The Africa Overland Network というサイトが存在する。アフリカという名をサイト名に使用している事からおそらく英国人が創めたサイトだとは思う。このサイトにはアフリカやアジアをオーバーランド旅行した人々の旅行記の投稿が寄与され、これからそれらの地をオーバーランド旅行しようと計画する人々が情報を求めてやって来る。昨年の一月に Overland lives というサイトで、この The Africa Overland Network のアフリカ旅行に対する投稿を分析した人が存在する。この The Africa Overland Network というサイトには2000年から2014年までに873の寄稿が公開されているが、その数字の分析結果から一体何が観えてくるのであろうか?
2000年から始まったこのサイトに投稿された旅行記録は2008年から興起し2009年にピークを迎え、そして2010年もそのボリュームを維持したが、その後2011年には勢いを失い現在は下降線を辿っている事が分る。なぜ2009年にピークを迎えたのか?その理由は何か?今後それを推測し分析する事は未来のオーバーランド旅行の復興に繋がる鍵となると考えているので、今後の課題として頭の隅に置いて置きたいと思っている。
なぜ、2009年にピークを迎えたのか?
今後はどうなるのか?
こちらのグラフはオーバーランド旅行に使用された車両の内トヨタ(青)とランドローバー(赤)を選んで並べて比較したものである。2002年まではトヨタもランドローバーもどっこいどっこいであったが2003年からトヨタが優位となっている。2007年から2010年頃までの最盛期にはランドローバーのほぼ倍の数のトヨタが用いられたが近年はその幅は縮小している状態だ。
2014年には48のレポートが投寄された。その内の35の投稿がトヨタ或いはランドローバー社で生産された車両を使用していたという事なので、およそ70%以上がトヨタかランドローバーかという事だ。しかし、グラフの見方というのはその主観に左右されて時に人々は誘導され客観的な見方を失ってしまいやすい。グラフを見ればトヨタは大きく飛躍したが同時に大きく下がっている。それに比べてランドローバーは変動率が低いのでトヨタには負けているが安定性があると捉える事も出来る。
ランドローバーを代表するランドローバーディフェンダーは32年という長い歳月に渡って生産されている。昨年(2015年)一杯でで生産は終了すると言われてきたが、実は現在もまだ生産ラインは稼動しており、生産終了の時期は2016年の4月まで延期されたと聞く。その理由はおそらく最後の英国製のディフェンダーを求めるオーダーが殺到したからだと思われる。今後、ディフェンダーは生産ラインをスロバキアに移して2017年より再び生産される計画が進んでいる。
アフリカ大陸のデーターによると、オーバーランドのブームは2008 - 2010年にかけて一つのピークを迎えている。過去のこの一つの山はトヨタとランドローバーが長年生産してきた4x4車両の存在が大きい。そして、その時代は初期オーバーランダーの黄金の時代と称してもいいのではないかと思う。つまりブームであったのだと思う。そして、そのブームには仕掛けがあった。その仕掛けを起こしたのはランドローバーという存在ではなかったかと思っている。その理由はアメリカでオーバーランダーの名称を定着させたオーバーランドジャーナル誌の発行時の大きなスポンサーがランドローバーで有った事からそう理解している。しかし、皮肉な結果になったのかも知れない、なぜならばランドローバーの文化と思想をオーバーランダーという形で世に提示したところ、ランドローバーよりもトヨタを選ぶ人がもっと増え、更にジープラングラーもその波にのりつつある結果になってしまったんじゃないかというのが僕の勝手な一つの見解である。
さて、今後のオーバーランダーの動向についてだが、それはグローバルライズからローカルライズに展開しそれぞれの地域に吸収されていく事となるのではないだろうか。つまり、アフリカのデーターはグローバルライズの一つの山であり、今後はローカルライズとして山は低くなるが裾野は広くなる傾向に向かう。オーバーランドという冒険旅行的な概念は長旅だけではなくて週末の短期の冒険チックな過ごし方としても、より定着していくのではないかと感じている。また、数のみが問題ではなく、より楽しむという質が問われるという事にもなる。トヨタかランドローバーかという競争的な問い以前に、オーバーランドの旅においては、より楽しんだ者こそがアフリカ大陸を制するという事になるのであろう。