goo blog サービス終了のお知らせ 

万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

市場統合なき東アジア共同体のリスク

2009年08月27日 21時28分47秒 | アジア
東アジアで通貨統合、安保協力=民主・鳩山氏が米紙に寄稿(時事通信) - goo ニュース
 民主党の鳩山氏は、特に通貨統合と安全保障の分野を挙げて、東アジア共同体を目指すと明言しているようです。これらの枠組みが中国の覇権を許す可能性が高いこともさることながら、このプランには、何故にか、欧州市場の最大の成果とも言うべき市場統合が抜け落ちているのです。

 その理由を推測しますに、おそらく、市場統合には、公平で中立的な共通ルールの導入を伴うからなのではないかと思われるのです。もちろん、通貨統合にも同様の問題が指摘できますが、広域的な市場を形成するためには、自由な経済活動とフェアな競争を実現させるための共通ルールが必要不可欠です。一方、近年に至って市場経済を採用した中国では、市場法そのものが未整備でありますし、共通のルールの導入は、共産党が握っている”経済利権”の放棄をも意味します。鳩山氏が市場統合を敢えて無視している理由は、中国への配慮とも考えられます。

 中国の市場を健全化するためには、むしろ、ルール志向のアプローチの方がふさわしいにも拘らず、中国の政治力がリスクとなる分野をわざわざ選ぶことは理解に苦しみます。法の支配なき中国ほど、周辺諸国の政治にとっても、経済にとっても脅威となるものはないのですから。

 よろしけれな、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする