梅雨に包まれてしっとりと洗われた夏姿の自然林や杉の木、草花の風景を眺めていると
静寂のなかにも艶やかな色っぽささえ漂ってくるようで何となく抱きしめたい衝動を覚える
それは、微かな風の悪戯に小枝のひとつひとつが、密やかに手招きしているかのようだ
空想が羽ばたきながら広がり、これは、ぼくの世界である
雨音はしなやかな音色を奏でるかと思えばときには、叩きつける音にもなり色鮮やかに変化に
富んだ音に、たくさんの、名も判らない小鳥たちが囀る様は賑やかに軽やかに近くに、遠くに
空気を震わせて、雨音に溶け込んでいる
降りしきる雨に身をまかせて、悠久のわが庵は時間が止まってしまったかのように、仮寝の
夢枕に漂う梅雨時である
雨音を聴きて仮寝や蚊火の宿
釣鐘の花や雫の音聞きし
老鴬の風雨に聞くや杉の谷
じゃがいもの花占いし老婦かな