Fish On The Boat

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在宅介護の現状への意見

2021-07-06 14:14:53 | 考えの切れ端
母を、父とともに在宅介護している者としてひとこと意見を書こうと思います。


介護は、要支援・要介護などを受ける人たちに主眼をおくのはもっともです。だけれど、実は介護をするほうの負担がとても大きい。だって、ぶっちゃければ、僕らみんな人間的にちゃんとしてない人たちでしょう? そんな人たちが人間的に成熟しないままいきなり介護の現場に放りこまれるんです。

DV(ドメスティック・バイオレンス)だってたぶん、在宅介護の現場では少なくないと思います。だから介護者がそこまで追い込まれないように、介護者のほうも支援・ケアする仕組みは大切なのでちゃんと作ってほしいのです。認知症の人を介護しているんだったら、ユマニチュードを教えてもらえる仕組みがあれば違います。ユマニチュードは認知症の人たちとのよりよい関係性を考えて、認知症の人をちゃんと一人の人間として尊重する姿勢を前提とします。そういった前提から生まれた「認知症の人との接し方」などの技術があります。介護者がそれらを学んで実践することは、同時に、普通の人とのあいだのコミュニケーションの仕方の学びや実践にも応用が利くでしょう。コミュニケーションでいえば、相手も自分も活かすというような「アサーション」という技術もそうですから、それも介護者は知ったり学んだりできたらいい。

また、介護者のこころがぴかぴかに健全だという前提、あるいは介護者のこころの状態を鑑みられていない在宅介護はおかしい。介護者が闇を抱えていたり、医者にかかっていないだけで病気だということもある。そういう状態で介護をしてもそれこそ暴力に繋がったりするのでケアが必要なのです。認知行動療法やカウンセリングが必要になる。だから、介護者は心理療法のカウンセリングを保険適用でだとか格安で受けられるようになるだとか、同様に認知行動療法も心理的バリアの低い状態で、つまり訪問診療や訪問介護のように介護者が自宅で受けられたりするとうまくいきやすいと思うのです。介護自体がポジティブにできるようになりますから。

介護者に対するケアが十分であれば介護自体がうまくいきだすんです。国の政策によって施設や病院でのケアから在宅ケアへと方向転換されてきているのだから、そうであるならば介護者を支援・ケアするのは理にかなっていると思うのです。

また、精神医療が必要な人が要介護認定されている場合、オープンダイアローグが役立つと思います。この技術を学んでいる専門家の介入があってもいい。オープンダイアローグも、ユマニチュードやアサーションと並んで、ふつうのコミュニケーションに対する考え方を養う部分がある技術。要するに、介護者の人間生育にも応用が利く。介護をすることはある種の学びを得ることや修養をすることにも繋がるものです。うまく支援やケアを受けながら介護をすれば、介護者は人間的にも深くなれると思う。現状の仕組みで在宅介護をしていれば、消耗ばかりの人生になりますから、そこを転換する仕組みが欲しいのですよ。

介護に正解があるわけじゃない。わけがわからないなかで自己流かつ孤立無援で奮闘しても、たいていは心がすさんでいってしまう。そこに政治は着目して欲しい。

世界の先端を行く、超高齢社会の国なんだから、なおさらなんじゃないかなあ。どうでしょうか?
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