Fish On The Boat

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『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』

2015-02-06 23:34:45 | 読書。
読書。
『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』 デイヴィッド・ミーアマン・スコット+ブライアン・ハリガン 渡辺由佳里 訳 糸井重里 監修・解説
を読んだ。

あまりビジネス書は読まないのですが、それでも読んでみると、
本書は、非常にユニークなマーケティングの本だなあと思えました。
バンドのグレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶんですよ?
ともすれば、ちゃらんぽらんにすら思えるちょっとサイケなバンドにです。
そんなバンドがビートルズやローリングストーンズよりも儲けてしまったんですって。
はじめは、たぶん結果からひも解いて論理づけるとこうなったっていう
成功例なのがこのグレイトフル・デッドのやり方なんじゃないのかなと、
たまたまうまくいったんじゃないのかなと邪推してしまいましたが、
そこのところっていうのは実にどうでもいい問題であって、
読み始めるとすぐに、「ああこれは本当のことだ」と気づくような、
ベールに隠されていない、露骨ですらある真実の、
「仕事の仕方(作法)」っていうものが示されていました。

初めの解説に書かれていますが、
マーケティングっていうと、小手先の大衆操作みたいな、
あまりよくないイメージのものを喚起させられると思うのですが、
そうじゃなくて、要するに、ビジネスをしているこちら側のスタンスを変えていこう、
こういうふうにしていこう、そうすれば周囲はこう動いてくれるものだ
っていうような、それも常識から離れていたり、
一見、自分たちの損になりそうだったりするのですが、
長期的に見てそのほうが自分たちの利益になったり、
そしてここが一番大事なように僕には感じられましたが、
自分たちの立ち居振る舞いが「自然」なスタンスなんです。
無理がないような、ビジネスの関係。
だからこそ、魅力と収益力にすぐれているのではないのかな。
素人ながらにそんな感想を持ちました。

なかでも、本書に出てくる「信頼は透明性から生まれる」っていう態度は、
僕は憧れるというか、好きだなあと思える考え方でした。
安心社会から信頼社会へを考えたときのヒントにもなりますよね。
そこにはやっぱり、透明になって見えてくる、いろいろな弱者的資質だとか、
タブー視されてきたような物事だとか、そういったものを直視して受けとめられる
度量と成熟加減が、みんなに求められるなあと思ったりもします。
なんだか、道徳教育が復活すると言われていますけれども、
道徳教育するならば、今言った部分のところが勘所なのではないでしょうか。


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