最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

気持ちの変化に対応できるように、何度も話し合う

2023年03月04日 18時24分21秒 | メディカルはこだて
第84号では高橋病院第3病棟主任の塚本美穂さんを取材した。

ACP(アドバンス・ケア・プ ランニング)は、人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合う取り組みのことで、人生会議とも呼ばれている。
「多様な社会背景や価値観の変化に対応するためACPは必須です」と話すのは2018年9月にACPを導入した高橋病院(高橋肇理事長)第3病棟主任の塚本美穂さんだ。同病院は地域包括ケア病床からACPをスタートさせたが、導入後に中心的な役割を担ってきたのが塚本さんだ。地域包括ケア病床は住み慣れた地域の中で最後まで自分らしく生きていけるような支援とサービスを提供する役割を担っている。塚本さんは患者の人生観や希望を家族や院内外のチームで共有し、患者主体による意思決定が行えるようにチームで支援できた1症例を第21回北海道病院学会で「患者のACPを共有し、意思決定支援した取り組み」として発表、優秀演題賞を受賞した。発表した症例は高齢の妻と二人暮らしの80代男性で、外来受診時に体重減少と物忘れがみられ精査目的で入院した。
「本人の価値観や目標、意向を実際に受ける医療、ケアに反映させることが必要ですが、そのためには気持ちの変化に対応できるように何度も話し合いをしました」。ACPに添って病状(悪性腫瘍)告知を行い、治療の選択に対しては「今後は検査も治療も行わない」「延命治療は望まない」などの希望を確認、意思決定支援を行った。「本人の希望や価値観を尊重し、その人らしい最善の選択ができる取り組みを行うために本人を含め家族や院内外のチーム、外来看護師が協働してACPカンファレンスを開催、共有意思を決定しました」。「妻の介護を最期まで行いたい」「妻と一緒に自分らしく生きたい」という希望を子供も尊重。施設転居前日には自宅で家族と寿司を食べ、ビールを飲み、川の字で寝た。そして二人、手をつないで施設へ入所した。


高橋病院のACPの取り組みについて話をする塚本美穂さん
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