万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

脱原発コストも正確に算定を

2011年10月15日 15時30分56秒 | 日本経済
原発稼働率、過去最低の20.6% 9月(朝日新聞) - goo ニュース
 福島第一原発の事故により、脱・反原発運動が活発化しているようです。脱・反原発派の人々は、原発コストは電力会社の算定よりも高いとして、コスト計算の見直しを求めています。

 原発コストの見直しの根拠としては、事故時の賠償額や廃炉の費用が含まれていないことが挙げられています。しかしながら、今回の事故の賠償は、5兆とも6兆とも言われている一方で、脱原発による電力会社の燃料費の負担は、年間で3兆円にも上るそうです。つまり、2年間脱原発を続ければ、賠償額と同額のコストとなる一方で、今後、事故を起こさなければ、この原発コストはゼロとなります。また、再生エネルギーの普及に不可欠となるスマート・グリッドの導入にも、最低で1兆3600億から最大57兆2000億円の費用がかかるそうです。加えて、電力会社のみならず、一般家庭のコストも考慮すべきです。冬場の電力不足を懸念して、石油やガスストーブの売れ行きが伸びているとも報じられており、新たな暖房装置の購入にもコストがかかりますし、暖房燃料としての石油やガスの輸入量も増えます。また、今後、再生エネルギー事業への参入が増加すれば、電気料金はさらに上昇することが予測されるのです。

 原発のコストの見直しは進めるべきでしょうが、脱原発コストについても、できる限り正確に算定し、国民に知らせるべきです。最近では、極めて安全なキャンドル型の原子炉の名も挙がっており、原子力発電に将来がないわけではありません。いたずらに脱原発を煽りますと、原発の再稼働が遅れ、日本経済も国民生活も、立ち行かなくなってしまうと思うのです。

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