日本で見ることができるハクチョウの仲間には、コハクチョウ(全長120cm)、オオハクチョウ(140cm)とコブハクチョウ(152cm)がいます。米子水鳥公園で見かけたコブハクチョウを紹介しましょう。・・・コハクチョウ
コブハクチョウは、本来デンマーク、スウエーデン、ドイツ北部、ポーランド、ロシアなどで繁殖する野鳥ですが、その優雅な姿から戦後の日本や北アメリカ東部、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど、世界各地に移入されています。
1975年に北海道の大沼国定公園に移入されたコブハクチョウの子孫はウトナイ湖に定着、冬季は茨城県霞ヶ浦で越冬していることが確認されています。
その他に鹿児島県の藺牟田池や山梨県の山中湖でも周年生息していて、大阪長居植物園にも旭川動物園から寄贈されたコブハクチョウが生息しています。
オーストラリアでは、1886年から1920年代までの間に移入されたコブハクチョウが増殖、今では多数の繁殖コロニーが存在しているそうです。
営巣期、強い縄張り行動をみせるコブハクチョウは、大型の野鳥なので他の鳥類や植物に影響を与える可能性は大きいようです。
事実、霞ヶ浦ではレンコンや在来植生を食害することが問題になり、愛知県では「条例」によってコブハクチョウの放逐を禁止しているといいます。
米子水鳥公園のレンジャーは、コブハクチョウのことを、増えすぎて困る野良猫のようなものと紹介していましたが、日本に導入されたコブハクチョウは野良猫に例えるほどは増えていないようです。
ところでコブハクチョウは、殆ど鳴かないために英語でmute(沈黙した)Swanと呼ばれています。直訳するなら黙白鳥(モクハクチョウ)でしょうか、こっちのほうが瘤白鳥と呼ぶよりも優雅な感じがすると思うのですが・・・。
参考文献:日本の野鳥590 真木広造 大西敏一著