最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

放射線治療とマンモグラフィ検査に患者経験価値(PX)を導入

2023年05月31日 11時46分40秒 | メディカルはこだて
第85号では函館五稜郭病院放射線科診療放射線技師の小林聖子さんを取材した。

患者にサービスの満足度などを尋ねる患者満足度(PS)調査を実施している医療機関は多いが、調査結果の有用性に疑問を持つ医療関係者は少なくない。この患者満足度調査に代わって注目されているのが患者経験価値(PX)だ。英国の医療制度改革から生まれたPXの考え方は欧米を中心に世界中に広がっている。PSよりも具体的な課題が浮き彫りになりやすいPXは、調査結果が改善に向けた取り組みにつながりやすいとされる。函館五稜郭病院放射線科の小林聖子さんは2年前よりPXを導入・運用することで、一定の成果を得てきた。PXの運用や有効性について話を聞いた。
診療放射線技師の小林さんは北海道大学医学部保健学科放射線技術科学専攻を卒業、2009年函館五稜郭病院に入職した。昨年には放射線医学における物理的および技術的課題の解決に先導的役割を担う「医学物理士」の資格を取得した。これまでの全国の合格者は1427人。道内は77人で女性は5人だけの難関資格で、放射線を用いた医療が適切に実施されるよう、医学物理学の専門家としての観点から貢献する医療職として期待が大きい。
「放射線治療の活用率とマンモグラフィ検診の受診率は外国と比べてどちらも低い状況にあります。非常に有益な治療と検査なのですが、患者さんには十分に認知されていないことが残念であり、もどかしい思いをしていました」。放射線治療部門では患者満足度調査を行っていた。「モチベーションの向上には役立ちましたが、具体的な課題を抽出することは難しいと感じていました」。悩んでいた小林さんは院内図書館でPXの本と出会い、すぐに養成講座を申し込んで受講した。「私の担当する治療や検査をより多くの人に届けることができるはずと希望を持ちました」


痛みの閾値を上げる取り組みとして「音楽療法の導入」や「痛みの個人差に配慮した主義の導入を
実施したと説明する診療放射線技師の小林聖子さん(マンモグラフィ装置の前で)
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