菜菜子の気ままにエッセイ（タヌキと私と手打ち蕎麦）

前略。
真夏になったり、初冬になったり、気まぐれな天気が続いております。
静かに梅雨の足音も聞こえます。皆様、お変わりございませんか？
私は、お変わりありました。

少しづつ、慣れてきましたが、まだまだスッキリいたしません。
なんだ？なんだ！
と心配して下さった読者の貴方。ありがとう。
大きな声では言えませんが、ここだけの話し。

私は、何十年も野生動物に餌付けをしておりました。
食パンの耳とか、残飯とか、正確に白状しますと、食べさせたい為に、
わざとに残しては、ボールに溜めて、与えてました。

夕方になると、一匹のタヌキと、少し時間を空けて、4匹の家族らしい？
タヌキが家の裏にやって来てました。
去年から時間が出来たお陰で、金欠病にはなりましたが、心の栄養は満タンな生活になり、
その結果、自然界の観察をたっぷり出来ておりました。

寒い季節には、３時過ぎから、1匹のタヌキがじっと家の裏で待っていました。
じっと下から二階の窓を見ていました。そのしぐさと、瞳が可愛くて、私は勝手に
「タヌキ吉」と、名付けておりました。メスだった？かも判りません‥‥。

一人で頑張って生きているんだから、エールを込めてご褒美がわりに、
タヌキ吉には、美味しい部分を選別して、与えておりました。
窓から残飯を落とす。勿論、タヌキ吉に直撃しないように。
タヌキ吉は、上手に避けて、すぐにパクパク！
お腹が一杯になったら、とりあえずどこかに帰って？行きます。
夜になったら、家族連れが賑やかにやってきます。

太っているから、この家族連れには、適当に、撒いておりました。
太っている外見だけで、餌の量が減る‥‥人間様に例えたら、太っている人がホームレスをしていたら、
何の差し入れも貰えないかも？みたいな。
柔らかいユルユルとした時間に、満たされておりました。

そして、数ヶ月。
屋根裏に相変わらず住み着いていた野生動物。ムササビにしては、以前に比べ音が大きくなり、
撃退グッツを屋根裏に置いてみました。
そのあくる日に、早朝窓の下を見たら、見慣れない野生動物。
長い尻尾に、見慣れない顔。
それは、ハクビシンでした。

その夕方くらいから、タヌキ吉も、家族連れのタヌキも、見かけなくなりました。
数十年、タヌキの陣地だった場所は、ハクビシン5匹に占拠されていました。

タヌキ吉が、来なくなった場所に、餌を上げても、ハクビシンの王国になるだけです。
地下一階の床下から、糞尿の臭いもしていました。
床下が、傷んでいくだけだ。ハクビシンの住処にさせてはならない。

私はキッパリとタヌキ吉達に、餌付けをすることを辞めました。
優柔不断の私が、キッパリと決めたのです。タヌキ吉の為に、どんなに遅くなっても、
帰って来ていた私が、主人亡き後、唯一の楽しみにしていた至福の時間に、お別れしました。

あれから2ヶ月余り。
ハクビシンもいつしか、無事にいなくなり、床下は少しずつ無臭になっています。
色んなことを、少しずつ諦めていくことが、今の現実です。
私にとっては、何よりもの癒された時間でありました。それは、誰もが其々に持つ、否定できない事です。
頭の中は、会えなくなったタヌキ吉のことばかり。

で、
本日の休日。
C子ちゃんの手打ち蕎麦と、丁寧な手作りランチを頂いて、少し元気になって、
まったりとした幸福感に包まれて、布団につきました。
明日も　頑張ろー。


そして、早朝、４時に携帯が鳴る！
登録していない番号！
身内に、何かあったか！
ドキドキしながら、電話に出た。
テンションの高い若者男子の声！
『今日、なん時に仕事するぅー！！』
はあぁ？なぬっ？
「どこへ、かけよん？」

『りゅうすけ違う？』
「チガウワ」
『まちがえましたわー』
ツーツーツー
　
電話を切って、見事に目が醒めて、私は　電話に向かってココロの中で呟いた。
「おまえら、何の仕事なん？
なんで、LINEじゃないん？
おまえら、何時に寝よん？」

新緑を纏った山々を、覆うように霧が動く　祖谷の今。
思いっきり深呼吸して、生きる為に生きる！
りゅうすけ、頑張れ！
みんな、頑張れ！
自分の自由な時間だけは、支配されてはならないっ！
良い睡眠は、世界を救う。

　　　　　　　　　　　　草草

新緑と可憐な花たち

一泊二日の山旅は可憐な花たちと新緑の楽しい旅でしたが、
なかでも新緑は素晴らしく、鮮やかで、目玉がグリーングリーンしたまま、
未だに何を見てもグリーングリーンで帰ってきました