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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

何故SEALDsは”法の支配”を掲げないのか?

2015年08月10日 16時18分48秒 | 国際政治
 安保法案に対して反対デモを組織している学生団体SEALDsの名称は、Students Emergency Action for Liberal Democracyの略称であり、意味としては、”自由で民主的な社会を守るための緊急アクション”なそうです。しかしながら、今日、国際社会が抱えている最大の問題に注目しますと、この団体の背景が見えてきます。

 国際社会は、今日、一部の国家、並びに、武装集団による国際法を無視した行動に対して危機感を共有しています。最大の脅威は、”無法国家”による武力を背景とした拡張主義や国際ネットワーク化したテロリズムにあり、安保法案は、こうした脅威に備えた法案とも言えます。それ故に、安保法案には、国際法に照らして違法な内容は一切ないのです。一方、SEALDsは、”自由で民主的な社会”を敢えて日本の社会に限定し、安保法案のみならず、憲法第9条に関する政府解釈の変更を違憲として批判しています。国内問題に押し込めることで、批判の矛先を専ら日本国政府に向けているのです。ところが、SEALDs自身が”戦争法”と称しているように、安保法案とは、日本国の法律ではありますが、自国の防衛を含む国際社会の問題に対処することを目的に作成されています。ですから、SEALDsも、平和を訴えるならば、国家レベルでの自由と民主主義にもまして、国際レベルでの法の支配を強調しなければならないはずなのです。今日における戦争、特に、集団的自衛権が発動される戦争とは、国際法上の違法行為である侵略等に対する防衛戦争となるのですから。

 SEALDsは、軍事力に代わる平和の実現手段として、外交による話し合いを主張してもいますが、まずは、中国に対して”法の支配”、即ち、国際法の遵守を求めるのが筋です。外交交渉では、孫子の兵法にいう”戦わずして勝つ”ことを許しますし(無抵抗による属国化…)、中国が、国際法を順守し、共通ルールとしての行動規範を守っていれば、戦争は起きないのです。国際社会において最も重視されるべき”法の支配”を堂々と擁護できないSEALDsに、中国への阿り、あるいは、共産主義の影が見えるのです。

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コメント (4)
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