万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

河野太郎氏の罪はワクチンリスクを否定したデマ発言では

2024年04月25日 13時00分16秒 | 日本政治
 今般、コロナワクチンについては重大なる健康被害があったとして、国に対して損害補償を求める集団訴訟が起こされることとなりました。コロナワクチンは、mRNAワクチンという人類史上初めて登場した新種ワクチンであり、当初より、医科学的な見地からもそのリスクが指摘されておりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の脅威のみが強調されると共に、政府側による国民に対する強力な接種圧力があり、感染率も重症化率も死亡率も極端に低かった日本国が、事もあろうことか、新型ワクチン接種率にあって世界トップレベルに躍り出てしまったのです。

 日本人のみがCovid19に対して強い免疫あるいは抵抗力を示す現象については、ファクターXの存在が取り沙汰され、同ファクター探しの方がむしろ人々の興味をかき立てていた観さえありました。アメリカやヨーロッパ諸国ではパニック状態にありましたので、日本国は、比較的安定した状況にあったと言えましょう。こうした中でのワクチン接種率の飛躍的な上昇は、日本国政府のワクチン接種促進政策を抜きにしては説明できません(同調圧力の利用とも・・・)。このため、今般の集団訴訟でも、同政策に責任を負う政府に対して損害賠償が求められることとなったのです。

 ワクチン被害における政府に対する責任追求において、とりわけ批判が集中することとなったのは、河野太郎現デジタル大臣です。同氏は、当時にあってワクチン接種推進担当相を務めていたからです。今般の集団訴訟が報じられますと、SNS等において同氏に対して‘新型コロナワクチン後遺症の責任はとらないのか’とする声が殺到し、河野氏自身も、Xにて回答せざるを得ない状況に追い込まれたのです。

 責任を問う声に対する同氏のXでの回答を読みますと、その基本姿勢は、担当大臣としての‘職務上の責任’の如何に限定されているようです。担当大臣として、ワクチンを無駄にしないための指示を行なったことや(無駄にしないために接種すべしとする発想自体が恐ろしい...)、地方自治体に対して裁量権を承認したことなどに対する責任に限られているのです。その狙いは、自らの責任を一部の職務内容に矮小化する、あるいは、自らを政策の実行者に位置づけることで政策の決定責任を回避することなのでしょうが、もう一つ、意図があるとしますと、それは、‘デマ発言隠し’なのではないかと思うのです。

 回答で述べている職務上の責任については、国民の多くが知り得ない事柄ばかりです。このため、当時の職務上の細かな判断を尤もらしくつらつらと述べられると、デマ発言を忘れてしまう人も少なくないかも知れません。しかしながら、当時にあって最も国民に強いインパクトを与えたのは、医科学的な根拠のある指摘を含めてワクチンリスクをデマと断定した‘デマ発言’なのではないでしょうか。同発言によって一種のワクチン安全神話が誕生し、同氏の発言を信じた国民の多くがワクチン接種を決断したことでしょう。その一方で、ワクチンリスクを指摘する情報は、悉く封じられてしまうのです。

 ワクチン接種とは、正当行為となる治療行為ではなく、感染の予防を目的に健康な人々に打ちますので、ワクチンが有毒である場合には、他者の生命や身体を害する他害行為となりかねません。コロナワクチンの場合、ワクチンと健康被害との間に因果関係が存在しながら、それを政府側が全面的に否定し、接種を一方的に推奨したとなりますと、政府が国民を‘騙し討ち’にしたと見なされても致し方がないのです。とくに日本国の場合には、リスクとメリットとの比較考量では、前者の方が高い可能性が極めて高いのですから。

 ここに、政府による危険なワクチン接種の推進事業が刑法上の違法行為となる可能性が生じることとなります(日本国憲法第21条並びに第25条違反の可能性も・・・)。そして、同時に、WHOや政府によるパンデミックや緊急事態の認定は、違法性阻却の事由となるのか、という問題も提起されることとなりましょう(因みに、昨日4月24日に日本国政府が有識者会議に提出した新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定案では、より強い措置がとれるとしている・・・)。そして、医科学的な見地からのワクチンリスクを政府は知っていたのか、という点も、故意であるのか、過失であるのかを判別する論点ともなりましょう。

 刑事責任や違憲性等については今後の議論を要するものとなりますが、少なくとも、当時にあって河野氏は、ワクチン接種が建前として任意である以上、判断材料としてリスク情報も徹底的に収集し、ワクチン接種推進担当相として国民に提供する義務があったはずです。職務上の責任とは、事務的な作業指示のみではありません。政治家として当然に果たすべき国民に対する説明責任を怠ったのであり、しかも、調べもせずに安全宣言を行なったのですから、その罪は重いと言えましょう。政治家は結果責任を問われますので、コロナワクチンと健康被害との因果関係が証明された時点で、河野氏は国民に対して潔く責任をとり、閣僚職のみならず、国会議員の職も辞するべきではないかと思うのです。

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