジュアルな仕事をし月収は250ドル以下である。Zvonko Šegvi はクロアチアがEUに加盟することは「何のまともな準備も無く、我々の経済は荒廃した。われわれの出来ることは北の豊かな国々に奉仕することしかない。EU のなかではクロアチアは他の南部の国々のよう2級国家となる」という。