秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

菜菜子の気ままにエッセイ(また・もんてこいよ・懐かしの祖谷弁で届けます)

2020年12月23日 | Weblog
祖谷山の師走。
今年はいつもと違う年の瀬を迎えておりました。

標高800メートルの山里に住む、恒例のお爺さん。お婆さん。
お爺さんは、囲炉裏に座り、お婆さんは外でスコップを片手に勤しんでおりました。

『ばあさんは、何をてんごのかわしよんぞ?』
「まっこと、爺さまは動かんの、そんがにじーと、ひんがらひんじゅう動かんと、
尻もたいがいに、いとうならんのかえ?」

お婆さんは、屋根から落ちて固まっている雪の固まりを、スコップで叩いておりました。
『なんちゃあ、痛いことやないわの、いちにち座っていたいんなら、
奈良の大仏さんは今ごろ立ちって暴れよるわ!』
「まっこと、理屈だけはナンボでも出てくるの」
『ばあさんじゃわ、そんがに雪の固まりいろベタって、なんちゃにならんわ、
そんがな氷は、お天とうさん当たったら、じきになしんなるんじゃ、それをてんごのかわと言うんじゃわ』

なんだかんだと言いながら、太陽は沈み、夕刻になり、冬の極寒の夜の静寂に包まれて行きます。
お爺さんはテレビのニュースを見ながら、台所で片付けをするお婆さんに言いました。

『ヒデオと、ジョージからは、なんぞビンはあったんこ?おらには、なんちゃあ言うてこんぞ!』
「爺さんは、耳遠いきん、あれらもワタシにしか、言うてこんわの」
『正月は、もんてくるっていよったか?』
「こないだから、何べんも言よるわの、まっことなんちゃあ聞いてないのー、爺さんの耳は、ないんといっしょじゃの」
『おらの耳は、あるわの!耳あるきん、婆さんのくそねんごも聞こえるんじゃわ!』

「ヒデオもジョージも今年はもどらんのじゃと!」
『なんでもんてこんのぞ、なんぞ嫁さんに言われたんこ?』
「ちがうわ、コロナじゃわ、コロナウツシタラいかんきん、今年はもんてこんとっ」

『コロナって今、テレビで日に日にいよるやつこ?』
「そうよの、日に日に死んどるわの!」
『ほんで、ヒデオやジョージもうつったんこ?』
「うつってはないわの、うつっとったら、電話やこし、出来んわの!」

『うつってないんなら、なんで、もんてこんのぞ?正月にはやっぱり、
もんてきて、餅食うて、正月神さん祀りよったじゃないこ?』
「うつってはないけんど、うつっとったら私ら年寄りにうつして、
私らが死んだらいかんきん、もどらんのじゃと!」

『婆さんは、なにを言よんぞ?たいがいにゴジャア言えよ、うつる、うつらんやこし、誰が決めるんなら?
うつってないけんど、うつっとるか解らんやこし、そんがな、クソゴジャは、おらは聞いたことないぞ!』

「しらんまに、うつっとるんじゃと、ほんでオトロシイ病気なんじゃわ!まっこと、オトロシイ病気も流行るもんじゃわ」
『おららも、ほんなら、うつっとるか、わからんのこ?』
「わたしや、爺さんはうつってないわの!」
『そんがなことないわの、うつっとっても解らんのなら、おららもうつっとるか解らんわのー』

「爺さんよ、なんで私らが、ここでウツルン?在所の衆も誰もおらんようになって、
会うのは郵便の栗本のアニさんくらいじゃないかえ。解っていよるんかえ?」
『解っとるわの、人間にうつるんなら、おららもおんなじじゃわのー。
うつってない証拠は、なんぞあるんこー?婆さんは判るんこ?そんがに偉いんこ?』

「爺さんみたいにネンゴ言うきん、あれらも、爺さんには電話してこんのじゃわ!」
お爺さんは、ブツブツ言いながら、囲炉裏にまた、小さな枝を数本、入れました。

『おららにうつして、おららが死んだらいかんって、そんつらこと、なんちゃあ心配してくれんでも、
おららは、いつお迎えきてもいけるのに、まっこと、あれらは、要らん心配するのー。
もんたらええのにのうや、つまらん正月じゃ!こんがな正月は初めてじゃわ!なんちゃあ、面白いことない!』

と口舌を言いながら、お爺さんはテレビの漫才を見ながら、大声で笑い、笑い過ぎて、入れ歯が外れました。 
囲炉裏の灰の中に落ちた、お爺さんの入れ歯を洗いながら、お婆さんはそっと呟きました。

『また、もんてこいよ……
 それまで、頑張れよ…元気でおれよ』


         草草



































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菜菜子の気ままにエッセイ(反省と懺悔のお時間です♪)

2020年12月21日 | Weblog
前略。
まいったー。どうしよう。
金額の高いテントを、無駄にしてしまいました。
ウシを描くつもりが、ウルトラマンになってしまった。

もう、言い訳は致しません。可愛いウシのイラストは書いていたのですが、
どうみても、幼稚な絵に見えたので、却下致しまして、ギガがもったいないから、
テラオの兄さんのスマホで、資料館のホールで、ひたすらウシのイラストを検索する。
小さなハガキになら、楽に描ける。

が、5メートル7メートルのテントに、それを感覚で描くのは、ちょっと難がある。※(前半の言い訳)
テラオの兄さんが、これがええ、これが面白いと、スマホの画面を見せる。

ドアップの牛のリアルな顔があって、色とりどりの色彩で、ピカソの絵画みたいに顔が塗られているイラスト。
『でも、これにしたら、文字の色が見にくいよ、肝心の文字の色がかすむんじゃあないん?』
無言になる、テラオの兄さん。
不満気である。こいつは不満な時に、口角が、一気に下がる。

で、文字の配列を考えながら、牛の顔を書くことにした。
ウシの全身を書くと、テントの上の部分が、空きすぎる。
テントを全体に使いながら、ウシを描く。間違えれば、豚になる。
以前描いた豚を、思い出した。ゾッとした。
あの失敗は繰り返したくない。

頭でイメージは浮かんでいたが、それを油性のペンキで、一発で描けない。※(2番目の言い訳) 
で、ウシの顔を、適当にペンで書く。
問題は、鼻の位置と目の位置とカタチ。
何も決まらず、2時間半経過。

途中で、コーヒー二杯。お菓子数枚。
『なあ、なあ、いつも大凧書くときに持ってきとる、干支の本は?』
とテラオの兄さんにチラッと聞いた。
「なんぞ?そんなん持ってないぞ」
と応える。

『えー!いつも持って来とったでー』と必死で訴えるわたし。
『なんぞ、知らんぞ?』
※一瞬、ヴヴヴ星人と話しているみたいな感覚に襲われた。
「本よ。本になっとるやつ」 

『あー、あれか、あれは、今日は持って来てないわ。絵は決めとるっていよったでえー』
私はブログの主様に話した記憶はあるが、目の前のオッさんに話した記憶がない。(※3番目の悲劇)
で、ネタ帳に頼れない。もう自力で書くしか道はない。
今年大流行した色は入れたかったが、これも失敗。

緑と黒とピンク。ウシには無理があった。最初に考えていたのは、
ウシちゃんにピンクの振り袖を着せたイラスト。
時は刻々と過ぎていく。
窓の外はチラチラ雪。
大ホールのスピーカーから、音楽が流れてくる。

テラオの兄さんが、ホールのオーディオに入っていた、カセットテープを流す。
明らかに年代の古い音楽。老人会の方々が聞いていたのか?音量を低くして頂いて我慢しておりましたが、
『なあーなあー、音楽止めてもええ?なんか、利用者の家におるみたいで、休んだ気にならんけん』
とお願いして、ホールはしずかになった(※4番目の悲劇)

そして、最終の悲劇は、今年のテントの質がいつもと違って、ラッカーで消すと、
一発で消せなくて、滲んで黒くなってしまう。だから、余り描き直しが出来ない。
テント業界もコロナの影響を受けている。グッと我慢する。

で、なんだかんだ言いながら、書き終えて、ジーと絵を見ていて、気がついた。
『ウルトラマンじゃあないか!!』
これは、ウシではない。ウルトラマンだ。もう、決めた!
そうです。来年は、ウルトラマンの時代です。
ウルトラマンが、地球を救うんだ!
コロナ、退散!疫病許さん!

で、ラインを送り、落ち込んでいると、つむじんこちゃんが優しい言葉を送ってきてくれた。
【いつも味がある絵で良いよ♪菜っちゃんにしか描けないよ】
って、ありがとう。つむじんこちゃんっ!
こんな絵は、こんなウルトラマンは、わたしにしか、絶対に描けませんっ!

都会で頑張る友や、全ての方々への想いを込めて、来年は帰って来れることを願い、
また、もんてこいよ
そして、祖谷で繋がる大切な方々との想いを込めて   絆
を入れさせて頂きました。

本当にすみませんでした。
こんな絵を、数人のボランティアの時間を頂き、掲げる次第になりました。深く深く、反省致します。 
どうぞ、今年の絵を誰かに聞かれたら、こうお答え下さい。

『あー。今年の凧の絵かー、あれはウシじゃないらしい。ウルトラマンじゃと。上手いこと描いとるわ。
ウルトラマン!!』

シュワッチ!
          草草




































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菜菜子の気ままにエッセイ(氷柱にマイナス時々ワタシ)

2020年12月17日 | Weblog
前略。
軒下に小さな氷柱が、規則正しく並んでおります。
冬の空から落ちてくる、雪の粒を見ながら
滅多にしない取り越し苦労をしています。

今週の日曜日。恒例の大凧を書くのでございますが
本日は休日だったから村の中にいるのでございますが、
明日、町にお仕事に出かけて、もし明日が今日以上に積雪したら
そして金曜日も更に積雪したら?

私……村に帰れなくなるかも?
村に帰れなくなったら、早い話が、大凧製作が不可能になる。
で、気を紛らわす為に、とりあえず下絵のイメージだけでも考えようと、エンピツを持つ。
ハリネズミは、好評だった。
お菓子女史も、褒めてくれていた。

私は1人に褒められると、100人に褒められた様な錯覚をする。
本当におめでたい性格であります。
で、今までの大凧の絵を参考にしようと、過去の記事を検索してみた。

記憶に無い作品も、数点ある。全く記憶に残っていない作品もある。
テラオの兄さんが一人で描いた?そんなことは、あり得ない。
地元の子供達に描いて貰った時が、三回あったと記憶している。

毎年、アニメ系で描くか、リアルに描くか、実力も無い癖に、とりあえずは思案している。
今年は本当に、日本全体で悲惨な出来事ばかりだった。

リアルな牛を描いても愉しくない気もするから、かわいいアニメ系にしよう!
と、エンピツを持ち書いていたら完全に幼児の落書きみたいになった。

落書きしながら、窓の外の雪を見る。空を見る。手元を見る。ウシを見る。
ダメだ〜。こんなんで元気になる筈が無い〜。

我こそは!描ける!と自信のある方がいらしたら、一報下さい。悦んで歓迎致します。
なんだかんだと、毎年描きながら、最近テラオの兄さんと口にする言葉。
『来年生きて無かったら、今年が最後の凧になるなあ』
リアルな現実で、ございます。
申し訳ない位の、非日常な休日の一日が終わる。

医療従事者の皆様の想像を絶する現場を思えば、私の毎日が本当に
こんなに呑気で許されるのだろうかと、自問自答してみる。もう、医療崩壊じゃないか!

これくらいは大丈夫って、少しずつ捨てた小さなゴミが、波になって跳ね返ったみたいな現状。
医療従事者の方々が倒れたら、もうジ・エンドではないか。
政府の対応に、もどかしさと歯痒さを抱くのはきっとみんな同じだと思う。

徳○県が感染者が少ないのは、水?空気?風?山々の神の懐だから?
勝手に空想を巡らせてみる。

窓の外は白と黒の世界。
吹雪でも、ヤマガラはやってきた。
新鮮なヒマワリの種をせっせと追加しながら、声をかけてみる。

『寒いだろー。がんばれー。』
と言いつつ、ヒマワリの種代が家計を圧迫しかけているので、
『もう、下の山に移動したら?』と呟いてみる。

鳥の生態が、判らない。無知でございます。
そうか、国の先生も判らないから、何も判らないから、日本はこんなになってしまったの?
判らないのなら、何かしらの努力はしないのですか?
協調出来ないのですか。命の前に、理屈は要りますか?

とりあえず、雪は落ちなくなった。
景色は、止まっている。
無風であります。
四国の山のマイナスの小さな小さな村の片隅で、本日も呟いてみる。
『コ、コ、コロナよ!
たいがいでええぞー!もう、どこぞへいねよ〜!!』

       草草























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遥かな山並みに魅せられて

2020年12月14日 | Weblog
見渡せば遥かな山並みは霞みて墨絵のように冬枯れの空気のなかに
しずかにつらなり、厳しい冬の到来を待ち望んでいるかのようである

近くの里山の木々はそれぞれの個性的な色彩をいろどり、僅かな生命の葉を
いましばらく踏みとどめている風景を愛おしくさえ思われる

すでに一切を拭い去りて裸木となり、しずかに巡りくる芽吹き待ちわびる木々もあり
植物たちのそれぞれのいのちのつらなりを好ましく思うひと時をたのしみに彷徨う


































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冬枯れの凛とした風景に魅せられて

2020年12月07日 | Weblog

冬枯れの凛とした風景に魅せられて、身体もこころも染みわたりて
木々の見事なもでの枯れ方に、しばし、佇み、われもまたこのような
枯れ方をしたいものだと、思うにつけても、詮方ない

ただ、ただ、残る紅葉のわびしさに、感性の赴くまま、彷徨いながら
登山道をゆっくりと歩むのみか







































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