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観心寺と天誅組
大阪の寺院訪問
/
2007年06月06日 20時57分59秒
堺から始まる西高野街道は、平安時代後期から鎌倉時代初期には主要な参詣道として使用されていたようで、室町時代から江戸時代には、商港堺と高野山との物資輸送で大変賑わっていたという。
その高野街道を、堺から16キロ進むと河内長野で、さらに16キロ進むと高野山の入り口、橋本の街がある。
観心寺講堂
河内長野から賀名生(五条市)へ至る道を4キロ入った場所に観心寺があり、賀名生からさらに東の山中に南朝の本拠吉野がある。
観心寺の絵図
檜尾山観心寺(ひのおざん かんしんじ)の前身は、奈良時代前期(704年)、役小角によって草創された「雲心寺」である。
本願堂
815年、空海がこの地を訪れ、如意輪観世音菩薩を刻んで本尊とし、寺号を「観心寺」と改めているので、観心寺は今では高野山真言宗遺跡(ゆいせき)本山と称している。
観心寺の本格的な伽藍造営は、実恵(道興大師)とその弟子真紹によって行われ、869年の符(公式文書)によると、「実恵が国家のために建立を発願し、真紹が実行したのが観心寺であり、その後も法灯よく護持されている」とある。
道興大師廟
観心寺別当には、河内国の国守をあてるとされているので、河内国の官寺とされ、「雲心寺」からは1300年、観心寺になってから既に1192年が経過している。
鐘楼
1359年には、後村上天皇が天野山金剛寺から観心寺へ遷り、翌年大和に移られるまでの10か月間を過ごされ、1368年に崩御の際には観心寺金堂の東側の山中に葬られている。
宮内庁の掲示
室町以降観心寺は次第に衰退したが1594年、豊臣秀吉が観心寺村を検地のうえ25石を寺に寄附している。
弁天堂
1617年には徳川秀忠が観心寺村内で25石を寄進する朱印状を寺に出し、これ以降、家光、家綱、綱吉と代々の将軍から同様な朱印状が寺に出されている。
阿弥陀堂
その後、1633年の洪水によって、金堂、塔、坊舎など多数が破損したが、1646年御影堂が再建され、1659年阿弥陀堂建立、1665年には金堂の修理が完成、1699年には行者堂が再建されている。
御影堂(中央)と行者堂(右)
明治維新前夜の1863年8月、公卿中山忠光18歳(1845~1864年)を主将とする天誅組が大和五條に打ち入る前に、楠木正成の墓前に詣でたという石碑が、正成の首塚の前に残されている。
堺から高野街道を通ってここにきた天誅組は、中山忠光(明治天皇生母の弟)、土佐の吉村寅太郎(1837~1863年)以下38名であったという。
正成首塚
今から144年前の夏、天誅組の彼らは、この光景を見ていたのである。
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