1年前に逝った叔母さん(ヴヴヴ星人)のお友達だった、92才のおばちゃんを時々訪ねる。
お土産は、おばちゃんの好きなマヨネーズとか、卵、ジュース。
彼女は、電気とガス以外は、殆どを自給自足で賄っている。
彼女の家は集落の一番上で、彼女の家まで農道が繋がっている。周りは、殆どが空き家で、広い畑も、使い込んだ鍬一本で、耕す。
草刈りは鎌一本を研いでは使いながら、一人で肥えぐろを積み上げている。小さな体に、小さな手で、日に焼けた顔は、くしゃくしゃで、可愛らしい。
おばちゃんの鎌のことが、気になったので、新しい鎌を持参して、訪ねた。
金額はちょっと高め。私は自分にはドケチだけど、好きな方々には、トコトン手厚い。
グローバル社会に、インターネット社会。核問題。山積みされた日本の課題は果てしない。
…が、彼女の生活には何も関係ない。
彼女は、生きる為に春夏秋冬、作物を作り、ひたすら畑に出る。
彼女を見ていると、祖谷の山里の片隅で、時代の裏で
『かくれんぼ』
しているみたいに見える。彼女と叔母さんは、70年以上の親交だった。畑仕事はいつも二人。
そのままお昼も二人で食べる。台風が来たら、叔母さんの頑丈な家に彼女が避難してきて、二人で台風の過ぎるのを、ひたすら待つ。
子供と過ごした時間よりも、2人で過ごした月日が長い。愛しい時間。
叔母さんは高知に行く前日に彼女を呼んで、叔母さんの家の墓掃除を、手伝ってもらった。
二人で過ごした、最後の時間だ。
お墓の掃除を済ませ、お墓の上に建っている、お堂までの石段を上がって、二人は立ち止まった。
彼女は叔母さんに言った。
『ネエサンよ、明日は見送りには、いかんぞ…つろうなるきんの…わたしゃ、ここから帰るきんの』
「そうするかのうや、ほんならここで、別れんかの」
その話を聞きながら、私には遠ざかる二人の背中が、はっきりと見えた。
今生の別れの二人の胸中を思うと、その話を聞きながら、涙が後から後から落ちた。
晨星落落
人間って哀しい
人間って愛しい
人間って美しい
見えないものに、感情が突き動かされる
全ての根底に存在するのは、『愛』なんだ。
で、いつものお知らせです。今週の日曜日。
つむじんこモーニングカフェですよー。
場所は、昔、昔、
お爺さんとお婆さんが仲良く暮らしていた場所。
落合集落のなこちです。
愛のある場所で、モーニング食ってね~♪
草 々