万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

韓国の対日スワップ協定復活要求のリスク

2016年01月12日 17時00分58秒 | アジア
 年末に電撃的に発表された慰安婦問題に関する日韓合意については、その行く先に不透明感が漂っております。韓国側が、合意内容を誠実に履行するのか不明であり、また、合意内容の詳細についても両国間で解釈の違いが見られるからです。

 日韓関係の改善は、今後の展開次第なのですが、韓国側は、義務不履行の段階にあるにも拘わらず、日本国に対して、スワップ協定の復活を求める方針と報じられております。しかしながら、このスワップ協定の復活、日本国政府は、慎重に対応すべきではないかと思うのです。その理由は、韓国が、アメリカの利上げの影響により、自国の外貨準備に不安が生じることを予測しているからです。日韓スワップ協定が終了した後、韓国は、中国のスワップ協定を締結しております。報じられている通り、中国が潤沢な外貨準備を保有しているならば、改めて日本国に協定復活を依頼する必要はないはずです。あるいは、日韓合意が、昨日のブログで指摘したように親米路線への回帰であるならば、中国とのスワップ協定が終了する可能性があるのかもしれません。何れにしましても、仮に韓国が危機感からスワップ協定を要望しているとしますと、それは、即ち、スワップ協定が発動される可能性が極めて高いことを意味しております。つまり、スワップ協定の復活により、日本国が韓国に対して数兆円規模の外貨を融通するシナリオが現実味を帯びているのです。果たして、韓国は、日本国からの支援に感謝を示すのでしょうか。あるいは、将来において、融通した外貨を日本国に返却するのでしょうか。過去の事例を見ますと、この点は、怪しい限りです(日本国の損失については無視…)。第二に、韓国は、無格付け債権での発行となったAIIB債を引き受けていることです。表向きは、韓国の外貨準備は相当額に上っており、対韓投資も過去最高という報道もありました(もっとも、中国からの投資が最大ですが…)。仮に、この報道が正しければ、スワップ協定を急ぐ必要はないはずです。にも拘らず、スワップ協定の復活を望むならば、何らかの損失を念頭に置いていると推測され、その予測損失の一つは、AIIB債の不良債権化なのではないかと疑うのです。

 韓国は、これまで過激な反日政策を行ってきましたが、自らに不都合な事態が生じると、”用日”、即ち、日本国を利用する政策に転換します。日韓関係の改善が、韓国による一方的な用日政策であるとしますと、日本国民の多くは、スワップ協定復活には反対なのではないかと思うのです。


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コメント (4)
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