秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

新緑と花

2022年05月18日 | Weblog

ぼくは、ときどき、刻々変わっているので、いろいろな事を計画してしようと
思っていても、その時は過ぎ去り、手遅れになることが殆どである

ときどき、刻々と変わる時に振り回されて、「いま、ここに」のぼくは、
花があっという間に散ってしまうことのように、人生の時間の進行を
呆然として眺めてあきらめにも似た気持ちが身体を吹き抜けて行く

いろいろな体験をしながら、豊かに暮らしていけるけれども、それだけではない
ひとつの物事を終わらせようとしても、次の瞬間に人生が終わってしまうことだってあるわけだ

登り窯の炎に焼かれて作品が刻々と変わってゆくように、わが人生も七変化を絶え間なく
繰り返して、豊かな時を刻んでゆく

花に嵐の喩えもあるぞ、「さよなら」だけが人生だ
唐詩人 于武陵「勧酒」
勧君金屈巵         
満酌不須辞         
花発多風雨         
人生足別離         

(井伏鱒二の訳)
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ























































コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菜菜子の気ままにエッセイ(大茅と番茶と私と時々ヴヴヴ)

2022年05月10日 | Weblog
前略。
初夏なのに、寒い。
寒いかと思えば、暑い。
厚着で作業を始めたら、暫くして、体力が消耗するくらい、太陽が照りつける。
水分補給して、休憩する。休憩し過ぎたら、少し作業が面倒臭くなり始める。
飽きてくる。この時点で3時間経過。

『お前は、何の作業をやってるんだい?』
そこの読者!よくぞ聞いてくれました!
わたくしは、ずっと前からやりたかった、ヴヴヴの空き家のお庭と
*旧畑だった荒地の、巨大な茅と戦いながら、
クリンソウの群生地を開拓しています。クリンソウ、説明するのは大変なので、各自で検索して下さい。

茅は、10年も放置していたら、こんなにビックに逞しくなるんだねー。
軽ーく2メートルは超えていて、株も素晴らしく巨大で、もう茅のカテゴリーから外れて、
プラスチックの部類になるんじゃない?みたいな、硬さ!
切った時の跳ね返りが、また、すばらしいー!

顔に当たると、痛い。突然シバカレタみたいに、痛い。
突然シバカレるから、痛いのか、判っていたら痛みは和らぐのか?
どっちにしても、痛い。
『痛ーー』と言っても、所詮は独り言。 

井伏鱒二のサンショウウオの台詞を何故か思い出す。
『さむいほど、ひとりぼっちだ』
で、いつも作業に行く前は、とりあえず計画を立てる。
A型。大雑把。
この前の休日も(月の半分が休日)

荒地の三分の一まで茅を刈り込みバサミで切る計画を立てていた。
空気が乾燥していたから、草刈機は危険だ。
火花が散って、枯れた茅から出火の可能性はある。

A型。時には神経質。
で、刈り込みバサミを持ち、荒地に向かおうとしたら、ふと、青青と光る葉っぱ。
『お茶摘みの時期なんだー』
季節は、お茶摘み期になっていたのでございます。

去年集落の公共事業のお陰で、庭先が一部破壊され、その犠牲となったお茶の木。
(一番摘みやすかった場所)
で、お茶の木のことをすっかり諦めていた時に、小さなお茶の木を発見。

神様が耳元で囁いた。
『番茶にして、仏様に祀りなさい!』
神様ー、お茶摘みのカゴがありませーん。
『車に載せている、空箱があるでしょう!』 
30分くらい、黙々とお茶を摘む。摘むと言うより、手当たり次第千切る。

草刈りの時に、手荒く刈っているから、それなりの柔らかさには?なっている。
とりあえず少量。目的はヴヴヴのお仏壇に香りとして、届けること。

で、なんちゃってショート茶摘みタイムが終了し、箱を木陰に置き、
今度こそ、茅かり!と思ってチラッと庭先を見たら、以前から集めている枯葉の山が、
なんかいい感じで、光っていて、またまた、神様が囁いた。

『たか○たの、みっちゃんの有機農業を応援する為に、枯葉をキチンと集めて置きなさい!』
神様ー。わかりました。
で、またまた、枯葉を掃いて集めて、スコップで上下を裏返し、発酵を促進させる。
黒く良い感じで発酵している。栄養は天然の空気。混ざり物なし。2回目の汗をかく。

2回目の汗を拭きながら、お茶を飲みながら、折れて垂れ下がっている庭の竹が気になった。
で、竹を2本きり、運び、処分した。
この時点で、気温は上昇して体力の6割7割を消耗していた。

荒地に立ち、茅を見上げ、2つの大株と闘い、ため息をつく。
『やっぱ、雨降りの後で、草刈機で刈り飛ばそう〜』
連日の作業で、少し飽きてきていた。
A型。超気分屋。

そして、自宅に帰り、フライパンで摘んだ茶葉を煎る。
パリパリって音がして、蒸せた時の新茶の匂いがして、もう気分は上々!
ヴヴヴの家でずっと繰り返してきた、何十年の歳時期の想い出達が、
匂いを連れて、一斉に私に話しかけて来る。
心の芯まで、柔らかくなる。
なんて、幸福なお時間。

時空に預けていた時間を、少しずつ引き出しながら、生きているみたいだ。
これがあるから、頑張れる。

それぞれの想い出を引き出しながら、
それぞれの場所で、頑張ろう。
それぞれの、サンショウウオを生きよう! 
明日はお仕事行きますっ! 

          草草




















































コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菜菜子の気ままにエッセイ(新緑と毎度毎度の独り言)

2022年05月01日 | Weblog
新緑が、山々を駆け出しました季節の前略。
働き方を変えてから、どうしても真っ先に会いたい人がいた。
休日になり、彼に会うために、二人の友人と予定を合わせた。 

15年以上経つだろうか。私の前の職場に彼は配達員として、祖谷に来ていた。好青年だった。
私がその職場を辞めてからも、隣の町だったり、何度となく彼の配送車を見かけることがあった。
車ですれ違った時は、軽く手を上げたり、軽いクラクションだったり。
隣町の小さなスーパーで見かけた時は、助手席に黙って缶コーヒーを置いたり、手渡したり。
会った時は、軽いご挨拶。暑いねーとか、雪の季節だねーとか。

私達は皆、誰かと繋がっている。
仕事上での連絡は頻繁にとれても、余り深い接点のない人と、
プライベートで連絡を取り合うこと等、ほとんど無い。
長い月日のご無沙汰を、失礼致します、誰もが同じ実情ではないだろうか。
コロナ禍で集まる機会も少なくなり、其々が持つ些細な情報交換も出来なくなった。

会社の方針に従順に過ぎた数年間。
疲労困憊だった数年間。
家族と電話する余力さえ残っていないのに、ましてや、
疎遠になっている相手に連絡する余裕がある筈もなく。

やりたい事があっても、全てが後回しになる。心に余裕がない。
余裕を持つ時間が取れない。この一年間に感じたのは、
『わたし…死ぬかも…』
そう、自分で気が付かないままに、自死しているかもしれないという、初めて感じた感覚だった。
それは死にたい!とかの願望では無く、解らないままに、実行するかもしれないと思う、
摩訶不思議な漠然とした妙な感覚だった。

そんな日々が続いたある日。彼の配送車とすれ違った。
彼は車を停止して、ハイテンションで何かを言った。
早口だったから、何を言ったのかも判らなかった。
明らかにいつもと違った彼の様子に、違和感を持ちながら、
ご無沙汰していた彼の同僚でもある知人にその事を伝える余裕もなく、月日は流れた。

去年の12月。その知人が癌を発症したと共通の友人から聞き、すぐに迷わずに数年ぶりに電話をかけた。
そして、彼が2年前に他界していた事を聞かされた。
私は、数週間。茫然自失が続いた。
全ての準備を詰め込んで、某峠に向かった彼の胸中を思った時に、やり切れなかった。
あのすれ違った時の異様なテンションは、亡くなる数日前だと聞かされた。
春の彼岸に、3人で彼のお墓に向かい、暫く彼に話しかけた。

悔しくて悲しくて、涙が自然に流れた。ただお墓を撫でてあげるしか、出来なかった。
出会う相手で、人は寿命まで、変えられるのかも知れない。
その出会いが正解なのか、間違いなのか、誰も判らない。判らないから、人は暗中模索する。
その時に差し出された誰かの温もりで、軌道修正出来る者。
それでも其方に向かう者。こんなにも人は、呆気なく終わってしまうのか。

無力だった私自身も責め続けた数ヶ月。余裕の無い心で、
生きるくらいなら、自ら、自分自身の環境を変えていくのだと決めた。

無思慮な者が親になり、
子供を産み、育てる。
生命の尊さを学ばない子供が、社会に放たれる。
一番大切なのは、泣けるくらいの人間臭さで、
一番大切なのは、お金ともポイントとも交換出来ない「愛」ではないのか。

そして、真っ直ぐな優しさではないのか。
燃やして無くなるものに、応えを求めてはいけない。
ココロだけは、いつも贅沢で有りたいと、私は思う。 
とりあえず、今日を生きよう。
今日は必ず、明日へと繋がるから。

今が旬な祖谷の新緑。
自分探しに お越し下さい。生きて行くのは、自分の時間でございます。
    
         草草































































































































































コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする