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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

台湾民進党の勝利-国民党は消滅危機に?

2016年01月18日 15時49分50秒 | アジア
台湾との協力・交流深化=日本政府
 台湾では、総統選挙で民進党の蔡英文主席が当選し、国民党の馬政権に代わって蔡政権が誕生する運びとなりました。同時に実施された立法院選挙でも民進党が議席の多数を占め、台湾の政界は様相を一変することとなったのです。

 民進党勝利の主たる要因は、国民党政権による過度な中国接近策に対する台湾国民の反発にあります。中国の習政権側との協力の下で馬総統が促進した中台間の経済連携強化路線は、当初は経済効果から歓迎されたものの、時間の経過と共に、この路線の背後に潜む中国側の政治的野心が表面化するようになりました。投資・サービス協定の締結に反対して発生した学生等によるひまわり運動は、中国に飲み込まれることへの台湾の強い拒否感を象徴しています。また、時を同じくして、香港では「一国二制度」が風前の灯となり、中国側が望む”一つの中国”が、台湾の共産化であることもはっきりしました。国民党の路線を進めば、台湾の行く手には、自由や民主主義が失われる運命が待ち受けていたのです。今般の選挙結果は、中国の一党独裁体制に対する台湾国民の拒絶という側面が観察されるのです。台湾の人々が、民主的選挙を手段として、自らの手で自由と民主主義を選び取ったことは、中国、とりわけ中国国民に対しても、”大陸の民主化”の可能性という意味において、静かなインパクトを与えることでしょう。

 そしてこのことは、国民党が、内戦に敗れて蒋介石が台湾に渡って以来、最大の危機を迎えることを意味します。何故ならば、馬政権時代の苦々しい記憶が国民党に親中政党=”売国政党”のイメージを染み付かせ、国民に”アレルギー反応”を起させる可能性があるからです。後世の歴史書では、2016年1月16日の選挙は、台湾において、一つの時代を画する分水嶺であったと語られるかもしれません。

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