万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

政治家は政治に徹するべき-芸能界との癒着問題

2016年01月19日 17時07分42秒 | 社会
【SMAP解散協議】安倍首相「存続よかった」 中谷防衛相「解散は『存立危機事態』」
 最近の日本国の政治を観察しておりますと、”衆愚政治”の方向に向っているのではないかとする疑いがあります。内部から何かが崩れてきている予兆を感じるのです。

 本日も、首相をはじめ、閣僚までもが、”SMAPの解散問題”について言及したとの報道がありました。これらの発言、幾つかの点において問題があります。第一に、芸能活動とは、あくまでも興行であり、芸能人の人気は特定のファンによって支えられています。SMAPファンは、国民の一部ではあって、全てではありませんし、同様のグループは他に多数活動しています。こうした中、特定のグループに対してのみ、政治家が、そのポストの肩書で、去就についてコメントするとしますと、特定の芸能人を”特別扱い”にすることを意味します。政治家は、芸能人に対しては中立的であるべきです。第二に、政治家が発言しますと、芸能界の出来事を”国事”として扱ったことを意味します。中谷防衛相に至っては、『存立危機事態』とまで称したそうですが、この発言、国民のみならず、自衛隊の方々をも心底落胆させたのではないでしょうか。日本国の命運を、芸能グループの解散問題と同列と見なしたのですから。第三に、政治家の発言は、”解散しなくてよかった”とするものですが、その殆どが、”国民のためによかった”としています。しかしながら、日本国民を代表して政治家がSMAPに感謝する構図は、奇妙としか言いようがありません。政府が、政策的に”国民的スター”を造るのは、全体主義的な手法あり、ファンではない一般の人々からは反感を買います。

 実のところ、国民の多くは、一連の騒動を、”何か裏があるのではないか”と怪しんでいるのではないでしょうか。政治家は、政治に徹するべきであり、芸能界との癒着は、世論誘導や衆愚化を疑われる原因になると思うのです。

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コメント (2)
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