万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

トランプ前大統領暗殺未遂事件の目的は内乱誘発?

2024年07月16日 10時26分03秒 | アメリカ
 ドナルド・トランプ前大統領に対する暗殺未遂事件は、政治の場に暴力を持ち込んだとする批判を巻き起こしています。次期大統領選挙にあって最大のライバルにして、同事件のバックとして最も疑われる立場に置かれてしまった民主党のジョー・バイデン大統領も、翌14日には、ホワイトハウスの執務室から演説し、政治的暴力を強い口調で批判しました。「このような暴力はアメリカにあってはならならない。どのような暴力も絶対にあってはならない」と・・・。

 暴力が支配する時代は、既に過去のものとなったように見なされがちですが、現代という時代に生きる人類は、整えられた制度をもって暴力を上手に封じ込めているのでしょうか。過去の出来事であると信じているからこそ、人々は、謀略や陰謀などもあり得ないと思い込むのでしょう。しかしながら、グローバリズムの浸透による国家の統治システムが揺らぐ今日は、むしろ、謀略や陰謀を含めた政治的暴力の脅威が増しているようにも思えます。アメリカにおける政治的暴力は、リンカーン大統領やケネディー大統領の暗殺事件に見られるように今に始まったことではないのですが、今般のトランプ前大統領暗殺未遂事件は、第三次世界大戦の足音とも言える不穏な空気が流れている時期だけに、同事件の背景には、政治的意図を想定せざるを得ないのです。

 第一次世界大戦は、サラエボでの一発の銃声が引き起こした惨事でしたし、第二次世界大戦前夜あってヒトラーが政権を掌握する過程でも、陰謀めいた国会議事堂放火事件や水晶の夜などが発生しています。何らかの事件をきっかけに世界大戦に発展したり、国家体制が一変した事例は歴史に散見され、それは、偶然の出来事とは思えなないものばかりです。それでは、今般の暗殺未遂事件には、どのような政治的な意図があったのでしょうか。

 目下、ネットなどでは様々な憶測が飛び交っていますが、最も可能性の高い有力説は、民主党陣営によるトランプ前大統領の暗殺となりましょう。トランプ前大統領とバイデン現職大統領が一つしかない大統領の椅子を争っているですから、誰もが、自ずと民主党陣営による犯行を疑ってしまいます。しかも、バイデン大統領は、同事件に先立つ8日に、大口献金者との電話にて「トランプに照準を合わせる時だ」と発言したと報じられたため、共和党のマイク・コリンズ下院議員に至っては、ソーシャルメディアに「ジョー・バイデンが命令した」と書き込んだそうです。その一方で、共和党陣営による自作自演説もないわけではありませんが、演説会場で撮影された動画を見る限り、少なくともトランプ前大統領自身は、事前に銃撃が知らされていたとは考えられない反応を見せています。

 共和党対民主党の対立構図からすれば、民主党陣営が‘第一容疑者’となるのですが、もう一つ、政治的意図を推測するとすれば、それは、世界権力によるアメリカにおける内乱の誘発であるかもしれません。このように推測する理由は、事件発生後、先ずもってトランプ前大統領が訴えたのは、‘国民の団結’であった点です。この発言の背景には、同事件を切っ掛けとした国家分裂に対する危機意識があったことを示しています。また、バイデン大統領も、同発言に呼応するかのように「われわれは一つの国家として団結しなければならない」と述べて‘団結’を促す方向に転換しています。両者とも、対立のエスカレーションを避けるべく、事態の沈静化に動いているのです。

 以前より、アメリカは内戦の危機が指摘されていましたが、同事件は、内戦を誘発したい勢力にとりましてはまたとないチャンスとなったはずです。実際に、ネット上の掲示板等では、過激なトランプ支持者による「今こそ戦争だ」、「共存したくないのは向こうの方だ」といった報復を煽る投稿が相次いだそうです。今般の事件では、右耳の負傷に留まったのですが、仮にトランプ大統領が命を失う文字通りの暗殺事件となった場合には、仇打ちあるいは復讐戦としての内戦が引き起こされないとも限りません。一方、冤罪を主張する民主党陣営も、事件発生以前から‘闘争モード’でしたので、暴力の応酬となったことでしょう。南北戦争以来の内戦ともなれば、アメリカ国民は引き裂かれ、国民同士が武器を手に殺戮し合う地獄絵となります。そして、戦争ビジネスが繁盛する一方で、国土を更地にし、統治機構をも破壊してしまう内戦は、全世界を根底からリセットしたい世界権力が望むところなのでしょう(第三次世界大戦計画が頓挫しそうなので、アメリカ内戦計画に切り替えたのかも知れない・・・)。

 果たして、同事件に隠された政治的意図を内戦誘発とする憶測は、真相を言い当てているのでしょうか。もちろん、見当外れも甚だしいとする反論もありましょうが、グローバルレベルで不可解な事件が頻発している現状からしますと、安易には捨てられない説のように思えます。仮に、トランプ前大統領暗殺未遂事件の意図が内戦誘発であるとしますと、それが未遂に終わったことは、トランプ前大統領の命のみならず、アメリカ国民をも内戦の危機から救うことになったのではないかと思うのです。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トランプ前大統領暗殺事件は... | トップ |   
最新の画像もっと見る

アメリカ」カテゴリの最新記事