万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

過去の談話の日本100%悪玉論への疑問

2015年08月13日 16時38分46秒 | アジア
鳩山氏、ひざまずき合掌=植民地時代の刑務所跡で―韓国
 昨日、日本国の元首相である鳩山由紀夫氏が、韓国の刑務所跡で土下座の謝罪をいたしました。氏は、明日、閣議決定される戦後70年談話でも、”侵略”、”植民地支配”、”謝罪”の言葉を含めるよう強く求めております。

 河野談話、村山談話、そして、小泉談話も、どの談話も、日本100%悪玉論に立脚しております。相手国には一切の責任はなく、日本国のみが謝罪すべき立場であるとする歴史認識に基づいているのです。しかしながら、戦前の国際社会の状況を考慮しますと、現在の基準を当てはめることには無理があります。韓国併合は1910年ですが、アメリカのウィルソン大統領の提唱によって民族自決の原則が世界大に広がるのは第一次世界大戦末のことであり、それが実際に実現するのも、第二次世界大戦後を待たねばなりませんでした。韓国において、3.1運動などの独立運動が起きるのも、1919年以降のことです。日本国の朝鮮統治が近代化に貢献したことは韓国は認めようとはしませんが、当時の韓国人は、日本の一部となることで利益を得た面も少なくないのです。例えば、日本国への仕事を求めての移住も、樺太などの日本領への入植も、そして満州や海外への移民も、日本国籍を保有していればこそ得られたチャンスです。こうした側面を全く無視し、100%日本悪玉論を前提とした謝罪は、事実に即しているとは思えません。中国にしましても、当時の状況を詳細に詰めていきますと、中国側にも責任があることが浮かび上がってまいります。今日ほど国際法や制度が整っていない時代には、法律問題ではなく、双方に言い分がある政治問題の側面が強い場合が多々あり、責任の比重は60%と40%、50%と50%、70%と30%…などなど、一方に偏ることはないのです。

 中国も韓国も、過去において日本国に対して謝るべき非人道的な行為も行っております。戦後70年談話において日本国が謝罪すれば、中韓も日本国に対して謝罪を行うのでしょうか?明日の戦後70年談話では、日本100%悪玉論の肯定とならぬことを祈るばかりです。

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コメント (2)
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