ぼくが、以前住んでいた界隈をすこし、歩いてみようと先日思い立って
林道に沿って歩き出した
大宮神社に車を置いて道を曲がって直ぐの所に炭焼き小屋がある、直ぐの林道を
下ったところに住んでいたKさんが、もう、彼是10年ほど前に作ったものだ
Kさんは炭焼き小屋については一家言あるひとで、手伝ってくれる人たちもいたが
なかなか、小うるさくて嫌気が差すひともおり、長らく前に進まずにいた
ぼくも、直ぐにでも炭焼きが出来るように思い楽しみにしていたのだが、何時までたっても
そのままで、完成したようには見えなかった、結局は一度も火入れをすることなく今日に至っている
そのKさんも2,3、年前に重い病気を患い、この世を去ってしまわれた
小屋のまわりは、草も繁り、横に植えていた桜などの、木々も随分と大きく育って風景も一変した
炭焼き小屋からほんの100mも無いところに、ぼくが10年ほど前に住んでいた家がある
堂々とした大きな立派な母屋と隠居があり、ぼくは隠居の方を借りていた
当時母屋も空家同然になっていた、大家の奥さんは町に居て、時折畑の作物作りや山の杉木の
手入れに帰って来ていたからである
今もよく手入れがされているから、時々帰ってきているのであろうと思う
ぼくが居た家の横を覗いてみて、懐かしいものがまだ、立てかけてあった、当時盛んに山に
担ぎ上げて要所要所に立てていた山頂標識や案内標識の丸太が寂しそうに並んでいた
居座りて山を奪ひて夏の霧
雨粒の猛りたる野に夏あざみ
山百合の一輪の咲く廃家あり
夏山の笹にもたるる花のあり
夏菊の匂ひはひそとしてをりし