花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

「原子力の冷静な論議を!」

2012年07月20日 16時11分34秒 | ちょっと気になること
7月8日付けの読売新聞「地球を読む」(JR東海会長・葛西敬之氏)は、昨年の3・11大震災後以降政権の現実逃避の脱原発への警鐘と当時に、浜岡原発停止に見られる菅総理大臣の法律を無視した行為、本来、稼働させながら行う安全基準の裕度評価であるハズのストレステストを、原発再稼働条件にすり替えてしまったことなど、を諌められなかった官僚機構に苦言を呈しています。このような明快な論旨の記事を目にしたのは久しぶりです。 
原子力災害については、多くの政治家、学者、評論家などの論評が連日マスメディアに登場しますが、ほとんどが一般受けのする論評ばかりの中で、葛西氏の意見は、核心をつくもので、経営の第一線で活躍しておられる方の見方はやはり鋭いと思いました。

地球を読むの中では、総理への諌めを官僚に求めていますが、民主党政権が、政治主導という名目で、意思決定過程で官僚を徹底して排除していたことを考えると、官僚だけに総理への諌言を望むのは酷かもしれません。 心ある政治家が、平常心を失った総理(トップ)を諌めるべきで、官僚はこの心ある政治家を支える立場になるのが、普通の姿であろうと思います。

武家の世では、藩の存続のために一命を賭して殿を諌める(宿老などの)部下が居たのですが、自己顕示欲だけで政治家になった昨今の政界では、すぐに自己保身を考え、国家・国民のことに思いを巡らす政治家は皆無なのでしょう。


我が国の中長期的なエネルギー政策の議論が混迷しています。 政府のエネルギー・環境会議が2030年時点での電源構成とし、原子力の割合を、0%、15%、20%〜25%とする3つの選択肢を示し、これに国民の意見を聞くための『意見聴取会』を開催しています。 7月15日には仙台、16日には名古屋で各々開催されましたが、両日ともに電力会社の社員が意見を述べたことに対して、会議が紛糾、中断する模様がTVでも報道され、新聞でも電力会社を非難する内容の報道がされています。即ち、新聞社の主張とは異なる意見の表明を糾弾しているのです。電力会社の社員が新聞社の意見に迎合するような意見をのべれば、納得するのでしょうか。マスコミは言論の弾圧のお先棒を担いでいるのです。
この『意見聴取会』にはどのような意味があるのでしょうか。 単に、多くの国民の声を聞いたという事実をつくるだけなのでしょうか。

そもそも、政府の示した3つのシナリの前提条件が国民の前に示されたのでしょうか。経済成長率、社会構造の変化とエネルギー需要量、他、などの様々な前提条件をどのようにするかにより、2030年時点の我が国の経済状況も大きく異なるハズです。 まず、2030年時点の我が国の姿を国民に示すのが政府の責務なのではないでしょうか。 この姿を実現するためのエネルギー供給構造として電源構成があるのです。原子力の3つのシナリオを示すだけでは、原子力への感情的な拒否感だけを元にした議論になってしまいます。

政府は、今後の『意見聴取会』には電力会社社員を締め出すことにしました。国民の中にも、“原子力の利害関係者である電力会社社員は排除すべき”との意見も多く、政府の措置は一見、民意にかなっているように見えますが、果たしてそうでしょうか。

国民の意見を聞くならば、3つのシナリオには拘らずに、自由な意見を聞くべきと思いますし、電力会社社員や所謂“原子力ムラ”関係者の意見表明も認めるべきと思います。さらに、原子力反対派による発言阻止などの議事妨害を許してはなりません。どのような意見であろうと、粛々と聞く寛容さが望まれます。 政府も公平で冷静な議事進行を行うべきです。


【2012年7月20日 花熟里】

コメント
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