メカニックを訪れれるとそこには幻の名車 DATSUN 510 が整備の為に入庫していた。しばらくメカニックと雑談を交わし目の前の510を眺めながら嘗て北米日産の社長を務めていた故Mr.K片山豊氏の事を思い出す。
510 っていうのはいいクルマだったね。これが日本からの輸送船に乗ってサンペトロの港に入ってきた時は、本当に嬉しかったんだよ。510 は思い出がたくさんあるよ。これに乗ってカリフォルニア中行くところ道がないぐらい走りまわったんだ。Mr.K
510が北米で走りだしてから半世紀を迎えようとしている。今の時代はいい時代だと思う。なぜならこうやって半世紀を迎える実動車を観る事が出来る、そこには面白さが存在している。その面白さとは車の固体だけの事ではなく、現在という時代の中で旧車を前に当時の情勢について、ああだこうだと語れる話題性である。
片山氏の功績とは何か?それは日本車をアメリカに売り込む事に貢献した実績である。氏は1958年に豪州ラリーでダットサンがクラス優勝した時にフォルクスワーゲンのサポートチームが他のチームに勝って交換パーツの補給力とサービスに力を入れていた事を学び、当時の北米日産においてはパーツの供給とそれに伴うサービスを迅速に行う体勢を強く指示していた事はあまり知られていない。日本車が世界に広まったのは車の性能や燃費、或いはオイルショックの時代的背景だけではなくて、実はこのサービス面での功績も大きいのである。
当時サンペトロの港に入港した DATSUN510 が今もこうやってニューヨークの郊外で走っている事にただただ喜びを感じるのである。
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