秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

奥祖谷夏点描 夏山青きまま、やまざと日盛り

2015年07月31日 | Weblog


何時も感じることだが、ここに居ると祖谷の名峰は云うに及ばずマイナーな山々を
何時でも好きなときにたっぷりと眺めやることができることだ

いままでに数え切れないほど登った山々、2,3回しか登らなかった山々や
まだ、登ってない山々を時間の許す限り、眺めていることの幸福感はいいよな

思い出したように時折、気にかけている山を歩くのも、年取ってはきたものの
足腰を労わりながら、友に案内を請うたり、ひとりぶらりと歩いたりと好きなものは
止められない

年々歳々、四季折々、季節の盛衰を間じかに感じることぐらい幸せなことはない
これも、祖谷の山々を登山するため、通い詰めて次第に、一回り若い友達に
たくさん恵まれる幸運があったからだ

そして、空家を借りてそこを根城に大好きな山歩きに、集落歩きに明け暮れる日々を
過ごせることは、ほんとに素晴らしい

集落から集落へのむかしの道を友に案内してもらい歩いたことは印象深いものだ
山歩きには無いいろいろな集落の生活跡や廃家を訪ねて心に残るものがある

各集落をいつも何時も歩きながら、何らかの新しい発見があったりするとうれしいし
色々な人たちと顔見知りになって、特にお年寄りとの話は山里の生活の智慧や風習など
血となり肉となりぼくの心を豊かにしてもらうものばかりだ

気ままに過ごしてすでに、最晩年になってしまった、残り少ない人生を
ぼくなりの晩年様式集を紡ぐことが出来るといいなあ


「晩年様式集」は大江健三郎の小説
高校時代2つ先輩、文芸部に伊丹十三も居て大江は一緒に文芸誌「掌上」を発行していた
入学して文芸部に入部、しかし先輩にはとても適わず作品の採用は僅かであった














フォービスムなり自画像の雲の峰







きりきりきりり山絞る油照







蓑ひとつ暑さ絶頂封じ込む








目を癒す泉噴くなり山里に









































































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奥祖谷夏点描 やまざとに日射しは戻りて

2015年07月26日 | Weblog

山の木々や草花はいよいよ盛りとなり、青々と力を漲らせて光合成に輝いている
山裾のキャンパスは広々と延びている、草花を掻き分け、露に濡れるに任せれば
さぞ、涼しいことであろうなあ

祖谷の名峰たち、天狗塚、塔の丸、赤帽子山などの早朝の登りでは笹に宿る玉露を
愛でながら、登山靴も、パンツも、濡らして歩くことに喜びさえ感じるものだ


やまざとには、夏の花々が咲き乱れて、一服の清涼感を醸しだしている
畑仕事のお年寄りには木陰があれば、一時の休憩にほっとする
土木作業の方たちの木陰やブルドーザーの陰など昼寝を貪る光景などいいもので
ごくろうさんと云いたくなるものである

祖谷ではどんなにかんかん照りのときでも、日陰のある場所に入りさえすれば
涼しい爽やかな風に身を包むことが出来て、生き返ってほっとするなあ









笹分けて山のキャンパス露涼し





岩清水喉一杯の美味きこと





西日濃し褐色の腕土を掘る































































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奥祖谷夏点描 しづかな集落を歩けば

2015年07月24日 | Weblog

何時歩いてもしづかな集落である、いま住んでいるのは数軒ぐらいである
ほとんど廃家になってしまった、歩いていても偶にしかひとに逢うだけの寂しさである

最上部にNさんの家がある、数年前にお会いしたときはお元気であったがと思いながら
お家を訪ねると、屋上のベランダに居られた
Nさんは今年傘寿を迎えられたそうで、相変わらずお元気な笑顔で、よもやま話をされた
一時の話にお互いに至福を感じて、やっぱり年寄りの話は何時もいいものだなあ

帰りにこのお家にもおばあさんが居たよなあと道の入口に立ち止まるとすでに廃家であった
道路工事に使用する標識が一つ置かれて倒れていた

庭を覗いてみると、小さな細い茎の草花が小刻みに震えたいるようにぽつんとしていた
文字摺草であった
近くの水溜まりに水すましが絵を描いていた、ただそれだけの寂寥の廃家であった







道をしへ案内乞ふも廃家かな


寂寥に文字摺草の揺れにけり


空描きピカソ曲線水すまし

























































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奥祖谷夏点描 ぐずつく天候に翻弄されて

2015年07月20日 | Weblog


台風の直撃を受けながらも辛うじて被害を最小限に止めることが出来てほっとしている
台風一過で梅雨明けかと思われたが、そう簡単に事は運ばず、雨降りが続いている

落合集落の「ギネスに挑戦世界一流しソーメン」も国道沿い至るところに設置した不親切な
看板によって、県外から来た方たちには何のイベントなのか、なんの事なのかわからず
やたらに、多い同じ看板に不安がって、右往左往している人たちもいた
上から目線の威圧するような文句でなく、もっと判りやすい 適切な看板に出来なかったのだろうか

そのためかどうか知らないが、東祖谷の他の人たちでさえ、落合集落に入ると怒られるらしいと
思っているらしく、怖いからよう行かれせんとの言葉をいろんな人から聞いた
ぼくも、18日の設営と19日と落合集落をしたから最上部へと歩いて見て回ったが一種異様な雰囲気に
毒気に晒された思いであった、不快そのものだったなあ
ギネスに挑戦とは云え、なにか、土地の人たちそっちのけのイベントなのかな?と思った
結局のところ、東祖谷の人たちの楽しみなど考慮せず、むしろ、犠牲にして、ギネスに申請する
世界一の記録が欲しかったのかなあと思う、街の人たちが考える今流のやり方なのだろうなあ
あまり、感じの良いイベントのようには思われず、不快感いっぱいであった

この不快感とぐずつく天気を吹っ飛ばしてくれる夏本番が待ちどうしいなあ

後日の記事

http://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/20150721_712493.html
の記事のなかで、
「“高低差世界一”については少々曖昧なことになっている。今回は「ギネス世界記録」への
申請は行なっていないため、あくまで世界流しそうめん協会が認定した結果となる。」

とあり、この記事を読む限りにおいては、最初から「ギネスに挑戦」して申請するつもりは無かったことに
なり、言葉のマジックにしてやられたということです
ある友人が「ギネスに申請するために認定員はいるのですか」と問いただしたところ、「認定員はいません」
とのことでした、認定者が居なければ申請出来ませんよね

そういうことで、最初から胡散臭いイベントだなと感じていたのですが
落合集落の人たちは「ギネスに申請して世界一になれる」と本気で信じていたのですがね
設営など80歳にもなろうというお年寄りまで、身体に鞭打って必死でがんばったのですがね
そういうお年寄りを翻弄して騙したも同然でしょうがね
落合集落の人たちはいっぱい食わされたということになりかねませんよね
街のひとには気をつけましょう

7月20日の徳島新聞には、「三好市はギネスに申請を検討している」と報じているが
ギネスに申請するには挑戦する以前に申請して許可を取り、現場に認定員が来場して
認定許可が出て、初めてギネスに正式に申請できるはずですから、前もっての申請もなし
認定員も居ないではギネスに申請出来ないのでしょうが、三好市も知らないのでしょうか
それとも、みんなが、言葉のマジックに引っかかって一杯食わされたのでしょうかね
別な言い方をすれば、コケにされたのでしょう、

















夏山賛歌峰越ゆるキュビスム



































































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奥祖谷夏点描 梅雨明け間近い集落を歩けば

2015年07月15日 | Weblog

何時も見慣れた風景でなにも珍しいものとか、取り立てて美しい風景などでは
ないが、いくら歩いても見飽きない原風景的なものに引かれていくもの

これが、祖谷の里山の良いところであろう、そこに住まわれているお年寄りの
ひとりにでも、出会うものなら、ちょっとの立ち話どころか、長話になる
これが、また、いいものである、集落の最近の出来事を知ることができる

まあ、そんなこんなで最上部の民家に到達するにも、それ相応の余裕ある時間を
折込み済みの覚悟がいる

最上部の民家のT老婦はちょうど、じゃがいも畑にいた、朝方、猿が偵察に来て
2,3、箇所の芋を掘り起こしていたらしい
味をしめたから、近いうちに群で来るだろう、油断できないと云っていた


大きな台風が近づいている、今度はまともに来そうな感じだ、19日の日曜日に
落合集落のイベントで、「ギネスに挑戦世界一ソーメン流し」が行われる

落合集落の標高は最高約820メートルで、最も低い地点との差は390メートル
この急傾斜を生かしたコースを設定する予定で、高低差は265メートルほどに
千本程度の竹をつなぎ合わせ、全長3250メートルに挑戦するらしい







叱られてゐる含羞草うさぎの目







手の窪み座して安堵の天道虫







山雨過ぐるや梅雨明の近づけり


















































































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奥祖谷夏点描 ソーラーシステムとビニールタイガーの仕事

2015年07月10日 | Weblog

山頂標識の丸太の文字が未だに消えずに残っているを懐かしく思いながら
また、この家での数々の思い出が甦ってきた

当時は引っ越してきてから間が無く、何もかも新鮮で、興味のあるものばかりであった
先日に一の森ヒュッテに泊り山や祖谷を楽しんだ同期のS君やI君がよく遊びに来て
山を楽しみ、酒を楽しんで連泊していた
そのときの、酒のつまみはI君の担当であった、ごっつい顔のわりには料理は抜群に上手くて
食材や味付けにもうるさいほどで、我々は山のコックと煽てて何時も引っ張ってきていたものだ

また、九州美女美女山の会の交流のときは朝食をぼくの家でしてから山登りに出かけることになり
ぼくは、ひとりで朝早くから食事の準備に大忙しで、なにしろ7,8人分だったから大変であった
ぼくは、料理下手だが、まあ、冷蔵庫にある有り合わせの食材でなんとか形にはなった
だが肝心の味のほうはどうであったか、?であった

美女美女のひとり ミラ.ジョボヴィッチさんのイラスト


いろいろな出来事や風景を懐かしみながら、林道をしばらく歩いていると、以前から廃家になっている
家の横の空き地に太陽光発電のパネルが設置してある
1年ほど前に出来たようだ、各集落を歩いてみるが、このような設備はぼくの知っている限りでは
今のところここだけのようである
どのようなひとが、どのように使用しているかを聞き逃しているので詳細は不明のままだ

以前にも紹介したが、彼方此方の畑にはいまもって、ビニール虎の張子が活躍している
前より増えたようにも感じるくらいである
が、効用のほどは皆目わからずじまいだ、まあまあ効くという年寄りも居れば、
あんなもんばあ、効くわけないわ、気休めじゃわとも言う
それを知ってか、知らずか、ある畑の一匹が寝転がって不貞腐れていた







山談義ザックと酒と登山宿







注ぐほど酒に登山に酔ひにけり


































































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奥祖谷夏点描 雨上がり集落を歩けば

2015年07月08日 | Weblog

ぼくが、以前住んでいた界隈をすこし、歩いてみようと先日思い立って
林道に沿って歩き出した

大宮神社に車を置いて道を曲がって直ぐの所に炭焼き小屋がある、直ぐの林道を
下ったところに住んでいたKさんが、もう、彼是10年ほど前に作ったものだ

Kさんは炭焼き小屋については一家言あるひとで、手伝ってくれる人たちもいたが
なかなか、小うるさくて嫌気が差すひともおり、長らく前に進まずにいた

ぼくも、直ぐにでも炭焼きが出来るように思い楽しみにしていたのだが、何時までたっても
そのままで、完成したようには見えなかった、結局は一度も火入れをすることなく今日に至っている

そのKさんも2,3、年前に重い病気を患い、この世を去ってしまわれた
小屋のまわりは、草も繁り、横に植えていた桜などの、木々も随分と大きく育って風景も一変した

炭焼き小屋からほんの100mも無いところに、ぼくが10年ほど前に住んでいた家がある
堂々とした大きな立派な母屋と隠居があり、ぼくは隠居の方を借りていた

当時母屋も空家同然になっていた、大家の奥さんは町に居て、時折畑の作物作りや山の杉木の
手入れに帰って来ていたからである
今もよく手入れがされているから、時々帰ってきているのであろうと思う
ぼくが居た家の横を覗いてみて、懐かしいものがまだ、立てかけてあった、当時盛んに山に
担ぎ上げて要所要所に立てていた山頂標識や案内標識の丸太が寂しそうに並んでいた










居座りて山を奪ひて夏の霧





雨粒の猛りたる野に夏あざみ






山百合の一輪の咲く廃家あり






夏山の笹にもたるる花のあり







夏菊の匂ひはひそとしてをりし
















































































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奥祖谷夏点描 年寄りの仕事は身体を動かして生きること

2015年07月05日 | Weblog


およそ便利な暮らしとは真反対の自然の真っ只中で暮しているお年寄りたちは

体力の衰え、足腰の衰えや病いを持ちながらも畑を耕して食料を得て生きてきた

お年寄りがよく口にする言葉に、身体が動けんようになったら、もう、お仕舞い

子供の世話になるか、介護のお世話になるかよ、そうなったら生きとっても面白う無い

そやから、年寄りの仕事は身体を動かして精一杯生きていくことが仕事なんよと

あっけらかんとした顔で話をしてくれる






古茶淹るる老婦の皺に母を見し



豊凶占ふ農婦に半夏生



夕映へ祈りしづけさもねぶの花



染めて且つ落つ病葉に旅の僧













































































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奥祖谷夏点描 しづけさを待宵草に求め歩けば

2015年07月03日 | Weblog

この集落で以前は彼方此方で決して多くは無いが咲いていた待宵草が何時ごろからか見えなくなった

集落の下から上まで土手といい、野辺といい、廃家跡まで、何回も足を運ぶのだが逢えずじまいであった、

もう、絶えてしまったのかなあ、と悲観的になって、諦めかけていた

しかし、先日集落上部のばあちゃんを訪ねての帰りにうろうろしていると、ちょっとした野べに

一輪の待宵草が眼に飛び込んできた

おお、咲いていたんだ、久しぶりに逢えたひとのように、妙に感動的になった

しばらく、眺めていたが、そのあたりにまだ咲いているだろうとまわりを探してみたもののほかに

咲いている待宵草の姿もそれらしい茎もなかった、この一輪のみであった

やはり、たくさん咲いている集落もあり、それぞれに違いがあるのだろうと思う











月見草野に一輪の力あり

























雨しづく待宵草の開かざり


























































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奥祖谷夏点描 雨傘の雫にしづけさ求めて歩けば

2015年07月01日 | Weblog

標高800近いわが庵では雨が降れば朝晩は肌寒い感じになって、長袖シャツがいい

朝早くしとしとと降る雨はなんとなくしっとりと肌を包むのはうれしいものだ

こんなときは傘を差してしづかに歩きたい気持ちになるのもいいものである

わが庵から上のほうにゆっくりと歩く、最上部の武家屋敷まで約40分ほど掛かるが

その間にひとが住んでいる民家は二軒だけ、それも林道脇にはKおばさんの家、林道から

5,60m奥まったところにOさんの家が視野に入るのみのしづかな、散歩だ

武家屋敷の周りには5軒ほど、人の住んでいる民家が固まってはいる

あとは、廃家が奥まった杉林の間から見え隠れして、なんとなく侘しさも感じる風景

ときをり、小鹿が愛くるしい顔でじっと眺めているが慌ててぴょんと跳ねて草むらに

走りこんでいったりする

道端の普段見慣れた花々が雨に濡れて、雫を湛え愛くるしい仕草に感動したり

何時の頃のものか判らない苔むしたお地蔵さんが草花に包まれて微笑ましい

いにしへに想いを馳せながら、雨を楽しみ、傘を楽しみ、草花や木々の息遣いを

楽しみ、雨の日の散歩は乙なものだ、雫に濡れたさまはひとしお可憐である



傘雫ほたる袋に秘めしこと


しづけさも釣鐘草に地蔵さま
























































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