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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国との歴史認識共有で自己分裂に陥る韓国

2015年08月20日 15時06分17秒 | アジア
朴大統領、訪中発表…パレード参加は「検討中」
 第二次世界大戦の終結から70年を迎える今年、中国でも、9月3日に「対日戦争勝利記念」の記念行事が催されるそうです。中国と歴史認識を共有し、共闘関係にある韓国の朴大統領の参加が注目されてきましたが、記念行事には出席する予定と報じられております。

 軍事パレードへの臨席については、朝鮮戦争に中国軍が参戦したことから韓国国内において反対意見もあるそうですが、韓国が、こうした”自己分裂”とでも言うべき状況に陥った原因は、韓国が、史実を無視し、中国と歴史認識を一致させたところにあります。戦時期にあって、史実としての韓国は、1910年の韓国併合条約により日本国の一部でした。朴大統領の父朴正煕元大統領が血書の提出を以って満州国軍官学校に志願したように、当時の韓国人の多くは、日本軍の一員として連合国諸国と戦っていたのです。ですから、朴大統領の戦勝記念行事への出席も、国家の代表としても、個人的にも本来は憚られるはずなのですが、敢えて参加を決定した背景には、韓国の戦勝国願望があるのかもしれません。この戦勝国化の試みは、サンフランシスコ講和会議におけるアメリカ政府の拒絶により挫折するものの、国内的には、憲法の前文にも明記されているように、自らを、1919年の3.1独立運動後に上海で設立された”大韓民国臨時政府”を継承する国家とみなしています。臨時政府は、連合国からも承認されておらず、国際法においては正当性が全く以って欠如していました。ところが、今回の式典出席の目的の一つに挙げられているのが、上海にあるこの臨時政府庁舎の再開館式への出席です。このことは、中国が、暗に韓国の歴史認識を承認する姿勢を見せていることを意味し、そうであるからこそ、韓国は、記念行事への出席に踏み切った可能性もあります。戦勝国になれば、永久に敗戦国に対して要求を突き付けることができると考えている国にとりましては、中国からの誘いは渡りに船なのでしょう。

 しかしながら、韓国は、中国との歴史認識共有に、思わぬ誤算が潜んでいることに気が付いていないようです。それは、戦勝国を装うこと、即ち、過去の史実を塗り替えて”偽連合国”となることは、冷戦の歴史をも引き継ぐということです。言い換えますと、中国の承認によって”偽連合国”となることは、冷戦期における東側、即ち、中国側に与することを意味するのです。このため、朝鮮戦争との間で整合性が取れず、かつ、冷戦期に西側陣営にあった日米に対して袂を分かつ結果を招きかねないのです。今後、米中対立が深まるほど、韓国は、自らが造り出した虚像がもたらす自己分裂に苦しむことになるのではないでしょうか。

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コメント (2)
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