気が付けば私は、古味に嫁さんに行った?彼女の空き家の前の畑の上に立ち
穴が空くくらい、畑をジーーと目視していた。紫色の花を付けたものが、数本のみ。
何の花なのかも?判らない。
無い。無い。タマネギが消えた。
さっきまで、彼女の施設を訪ねて行た。2回目の面会1時間。
本日も正面玄関奥、会議室でのご面会。
「まあ、菜菜美さんよ、2回もきてもろて、スマンスマン」
※回数をキッチリ覚えておられる。
「おばちゃん。足はましになった?」
「ましに、なったわ。ちょっと慣れたんかもわからん」
「お腹は痛くないん?」
「それも、ことはないけん、先生にも言わんと、おるわ」
「気になるところは、先生に何でも言いなよ」
「病院には、かかったんじゃわ。もう何回も行ったわ!」
「そうなん。病院に連れて行ってもらったんじゃ!良かったなあー。東祖谷のクリニック?西祖谷のクリニック?」
そう聞くと、おばちゃんは首を横に振りながら、人差し指を天井に向けて、
「ううん、上よ、上」
「あー。往診。往診は、有難いよなあ」
と笑うと、ニコニコして、頷いた。
「あのの、タマネギ返されたんじゃわ、○○さんにあげたの、オラはいらんけん
オラはニンニクだけでええわって、返されたきんの、畑のタマネギ、どうぞせな、もったいないわのー」
「おばちゃん、タマネギ、どれくらい植えたん?」
「300植えたわ、去年は200だったけど、今年は300植えたわー。ここに来るや、思てもなかったけんのー」
「300!!」
「それは、凄い数じゃなあー!」
「タマネギも、気になるし、墓も気になるし、夏服もないし、夏服は家に置いとるきんのー」
おばちゃんは、訴える時には、ジーと目を見て話す。新しい鎌が欲しい時も、こんな感じだった。
「夏服と墓掃除は、私も一緒に出来るけど、タマネギは私は一人では無理じゃよー」
そう言うと、ウンウンと、頷いている。
「おばちゃんの身体は、3ヶ月前みたいには、畑仕事出来んと思うよ。
それにタマネギ掘って、寝込んだら、そっちのほうが、心配じゃよー」
やっぱり、ウンウンと頷く。
「菜菜美さんも、タマネギいるか?」
と聞かれて、ウンウンと私も頷く。
高知の従姉妹に、おばちゃんの声を聞かせたくて、電話する。
おばちゃんは、スマホの画面に頬っぺたを思い切りくっつけて、話す。
「まあ、カヨちゃんか、今日は菜菜美さんに、2回も来てもろて、ありがとうゴザイマス。スマンの、元気にしよるか」
一生懸命に話しながら、おばちゃんは、涙を浮かべている。
つられて私も、本日も泣きそうになる。私達の涙は、誰を相手に、何を相手に、流しているんだ。
『泣くのは、ニンゲンだから
泣けるのは、ココロが生きているから』
by 菜菜美
で、施設を出て、その足で彼女の畑に来て、タマネギの確認をする。
タマネギ収穫プロジェクトチームを、どうにかする前に、現場を、把握しておくのだっ!
で、無い!無い!タマネギー、おばちゃんが最後に作ったタマネギを、盗んだのは、猿か!日本猿か!
ええい!人間か!許さん!おばちゃんの最後の農作物を!どこのどいつじゃー!
とりあえず、この悲しい現実をおばちゃんに伝える前に、おばちゃんのお世話をして下さっていた
まーちゃんにお電話をした。
「おばちゃんって、タマネギ植えた?タマネギ、無いんよー」
「植えたよー、苗は私があげたけんー。ちゃんと植えとったよー」
斯く斯く然然、で、明日、畑を見に行くわと言ってくれた。
直ぐに、高知の従姉妹に電話して、このやるせ無い現実を、伝える。
空き家になったと同時に、畑ドロボウなんて、許せない!同じ人間か。
おばちゃんの領域を汚した、不届き者!地神さんが、化けて出るぞよ!
明くる日。
まーちゃんから、メールが届いていた。
『 タマネギ、つるは無くなっていましたが、
タマネギの頭は、土の中にありました 』
夕方、二人で電話で、大笑い。
紫色の花は、ニンニクの花でございました。
地神さん、
わたしは、農業が出来ません。
そんな、わたしは、
お馬鹿な勘違い、思い込み女でございます。
ウンウンと、地神さんは頷いた。
草草
穴が空くくらい、畑をジーーと目視していた。紫色の花を付けたものが、数本のみ。
何の花なのかも?判らない。
無い。無い。タマネギが消えた。
さっきまで、彼女の施設を訪ねて行た。2回目の面会1時間。
本日も正面玄関奥、会議室でのご面会。
「まあ、菜菜美さんよ、2回もきてもろて、スマンスマン」
※回数をキッチリ覚えておられる。
「おばちゃん。足はましになった?」
「ましに、なったわ。ちょっと慣れたんかもわからん」
「お腹は痛くないん?」
「それも、ことはないけん、先生にも言わんと、おるわ」
「気になるところは、先生に何でも言いなよ」
「病院には、かかったんじゃわ。もう何回も行ったわ!」
「そうなん。病院に連れて行ってもらったんじゃ!良かったなあー。東祖谷のクリニック?西祖谷のクリニック?」
そう聞くと、おばちゃんは首を横に振りながら、人差し指を天井に向けて、
「ううん、上よ、上」
「あー。往診。往診は、有難いよなあ」
と笑うと、ニコニコして、頷いた。
「あのの、タマネギ返されたんじゃわ、○○さんにあげたの、オラはいらんけん
オラはニンニクだけでええわって、返されたきんの、畑のタマネギ、どうぞせな、もったいないわのー」
「おばちゃん、タマネギ、どれくらい植えたん?」
「300植えたわ、去年は200だったけど、今年は300植えたわー。ここに来るや、思てもなかったけんのー」
「300!!」
「それは、凄い数じゃなあー!」
「タマネギも、気になるし、墓も気になるし、夏服もないし、夏服は家に置いとるきんのー」
おばちゃんは、訴える時には、ジーと目を見て話す。新しい鎌が欲しい時も、こんな感じだった。
「夏服と墓掃除は、私も一緒に出来るけど、タマネギは私は一人では無理じゃよー」
そう言うと、ウンウンと、頷いている。
「おばちゃんの身体は、3ヶ月前みたいには、畑仕事出来んと思うよ。
それにタマネギ掘って、寝込んだら、そっちのほうが、心配じゃよー」
やっぱり、ウンウンと頷く。
「菜菜美さんも、タマネギいるか?」
と聞かれて、ウンウンと私も頷く。
高知の従姉妹に、おばちゃんの声を聞かせたくて、電話する。
おばちゃんは、スマホの画面に頬っぺたを思い切りくっつけて、話す。
「まあ、カヨちゃんか、今日は菜菜美さんに、2回も来てもろて、ありがとうゴザイマス。スマンの、元気にしよるか」
一生懸命に話しながら、おばちゃんは、涙を浮かべている。
つられて私も、本日も泣きそうになる。私達の涙は、誰を相手に、何を相手に、流しているんだ。
『泣くのは、ニンゲンだから
泣けるのは、ココロが生きているから』
by 菜菜美
で、施設を出て、その足で彼女の畑に来て、タマネギの確認をする。
タマネギ収穫プロジェクトチームを、どうにかする前に、現場を、把握しておくのだっ!
で、無い!無い!タマネギー、おばちゃんが最後に作ったタマネギを、盗んだのは、猿か!日本猿か!
ええい!人間か!許さん!おばちゃんの最後の農作物を!どこのどいつじゃー!
とりあえず、この悲しい現実をおばちゃんに伝える前に、おばちゃんのお世話をして下さっていた
まーちゃんにお電話をした。
「おばちゃんって、タマネギ植えた?タマネギ、無いんよー」
「植えたよー、苗は私があげたけんー。ちゃんと植えとったよー」
斯く斯く然然、で、明日、畑を見に行くわと言ってくれた。
直ぐに、高知の従姉妹に電話して、このやるせ無い現実を、伝える。
空き家になったと同時に、畑ドロボウなんて、許せない!同じ人間か。
おばちゃんの領域を汚した、不届き者!地神さんが、化けて出るぞよ!
明くる日。
まーちゃんから、メールが届いていた。
『 タマネギ、つるは無くなっていましたが、
タマネギの頭は、土の中にありました 』
夕方、二人で電話で、大笑い。
紫色の花は、ニンニクの花でございました。
地神さん、
わたしは、農業が出来ません。
そんな、わたしは、
お馬鹿な勘違い、思い込み女でございます。
ウンウンと、地神さんは頷いた。
草草