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ROSSさんの大阪ハクナマタタ



今年3月の調査によれば、大阪市営地下鉄今里筋線の利用率は当初予想の12万人に対し3万7千人であることが判明、大幅な赤字路線になっているという。



バブル頂点の時期であった1989年、大阪市運輸政策審議会答申で、上新庄~湯里六丁目間が示されたが、上新庄までの経路に地下構造物が判明したため、起点が阪急相川駅の東1キロ付近にある東淀川区の井高野に変更されている。

清潔なトイレの入り口



その地下鉄今里筋線は、2000年に予定通り着工され、2006年12月に井高野~今里間が開業したが、起点の井高野が他の交通駅と連絡していないので乗客の伸びは厳しいようである。



バブル崩壊から10年近く経ち、大阪市の財政環境が激変しているのに、地下鉄新線建設を中止すべきであるという公務員や議員はいなかったのであろうか。

ホームへのエレベーターはガラス貼り



井高野駅から今里駅までの事業費は2700億円、今里駅から延伸計画がある湯里六丁目駅までを着工すると、さらに1300億円の費用がかかってしまうことから、関大阪市長は延伸区間の工事を当面凍結すると表明している。



同じ規格で市内中心部(心斎橋)に乗り入れている長堀鶴見緑地線が、毎年100億円を超える赤字という厳しい状況となっているのを見ると、市内中心部を通らない今里筋線の採算性は絶望的であろう。

ホームには昇降エスカレーター完備



今里筋線では、建設費を圧縮するために設計が共通化され、ホームのデザインも共通化されているので駅名表示を見なければどの駅にいるのか良く判らないほどであるが、改札とホームの上部に現時刻・発車時刻・列車接近を案内するモニターが備えられているので安心である。



地下鉄の車輌は、長堀鶴見緑地線と同じリニアモーター方式のミニ地下鉄を採用しているので、車内が少し狭いが乗客も少ないので違和感は無く、コスト削減のために運転はワンマンバスと同じワンマン体制である。



今里筋線の駅ホームには、大阪市営地下鉄で初めて導入した車両扉と連動した可動式ホーム柵が設置されているのが大きな特徴で、これならホーム転落事故に対する安全面は万全であるが、当然装置の保守コストは加算されることになる。



大阪市営地下鉄としては初めて淀川を地下トンネルで潜る区間があり、多くの駅で地下駐輪場が併設されているのもコストアップの要因であろう。



大阪市は、交通局を公設民営化する方針から転換して『株式上場も視野に入れた完全民営化』する方針を打ち出したため、今里筋線の延伸は実現しない公算が極めて高いようである。

しかし、日本国の公務員の伝統である見通しの甘さは、旧陸海軍の軍幹部(すべて公務員だった)と同じで、国を破滅させてしまうまで続くのであろうか。


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