万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

名誉回復戦で敵前逃亡した日本国政府

2016年01月16日 14時44分18秒 | 国際政治
 昨日、桜田議員の発言について安倍首相が不快感を示したことは、これまで、戦時中の慰安婦の実態を明らかにし、国際社会において日本国の名誉を回復しようと努力してきた人々を切り捨てる意思を表明したに等しいのではないかと思います。と申す私も、足元を見ますと、どうやら”梯子”がなく、足が宙に浮いているかのようです。

 慰安婦問題は、中国や韓国にとりましては”歴史認識”をめぐる対日・反日プロパガンダ戦ですが、日本国にとりましては、誣告で傷つけられた名誉回復のための戦いでした。国民各層の努力の甲斐あって、安倍内閣の発足後、朝日新聞の強制連行記事の撤回、河野談話の成立過程の検証、アメリカ政府に保管されていた調査書の発掘、そして、元慰安婦達の生活状況等も次第に明らかとなり、韓国の主張は完全に信憑性を失いつつあったのです。ところが、あろう事か、日本国政府は、昨年末、歴史的日韓外相合意と称して、名誉回復の戦を放棄して敵前逃亡してしまいました。しかも、その逃亡後の対応が、また酷いのです。名誉回復のために一緒に戦ってきた国民に対して、誠心誠意説明や謝罪することもなく、また、労いの言葉の一つもかけることなく、韓国側に立って、真実を語る日本人の側の言論を封じようとしたのです。敵前逃亡というよりは、韓国側への”寝返り”なのかもしれません…。歴史には、その時には些細なことに思えても、時代の重要な転換点となる事件があるものです。慰安婦合意は、捏造の歴史認識を日本国政府が認めたことにおいて、オーウェルが描く『1984年』の如き暗い時代の到来を予感させるのです。

 政府が敵前逃亡したのですから、今後は、国民自身が名誉回復のための孤高の戦を続けてゆくしかありません。理性や知性が息を吹き返し、事実のみが歴史となる日を信じて…。

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コメント (9)
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