前略。
東祖谷には、2人のシローが、徘徊している。
一人は元コテージの管理人、市議会議員の○ちゃんの夫、
『なんでも出来るぞ!テキトーシロー』最近はジビエ代表で、奮闘している。
そしてもう一人は、一年位前から、あらゆる場所に出没している、
『なんでもしたいぞー!底なしユルユルシロー』
この底なしユルユルシローは、私の同級生のお兄様だ。そして、C子ちゃんとは、いとこ同士。
最近、郷里の母親の介護を兼ねて、自宅の関西と祖谷の生家を親子で往来しながら、晩年を謳歌している。
底なしシローが、今回、あるイベントの祖谷の大会の発起人に勝手になった。
その大会名は、
馬鹿道・無限大
東祖谷ウルトラ第ゼロ回大会。
主催者 NPO法人バカロード
坂東良晃(ばんどう よしあき)
と、書いても、読者の皆様は、なんのこっちゃ?って、思ったでしょう。
わかり易く説明しますと、東祖谷の急峻な工程を、祖谷を満喫しながら、
自由なマラソンスタイルで、制覇するという内容です。
初日は53キロ。2日目は47キロ。
最高地点は標高1520mの落合峠。
初日、京上の宿を出発、小島大日堂、釣井木村家、龍宮崖公園、阿佐平家屋敷、
大枝武家屋敷、京上民族資料館、落合集落展望所、虹の滝、名頃かかしの里、
初日ゴールは奥祖谷二重かずら橋。
2日目、名頃を出発。
落合峠! 落合集落上、更に更に栗枝渡神社 ゴールの東祖谷民族資料館!
2日間の合計100.2km
累積登り合計 2607m
⁂昨夜、渡された資料を見ながら、打ち込むだけだ。なんて、楽な手作業なんだ。
考えられない!普通では考えられない!車で走っても、疲れそうなコースを、二本足で走る!
どう考えても、普通じゃない。
だから、馬鹿ロード。
こんなことを、企画して、楽しんでいる人って、どんな感じの人なんだ?
真っ黒に日焼けした、マッチョなやさぐれた感満載の加齢臭漂うオッサン?
いつもの様に、想像だけは100%で、会に出席した。
目の前には、鍋を突っつきながら、赤ら顔になっている、底なしユルユルシロー。
今日もユルユルだ。隣には他人事みたいに、黙々と食べるC子ちゃん。
そして、初めましての坂東さんっ。
想像とは、真逆で、細身のつぶらな瞳にメガネの爽やか理数系男子だった。
ウサギに 似ていた。
前世は ウサギのような気がする。
ウサギは、今回の企画を、丁寧に説明していた。
とりあえず、今回をゼロ回として、20人余りのランナーが全国から集まるらしい。
宿泊を前提として、必ず開催した場所で、お金を使う。
目指すは、地域経済活性。
そして、地元の人達との、交流。
ユルユルシローは、実行委員として、お世話役様に、趣旨を説明し、綿密に計画を立てているのか。
ポイントごとの、協力者は、決まっているのか?
『えー!?まだ、言うてないんー!』
私の汚い奇声が、響く。私は感情が入ると、標準語を忘れる。
目の前の鴨鍋の出汁が、グツグツと蒸発している。
C子ちゃん、漬物をオーダーし、黙々と食す。
ウサギは、火力をこまめに、調整する。
ユルユルシローは、準備もユルユルだった。
何故か、今回の印刷された計画書だけは、完璧だ。
新緑の5月18日、19日と、
祖谷の道を舞台に、決行される馬鹿ロード!
ハイテンションな非日常の世界。
自分を大切に、
自分を愛して、
楽しんだ時間の先に、待っている、
想い出をエサに、活きれる時間。
人生のゴールテープを切る、その瞬間まで、生きよう! 活きよう!
がんばれ うさぎ!
がんばれ シロー!
がんばれ 馬鹿ロードのランナー達!
とりあえず私は、
本日、地元の店で、1530円を、消費した。
『新緑に抱かれて
走って歩いて感じて
歴史の轍を 馬鹿ランナーが駆け抜ける』
草草