万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米中接近で日米同盟は希薄化する?

2009年08月04日 15時57分23秒 | 日本政治
急接近する米中に脅威はないか?過去例を見ない「G2体制」の舞台裏(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 現在の米中関係は、政経両面で対立した米ソ対立よりも、経済において相互依存が成立している点において、やっかいな関係であると言えそうです。もし、経済関係の相互依存が戦争に至る政治的なリスクを低くする、という主張が正しければ、米中が戦火を交える可能性は小さくなったのかもしれません。しかしながら、周辺諸国には、同じことが言えるのでしょうか。

 中国の行動パターンが前近代的な覇権主義にあることは、近年の観察から明らかとなりましたが、この中国の態度を考慮しますと、米中の狭間にある日本国にとっては、中国から軍事的な攻撃を受けるリスクは、逆に高まったのではないか、と思われるのです。何故なならば、中国政府は、自国が日本国を攻撃した場合、アメリカ政府は軍事的な対応を見送ると踏むと考えられるからです。つまり、米中接近は、日本国にとりましては、いざとなっても日米同盟が発動しない可能性を高めたと言えるのです。実際に、チベットや東トルキスタンにおいて発生した非人道的な中国政府の行為に対して、アメリカ政府は、見捨てるかのように何も動こうとはしません。

 相互依存による均衡は、米中の間では成立しても、全ての諸国に当てはまるわけではないのです。今後、冒険主義を採る中国政府は、アメリカ政府の出方、あるいは、日米同盟の強度を探るかのように、日本国に対して軍事的な圧力を加えたり、国際法違反の行為を繰り返すかもしれません。米中接近は、日本国にとっては試練となりそうですが、国際社会における法の支配を守るためにも、圧力を跳ね返すだけの力量を備えなくてはならないと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする